今日は夜は何にもイベントはなし。これは意図的なもので、今日はのんびり、談笑するなり、宿題するなり、洗濯するなりして下さいとの配慮から。ダイニングルームもめっきり数が少ない。車がある人などは遠くへ食事に行ったり、旧交を温めているのだろう。
ディナーのときに編物のスー先生を見つけたのでこの間の顛末を報告に。「あの〜先生、この間のセミナーのことで・・・」と言いかけると、スー先生ははニコニコしながら「もう聞きましたわよ」とのこと (え〜っ・・だれに?・・っていてもスーザンにしかいってないし。・・ということは・・もうっ、スーザンのおしゃべりっ。) と先生パンチじゃない、先制パンチをくらって赤面。
スー先生も「これからはマフラーって言ったほうがいいわね。ホホホ」と上品な笑顔で対応して下さった。
隣には70歳ぐらいのご主人が一緒でこちらも上品さがにじみでている。顔は上原謙(加山雄三の父)を外人にした感じ。ともにコロラドのボルダ−にお住まいとのこと。「そこは日本の陸上の選手が合宿しているので有名なんですよ」といったがそのことはご存知なかったみたい。
スー先生はもう70歳ぐらいで一番の年長先生なので、外で会っても思わずお辞儀をしてしまう。(日本の教育制度がしみついている私)
言葉がわからなくても人品骨柄はわかってしまうもの。こういう上品なババさまに私もなりたい。
ご主人さまから「カルチャーギャップのお勉強になったと思えば」とやさしいねぎらいの言葉ををいただいた。
ディナーが終わってからスエーデンのマリーとダウンタウンに散歩に行く。といっても坂を下って海岸に行くだけだが。
マリーは60歳近い背の高いスラッとした北欧人で、図書館の司書をしていたという。雑誌でIGMAのギルドスクールを知り、貯金をして退職したら来ようと計画していたようだ。そして今年ついに実現。スェーデンに日本人の友達がいるようだった。
海岸の景色はバンクーバーの入り江と似ている風景だった。マリーにスエーデンのフィヨルドのほうがダイナミックでしょうと聞いていると、近くで、「スゴーく感動する、素晴らしい景色だわ」」とウルウルしている生徒がいたのでびっくり。きっと彼女は内陸のカントリーの人だろう。
4件ある店のひとつがお土産屋さんなので、見に行くと他の生徒も来ていて、皆名札をつけたままだった。
ハワイのミニチュアクラブのお土産を買って、メインストリートとよばれる違う坂をのぼりキャンパスに帰ることにした。
ここには不動産屋とギャラリー、アンティークショップと郵便局があるだけ。時間は7時すぎで、まだ明るいがすでにどこも閉まっている。その先にINNとよばれる小さなホテルがあるが、(ここに泊まっている生徒もいる)、テラスで地元のじいさんたち4人組がカルテットでジャズみたいものを演奏していた。聞いてる人は10くらいだったが何かとても楽しそうだった。皆60歳以上の爺さんたちだったのが嬉しい。
そこをすぎると、すでにキャンパスの敷地に入っていたが、「Eばあさん」とすれ違った。
この人、メタルクラスで一緒なのだが、とてもメタルをしそうに見えない。せいぜいビンゴに出かけるシニアといったところ。60歳は越えている細身のおばあさんでちょっとこわそうで、近づきがたかった。
ダンナと息子と3人だった。家族で来てるのかと思いながら、振り返ると、3人で大きな木の周りで両手をひろげて幹の太さを確認しあっていた。何か幸せそうな3人家族で、「けっこうオチャメなおばあちゃんじゃん!」と意外な一面を見つけてほほえましかった。
キャンパスの丘のてっぺんまで上るとグラウンドがあり、地元の人が野球大会をしていた。50人くらいの家族がいてはじめてみる地元の人たちだった。けっこう人が住んでいるんだとびっくりした。
部屋に帰ると、スーザンが戻っていて、カードを作るので紙を持ってないかと聞かれた。折り紙ならあるけどと言って、ちょっとした包み方を見せると、喜んでそれを13枚作ると言い出した。
これは中にちょっとしたコインやメッセージなどを入れて折りたたむようになっている簡単なしろもので、日本ではあまりポピュラーではないので、名前などない。でも4回くらい折るだけでトリックのように開け閉めができるので、スーザンは喜んで、部屋に来る人ごとに見せていた。
そのうちマリーもきて、昨日のワインをすすめると結構飲んでいた。ちょうどダンナがシカゴへ出張だとかで、帰りはシカゴで娘とも落ち合うらしい。シカゴ美術館のソーンコレクションは絶対見逃すべからずと私からも皆からも言われて、見に行くのを楽しみにしている。折り紙で鶴を教えてあげたら夢中になっていた。
トニーもきたので折り紙を薦めたが、私と同じくらいめんどくさがりやしい。トニーの同室は南アのジャネットで得意のペインティング年代物の家具をいくつか見せてくれた。帰りにニューヨークの親戚の家に寄って、そのあとロンドンに行ってミニチュアショップに卸すという。彼女も60歳は超えていてリタイア組で今はミニチュア職人である。スーザンがブラシのことを聞き出そうとするがペイントは友人の担当だとかで濁していた。
うちの隣のジョリー(だったかな)もジョインした。彼女は相部屋を嫌って割増料金を払って1人で使っていたらしい。
そういえば、ここの部屋だとシャワーとか共同だけど、相方を見ないなとは思ってた。彼女は40歳代で1児の母。でも買ったばかりの子犬が気になるとか。自動車で帰れる距離なのでうらやましい。とっているクラスは刺繍で、持ってきて見せてくれた。 何でもこのクラスは刺繍のデザインは自分で考えるらしい。仕上がりが楽しみ。(でも結局彼女はこのあと仕上がらなかったが・・・)
そんなこんなで夜は過ぎていった。
寝る前にスーザンになにげなく聞いてみた。「最初の夜ってどこに泊まったの?」「キャンピングカーよ」(えっ〜車できたの?・・だってトロントだよね) 「ダンナが運転してきてくれたのよ。あさってまた来るから紹介するわ。」
といって馴初めなんかを話してくれた。「30歳を過ぎてもうこのまま独身かしらと思ったときにジミーが現れたのよ。彼は離婚してトロントに移ってきて大学の職員会で初めて会ったの。今は法律家で弁護士ではないけど・・・。先妻の娘はまだ19なのに最近妊娠しちゃって。どうするか知らないけどね。・・・」などと消灯後の暗闇で私たちはお互いの半生を語りあった。
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