第3節 急襲! ならず者集団マゼランフォース隊

(画面)画面左端に惑星ガトランティスの北半球。右中央にクレーターの目立つ衛星の全景。はるか後方には小さくもうひとつの衛星が見える。
(字幕)第一衛星エルフォン(画面下部横文字)

(画面)衛星エルフォンへクローズアップ。その赤道付近に巨大な基地施設が見えてくる。
(字幕)エルフォン軍事防衛統合センター(画面下部横文字)

(画面)基地内滑走路内。そこへ整列している4人のパイロット。全員がフルフェイスメットを小脇に抱えて直立している。4人へ向いて立っている制服軍人の後ろ姿。
(効果音)ロケット噴射のテスト音。機械音。他雑音。

(画面)4人のパイロットの上半身の整列の描写。
(字幕)ガトランティス中央防衛線エルフォン軍所属特殊飛行部隊(通称マゼランフォース隊)(画面下部横文字)

(画面)左端のパイロット。赤い戦闘服。黒い眼帯を右目にしている。筋肉質。
(字幕)バルラン(画面下部横文字)
バルラン「レッドデスバデーター騎乗のバルランです。(右手のひらを上げる)」

(画面)2番目のパイロット。青い戦闘服。細身で長身。鋭い視線。
(字幕)サトスヒン(画面下部横文字)
サトスヒン「ブルーデスバデーター騎乗のサトスヒンです(右手のひらを上げる)」

(画面)3番目のパイロット。黄色い戦闘服。ひげ面。巨体。
(字幕)リッシュ(画面下部横文字)
リッシュ「イエローデスバデーター騎乗のリッシュです。(右手のひらを上げる)」

(画面)4番目のパイロット。緑の戦闘服。小柄。あどけなさが残る顔立ち。
(字幕)ジューイ(画面下部横文字)
ジューイ「グリーンデスバデーター騎乗のジューイです。(右手のひらを上げる)」

(画面)上官らしき制服軍人が右手のひらを上げて下げる。

(画面)手を下ろす4人のパイロット。

(画面)制服軍人。
上官「命令を伝える。これはレック・アルド閣下の直々のものである。失敗は許されない。心して聞け」

(画面)かかとを打つ4人のパイロット。

(画面)命令書に視線を移す制服軍人。
上官「オルカバーンより,ひとりの囚人が脱走した。囚人は宇宙艇を強奪し,本星ガトランティスの大気圏外へ逃走した模様。諸君の任務はこの宇宙艇を発見し撃墜することにある。宇宙艇はレネイドブーリー号。識別信号はすでに各戦闘機追跡コンピューターへインストール済みである。囚人の名はデスラー」

(画面)4人のパイロットがにわかに動揺する。
ジューイ「・・・長官。デスラーって,あのガミラスの総統のデスラーですか?」

(画面)うなずく制服軍人。
上官「そうだ」

(画面)顔を見合わせるパイロットたち。
バルラン「・・・こりゃ驚いた! とんでもない大物じゃあないか!」
リッシュ「オルカバーンにいたんですかい。死んだと聞いていたに・・・」
ジューイ「あの刑務所を脱走したんだ! すげえなあ!」
サトスヒン「デスラーを倒せば,我らマゼランフォースの名も宇宙に轟くというものだな」
ジューイ「そうだよ! 僕たちの名前が歴史に残るよ!」
バルラン「相手に不足はねえってもんだ! こりゃありがたい! 久々に腕が鳴るわい!」

(画面)制服軍人。
上官「静粛!」

(画面)かかとを打って整列する4人。

(画面)制服軍人。
上官「今現在,デスラーは本星よりNW260方向,24ガトランティスパーセク付近を航行していると思われる。まだワープ航法は行っていない模様だ。識別信号をしっかりチェックし,ワープ後も追跡できるように羅針(らしん)装置を調整しておくように。以上だ。直ちに出動せよ!」

(画面)一斉に右手のひらを上げる4人のパイロット。

(画面)宇宙空間を航行している宇宙艇レネイドブーリー。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットのデスラーの右半身。その向こう側には床にあぐらをかいて背中を向けているフロール。腕を組んでいるようだ。
デスラー「(微笑)まだ,ご機嫌斜めかな? お嬢さん」
フロール「(振り向く)当たり前だ! うら若き乙女にあんな乱暴な振る舞いをするとはそれでも一国の指導者か! 私は嫁入り前なのだぞ! 身体に傷でもついたらどうするのだ!」
デスラー「傷はついているのかい?」
フロール「ここでチェックできるわけないだろう!」
デスラー「なるほど。それもそうだ」

