IGMA Guild School 2001
スクール到着3日目(クラス1日目)
さていよいよ1日目が始まる。
私は朝いちのクラスはとっていないので9時半くらいまではフリー。
朝食が終わって、事務局に行ってEメールを送りたい旨を相談すると、ボランティアのシニアのレイモンド爺さんがキャンパスの図書館にPCがあるといって連れて行ってくれた。
ダイニングの向かい側にある図書館は蔵書も多く静かでだれもいない。ノーチェックで2階に上がると、確かにパソコンがあったのだが、あいにくホットメールのようなウェッブ上のEメール以外にはアクセスできないようにブロッキングされている。レイ爺さんのメールはウェブ上にあるのでそこから家へメールを送ってもらうことにする。
何とか家に”無事着いた”のメールを送る。電話をかけようとしたけれど、時差と電話をかけられる時間が限られているのでタイミングが合わず、Eメールしか手段がなかった。でもこれじゃ毎日レイさんに頼むわけにはいかないので、誰かモバイルなんか持っている人はいないかを、ダメ元でメッセージボードに貼ってみる。250人もいるのだから1人ぐらいいてもおかしくはないのだか、何せ年齢層が高いのでどうでるか・・・
このメッセージボードはダイニングの入り口にあるので、誰の目にもとまる。私も人を探すのが大変なので結構このボードを利用して物を渡したりしていた。
★☆さていよいよ一科目である。
イス(1日目) Nancy Summers
ナンシー・サマーズの長椅子つくりである。
ナンシー先生とアシスタントの夫のトム フレキシブルシャフトが並ぶ教室
教室に入ると12席の1人づつに、既にマニュアルとキットがおかれていて、それそれドレメルのドリルのフレキシブルシャフト付きが備わっている。全員揃ったところでまずは自己紹介かなと思ったのだけど、もういきなり制作に入る。すでにそれぞれのパーツはカットしてあり、まずはサンディング(やすりがけ)、紙やすりで各パーツの縁などを滑らかにしたあと溝を引く。これは正面の部分に模様として入れるのだけど、カッターナイフなどで線を引いた後、やおらドリルで溝をフリーハンドでなぞっていく。このフレキシブルシャフトは前から使いたかったのだけど、練習をするもどうもいまひとつなじめない。失敗できないと思うと何かよけいブレるので、結局ほとんどを細い棒ヤスリを使って溝を引くことにした。ドリルビッツも少し太い気がした。実はあとから他の生徒からも同じクレームがあったようでドリルを使わない方法で結局は正解だったようだ。
ここでも生徒構成は40歳代の男性2人と30〜70歳代の女性10人。リピーターがほとんどで、1年生は私を含め4人だけ。ナンシー先生は小柄の50歳代ぐらいでご主人のトムも生徒をサポートする。
カーブを描いた木製パーツはすでに切り出してあるのでデモとかはない。前面のカーブはデリケートな部分なので、その形に凹モルドを作り、中にパーツを当てはめて作業をする。
出来上がりはこんな感じになる(私の作品)
あっという間に2時間。ランチになる。
ランチライムの時にコーレイというロビン・ウィリアムに良く似た30歳代くらいの男性が、メッセージボードで見たんだけど、僕PC持ってるから使っていいよとのこと。私と同じで朝いちのクラスはとっていないので、あす朝おじゃますることにした。私の寄宿舎とは違う棟のようだ。ダメ元が効いたので嬉しい。
メタル(1日目) Alan Hamer
さて、ごごいちはメタルの教室。ツールの入ったボックスを風呂敷に包んで参上。
アラン先生は何か雰囲気がとってもユニーク。ヤクの売人と言われたらそうかもしれないと思う風貌。
私が教室に入っていったら、「スカラーおめでとう。これプレゼントだよ」と言って、アラン先生が作ったミニチュアの刀をくれた。
思いがけないことでとても嬉しい。「実はぼくも昔スカラーシップの学生だったんだ」と言うと、私の隣りのアリソンも去年のスカラーの生徒だったと言う。アリソンは大学で建築を学んだ30歳ちょっと前の女性でこのギルドスクールでは若い方。そう言えば5〜6人の若者のグループが食堂にいたっけ。そこだけヤングモードだったのでかえって違和感があったが。若い人がいるってことはミニチュア道を引き継いでいく上でとても大事なことだ。
