2008年2月27日
                               小黒啓子
反対討論

第30号議案 指定管理者の指定について(浜松市リハビリテーション病院)

 日本共産党浜松市議団を代表いたしまして、第30号議案 指定管理者の指定について反対の立場から討論いたします。

 この議案は、浜松市リハビリテーション病院の指定管理者を、
医療公社から社会福祉法人聖隷福祉事業団に指定替えをし、
平成20年4月1日から平成23年3月31日まで管理運営させる内容の議案です。
 
 昨年6月以降、8月末までに、浜松市リハビリテーション病院の医師が集団で退職したことに
端を発し、診療体制が維持できず、今後も事態の改善が見込めないとの市の判断から
今回の指定管理者への変更という議案が出されました。
 
 時系列を追って、この間の動きを述べさせていただきます。

 昨年10月5日に浜松市長より、指定管理者協定書第23条の規定に基づき、リハビリテーション病院の運営に関して医療公社に、改善勧告が出されました。

 同月29日には、医療公社より改善勧告に対する回答が出され、
回答では、全国でのリハビリテーション認定医が1300名程度しかおらず、
常勤のリハビリ認定医を強く求める浜松市の要望には応えられない、

 また、リハビリ専門医ではないが常勤医の可能性はあるものの、
将来の見通しから躊躇せざるをえない、 そして、
現状での非リハビリ専門医常勤2名の体制では、
88床でのリハビリテーション病院の運営は難しい状況である、という内容になっています。

 それを受け翌日の30日には市長より医療公社に対して聴聞通知が出されています。予定される不利益処分の内容として、「リハビリ病院の指定管理者の指定を平成20年3月31日限り取り消す」ということについて11月7日に聴聞を行う旨の通知です。
 
 予定どおり11月7日に聴聞が行われ、リハビリテーション病院の指定管理者を医療公社から切り替えるために、11月26日には、市長から市内8病院に対して、リハビリ病院の管理・運営を希望するかしないかの意向調査書が送付されました。
 
 意向調査に対して、希望するむねの回答があったのは、聖隷福祉事業団のみで12月6日に回答が市に届いています。
 
 27日には庁内の選定会議が行われ、平成20年度からリハビリテーション病院の管理運営は聖隷福祉事業団に移行するように決定し、本議案の上程になりました。
 
 さて、これら一連の流れの中で、いくつかの問題点を指摘し、本議案の反対の理由といたします。
 
 一つ目は、10月5日に改善勧告が出された後、
たった2ヶ月間で次の指定管理者を決定しています。

 リハビリテーション病院は他の施設とは異なり、市民の命と健康を守るという、大変重要な施設です。その管理者の変更をこのような短期間で行うには、よほど以前から周到に準備をしなければできることではありません。

 何か意図的に、恣意的に医療公社を管理者から外す手はずで、進められた感は否めません。それを裏づけるものとして、次のようなことがあります。

 浜松市からの勧告では、公社に対して、医師補充とその他必要な措置の実施に関する計画を提出するようになっていたものですが、今後の実施計画は提出されず、とにかく、医療公社ではリハビリテーション病院の運営は難しいという現状報告のみにとどまっています。

 注目すべき事は、この間、公社の役員も、在籍している医師達も、医師の確保につとめ、やっと市内病院の2名の医師がリハビリテーション病院に来てくれるところまでたどりつき、それらの医師は在籍している病院にも2月いっぱいで病院を移ることを決めていました。そして、わが会派ではこの医師と面談し、その事実を確認しています。

 この2名の医師が増えれば、運営も改善し、しかるべき時期にリハビリ専門医も来てもらえる状況になり、赤字を小さく抑えながら公社として病院経営ができたはずです。

 しかし、先ほどの改善勧告に対する回答にあったように、「常勤医の可能性はあるものの、将来の見通しから躊躇せざるをえない」という理由で、公社はその医師を断っています。