(画面)コクピットのデスラーの左半身。
デスラー「(顔を向ける)しかし,そろそろ私を脱走させた理由をおしえてもらいたいのだがね。ワープをしようにもどこへ向かったらいいか,分からない始末だ。バルゼーにはあの方法で通用したが,坊やの場合はそうはいかないはずだからね。必ず追っ手を差し向けているだろう」
(画面)ふくれ面のフロール。
フロール「・・・坊やとはレック・アルドのことだったのか。確かに坊やだな。とても兄とは思えない幼い頭の持ち主だ。暴虐な父の影に隠れてろくに戦った経験もないのだ。屁理屈は超一流だけどね」

(画面)立ち上がるフロール。サックを探ってカプセル状の機械を取り出す。
フロール「ま,いつまでもこうしてはいられないだろうな。お前を脱走させるために私は全ての仲間を失ってしまった。古い体質のガトランティス政府に反感を持っていた若き政治家軍人たちだったのだ。皆,私の提案を受け入れて無条件で協力してくれた。あの仲間たちのためにも私はどうしても目的を達成しなければならない」

(画面)前部パネルへ歩み寄るフロール。
フロール「・・・しかし,デスラー。お前の場合は無条件というわけにはいかない。お前の協力を得るためには,脱走させたというだけでは恐らく不十分だ。お前とは取り引きを成立させなければならない。まず,お前にこのメッセージを聞いてもらおう。これは,大マゼランのさいはてで座礁した宇宙船に乗っていたガミラス人が持っていたメッセージカプセルだ。私が裏ルートで手に入れた」

(画面)目を細めるデスラー。
デスラー「・・・ガミラス人?」

(画面)操作パネルにフロールの両手。右手にはカプセルを持っている。左手でスイッチを押し,投入口の蓋を開ける。そこへカプセルを縦に挿入。蓋を閉め,さらに操作。
(効果音)操作音。

(画面)振り向くフロール。
フロール「再生するぞ,デスラー」

(画面)デスラー。

(画面)周波の波が広がる。画面にアップ。
(BGM)イスカンダル
(通信音声)・・・地球のみなさん。私はイスカンダルのスターシア・・・。戦後復興は進んでいますか? あなたがたの繁栄を心から祈っています。・・・私はイスカンダルのスターシア・・・。

(画面)少なからず表情が変わるデスラー。

(画面)フロール。

(画面)操作パネルのスクリーンに周波の波が揺れる。
(BGM)イスカンダル
(通信音声)・・・この通信カプセルを持っているガミラス人は大丈夫です。私のこのメッセージを送り届ける使者として私が差し向けた者です。けして害を及ぼす存在ではありません・・・。このメッセージを受け取ったあなたにお願いがあります。このカプセルを宇宙戦艦ヤマトのみなさんへわたしてください・・・。次のセクターにはヤマトのみなさんへのわたしからのメッセージが記録されています・・・。大変大切な内容なのです。あなたの今の状況を知らない私ですが,無理を承知でお願いします。このカプセルをヤマトのみなさんへわたしてください・・・。お願いします・・・。私はイスカンダルのスターシア・・・。

(画面)表情が固まっているデスラー。

(画面)興味深げなフロール。
フロール「・・・次のセクターを再生するぞ」
(画面)操作パネルを操作するフロール。

(画面)操作パネルのスクリーンに周波の波が揺れる。
(BGM)イスカンダル
(通信音声)・・・ヤマトのみなさん。私はイスカンダルのスターシア。お元気ですか? ごぶさたしています。私は今でもあなたがたの勇気と,知恵と,実行力に心から感服しているのです。このメッセージを聞いてくれているということは,コスモクリーナーDが正常に作動したということですね。作戦成功おめでとうございます・・・。戦後復興のあかつきには,今度は戦争抜きでまたイスカンダルにお立ち寄りくださいね。今度はたっぷり時間をかけて,地球とイスカンダルとの友好を深めましょう。・・・ヤマトのみなさん。お願いがあります。あのデスラーがあなたがたを追って銀河系方面へ出て行ったようなのです。すでに決している勝敗をあの男はあえて無視してあなたがたに戦闘をしかけようとしています。もはやこれ以上の戦いは無意味です。デスラーには戦いを思いとどまらせたいのです・・・。あの男は必ず,あなたがたの前に現れます。デスラーと遭遇したらこのカプセルの次のセクターのメッセージをあの男に聞かせてやってください。そのメッセージを聞いてなお,あなたがたに戦いを挑むような思慮の浅い男ではないはずです。あの男にとっても重要な内容なのです。ご迷惑をかけます,ヤマトのみなさん。大変難しいお願いですが,無理を聞き届けてください。マモルとふたりで,またあなたがたに会える日を楽しみにしています。・・・私はイスカンダルのスターシア・・・。

