ひ も の

ひものは 保存のために 干からびさせたものだから
パサパサ・カチカチ あまり旨くないのも仕方がない
ずっと そう思っていた。

ところが 伊豆に来て 旨いひものに出会った。
肉厚で 香ばしくて ジューシー。
付加価値の高い加工食品だと 思い知らされた。
それにしても ひものほど
旨い・旨くないがはなはだしい食品も ない様な気がする。

暮れも近い一日 西伊豆の田子を訪れた。
正月に不可欠の食材 塩カツオ作りが行われていた。
乾いた風が吹き抜ける 日陰で作らねばならぬと 教えられた。
旨いひものに 太陽の熱は無用のようだ。

土産に買った一夜干しで 一杯やりながら
「夜」という字に ひどく納得させられた。

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ひ も の

ひ も の