 将来の見通しとは、この時期にすでに、他の病院に指定管理者が移るであろうとの判断がされていたと考えられます。

 公社自ら、この事態を改善し動き出そうとした矢先、市当局は確保が困難な、常勤のリハビリ認定医を条件に付して、公社が継続してリハビリ病院を運営することができないよう、その芽を摘んでしまいました。何故、わざわざ来てくれるという医師を断ったのでしょうか。新しい医師が来ることでその後の計画に支障をきたすことになることから断ったとも推測できます。
 
 二つ目に、浜松市の責任はどうであったのでしょうか。公社と共に、病院内の問題の解決に力を尽くしたのでしょうか。その責任が問われています。

 公社としては今後のあり方を大きく変える、非常に重い改善勧告に対する回答を出すわけですが、経営に責任を持つ公社の理事会も開かれず、運営会議で検討され回答を出していることは問題を残しています。

 我が会派では公社が回答を出した後、11月14日に市長に対し公開質問状を提出しました。その席上、公社の重責にある市の幹部は、改善勧告の回答について何も知らず、理事会も開かれなかったとの発言は驚きです。

 医療公社の責任を言えばいうほど、そこに関与する浜松市の責任も同等に重く関わると受け止めることが当然ではないでしょうか。

 三つ目は、職員の雇用の問題です。公社に残りたい意思を持つ職員の雇用が確保されていません。

 公社が回答を提出した同日に職員の雇用について、公社役員と組合三役が交渉をしています。

 会議録では、リハビリ病院がこのような事態に陥った責任は経営の責任であって、労働者の責任ではないことや、雇用問題でも職員本人の意思を尊重することを確認しています。

 リハビリ病院に勤務する職員に対して、医療公社は1月25日までに意向調査を行いその結果、そのまま公社に残りたいと希望する職員が50名に及ぶと、2月21日には、リハビリ病院の職員に対して、「なるべく多くの方に、ここに残って目指したリハビリ医療をしてもらいたい」すなわち、聖隷に移ってもらえないかと市の幹部から職員に話をしています。

 そして、リハビリ病院の職員にとどまらず、医療センターの職員も含めて、再び意向調査をしていく方向が示されました。

 さて、指定管理者が変更することで、そこで働く労働者の雇用問題が発生します。リハビリ病院の51歳の看護師は、新しい指定管理者の下での雇用条件を聞いたところ、現状より給与が10万円低くなることがわかり大きな違いに驚き、また、この先どうなっていくのかという不安がつきまとい、精神的負担の中で仕事を続けることの大変さを訴えました。
 
 このように、「官から民へ」「規制緩和・民間開放」の大合唱の基で導入された、指定管理者制度そのものの欠陥が浮き出てきました。

 特に再指定切り替えによる深刻な雇用問題は放置できず、再指定されなかった施設の労働者の多くは新しい管理者に雇用されるか、失業、転職を余儀なくされ、それをまぬがれた労働者にも大幅な労働条件の引き下げが押し付けられています。
 
 住民福祉の増進を図るはずの地方自治体が、みずから失業者を生み出すようなことはゆるされるものではありません。

 最後に、聖隷福祉事業団から、指定管理者を希望する旨の通知の中に、浜松市に対しての要望が述べられています。

 1つとして、指定管理者の期間が過ぎた後、すなわち、23年度以降については、「時代に即した医療・介護・福祉サービスの提供を行うために、運営形態について検討」とだけあり、浜松市が強く望むリハビリテーション医療を継続することが約束されておらず、将来に大きな不安を残すのではないでしょうか。
 
 本市は政令指定都市の中で、唯一基幹的な市立病院を持たない自治体です。医療公社が公的医療を運営することで、救急医療や不採算部門の医療を行い、これまで市民の命と健康を守ってきました。

 地域医療に欠かせないリハビリテーション医療が新しい指定管理者の下でも将来に亘って継続できるようにすることが市の責務であることを指摘し、その継続が担保されていないことと合わせ、これまで述べた理由をもって第30号議案の反対討論とします。

(2008/3/6up)


   

浜松市リハビリ病院の指定管理者の指定についての
反対討論