ここでも生徒の自己紹介などせずにいきなり制作に入る。生徒は7人。40歳代の細くちょっと神経質タイプの男性(禿げた頭と丸めがねで、これで黒い事務腕巻きをすれば、総務課長代理っといったオジサン)、あと30歳代の肥満女性ともうひとまわり太った女性、それから50歳代の小柄で細い女性と60歳代の白髪のおばあさんまで。だれも一見してメタルを学ぼうというイメージではなく、「どこかの待合室にいる人々」のような雰囲気。
アラン先生が私に気を使って、だれか日本語のわかる人いない?と言うと、昔日本に住んでいたとエリーが名乗り出た。でも夫の赴任で東京にいただけので覚えているのは「オハヨウゴザイマス」程度で、残念。
このクラスではサーベル作りを学ぶ事になるのだけど、まずはここでもサンディング。材料の細いメタル線はなんと道路清掃車のブラシの破片を道端から拾ってきたとか。ほんとユニーク。ほとんどの人はあのブラシが金属製だったなんて知らないよね。とにかく、サンディングだけであっというまの2時間が経ってしまった。
このクラスで使うツール類は重くてかさばるので、皆教室のすみに置いておくことにした。
先生の机の上にはツールや見本がいっぱい。デモを覗き込む生徒達
さて、次の教室は向かいのビル。15分の休みがあるのだけど、もたもたしているとすぐ時間が過ぎてしまう。
フラワー(1日目) Sandra Wall
ここではサンドラ・ウォールのペーパーフラワーを習う。生徒は12人。30歳代から50歳代の女性と40歳代の男性がひとり(春風亭小朝に似ている)。
きのうアマリリスを教えてくれたロバートも今日は生徒のひとり。このクラスは私の意思ではなく、クラブのN女史のリクエストで選んだ。
ここでもいきなり制作。まずはバラの花。パンチアウトされた花びらをワイヤーに時計回りに接着して行く。ボンドと瞬間接着剤を混ぜるのがプロのちょっとしたノウハウ。けっこう面倒ではある。同じ材料で短い工程にもかかわらず、、皆それぞれ違う仕上がりになるのは面白い。
バラの花を4本作ったら、あっという間に2時間。部屋に戻る時間はないので、皆ツールをダイニングルームの入り口においてディナータイム。
今日と明日は7:30から夜のセミナーがあるので、食べたら部屋に戻って忘れないうちに日記のメモを書いておく。
スーザンは暑がりなのでいつも部屋のドアを開けておく。そのため他の人が入りやすくなっているのか、さっそく向かいのトニー(女性)が遊びに来る。
7:30からのセミナーはロストワックスだったが、デモはなく説明だけだったので、ちょっとがっかり。
もうお疲れの人もいたけど狭い部屋(誰かの執務室らしい・・・部屋には船の模型や海軍の勲章が)に10人もいたので気が抜けない。ほとんど40〜60歳代の男性5人と女性5人。ハタから見たらこの集まりはご町内の寄り合いといったところ。先生は40歳代のお腹がベルトから30センチ以上でている肥満男性で、傍らには細身の若い女の人、(てっきり娘だと思ったが名前が違うので恋人関係らしい。そういえば夕食のときこのカップルは、私の前に並んでいてキスなんかしてたぞ。どうでもいいけど・・)。先生は中年過ぎに仕事や家庭を仕切りなおして、ミニチュアを作るようになったとか。(バツイチか。すると新しい彼女?どうでもいいけど・・・)でもこの人の作る貴金属食器は18金、14金、銀とゴージャス。
セミナーの中でレジンで作ったイスを見せてくれたが、(木のパーツがレジン)、良くできていて本物とよくわからないほどだ。ソーンコレクションはレジンものが多いと聞いたことがあるが、この出来栄えなら私は納得して買うだろう。
長い一日がやっと終わろうとしていた。部屋に戻るとスーザンが近所の人と懇談していた。いつもケラケラ笑って巨体をゆすっている。体形だけでなく、心も広く包容力のある人。きっと血液型はOだろう。カナダ人にしては珍しく、少しハワイアンが入っているんじゃないのと思うほどオープンだったので、緊張もせず過ごせた。この人がルームメイトにでよかった。
今日一日クラスでは心配していたヒアリングも何とかごまかせた。いつものように私はオフィシャルには無口でシャイな日本人を演じているが。
シャワーを浴びるが、やっぱりお風呂に入りたい。スーザンは暑がりなので扇風機を2つつけて窓を開け放して寝る。私はそんなに暑いとは思わないが、ハワイでも靴下をはかないと寝冷えするナイーブ体質なので対照的。
バタバタと一日目が忙しくすぎていった
時差ボケで2時間後に目が覚めて、明け方まで眠れなかった。