(画面)見つめているフロール。
フロール「大変丁寧な言葉使いだ。声もやさしげで好感が持てる。私も見習いたいくらいだ。よほど高貴な女性なのだろう。あの極悪非道なイスカンダル帝星の女性とは思えないな。そして,次のセクターはお前宛だ,デスラー」

(画面)操作パネルの周波の波。
(BGM消える)
(通信音声)・・・デスラー? あなたなのですね! あなたはそこで何をしているのですか! すでに決している戦いに往生際(おうじょうぎわ)悪くすがりつくなど,男のくせに女々しいではありませんか! 今ガミラスがどのような状況になっていると思っているのですか! 戦災の難民たちが助けを求めて逃げ惑っているのですよ! 私とマモルで救助活動をしましたが間に合わず,各戦線に散り散りになっているガミラスの戦士たちへ必死で連絡を取ったのです! あなたが勝手に飛び出して行って命令系統もバラバラです! 皆それぞれの判断で難民救済に躍起になっているのです! 助け出されたガミラスの人たちは続々とイスカンダルへ上陸しています! ガミラスはまだ滅んではいないのですよ! こんな時にあなたは自分勝手な自尊心を満足させることのみに盲目になり,自分の国を放ったらかしにするとは,あなたそれでも総統ですか! 私には信じられないことですが,あなたみたいな愚か者でも皆あなたを待っているのです! 今やっていることを直ちに中断して,こちらでガミラス復興の指揮をとりなさい! 早くこちらへ戻ってくるのです! わかりましたね! 私はイスカンダルのスターシア!(ツーーー)

(画面)目を丸くしているデスラー。
(画面)目を細めるフロール。
フロール「・・・お前,かなり怒られてるぞ。何が怖いといって,普段やさしい女性が怒る時ほど怖いものはないからな。くわばらくわばら・・・」
(画面)苦笑するデスラー。
デスラー「もう少し穏やかに言ってくれてもよさそうなものだが・・・」
(画面)フロール。
フロール「このメッセージが本物か偽物かを確かめるだけでも,脱走した意味はあると思うが・・・?」
(画面)微笑するデスラー。
デスラー「その必要はない。これは間違いなく本物だよ。ふふ・・・。相変わらず人を呼び寄せるのが好きなお人だ・・・。・・・そうか。ガミラスは滅んでいなかったか。私も焼きが回ったものだな。スターシアには感謝しなければならないようだ。私の還る場所を守ってくれていたとはね。スターシアか。今となっては,それがたとえ怒号(どごう)であってもこよなく懐かしい声に聞こえてくる・・・。私は天涯孤独ではなかったということだ・・・」
(画面)探るような視線のフロール。
フロール「デスラー。お前,このスターシアとかいう女性と親密な関係なのか?」
(画面)笑みを浮かべ,正面を向くデスラーの左半身。
デスラー「スターシアは我々が捕らえた捕虜の地球人を助けたらしい。確か,マモル・・・コダイとかいう名前だったか。私の前に2度も立ちはだかったコダイという地球人と何がしの関係があるかも知れない。このメッセージから判断すると,どうやら一緒に生活しているようだな。多分私と全く正反対の性格の男なのだろう。つまり私とスターシアは宇宙で一番相性が悪いのだ。そういう意味では親密な関係かも知れないがね」
(画面)軽く息を吐くフロール。
フロール「この宇宙戦艦ヤマトという船が,我が父を倒したという地球の戦艦か?」
(画面)上を向くデスラー。
デスラー「お嬢さんのお父上と刺し違えたと聞いたがな。・・・この私の人生を見事に狂わせてくれた戦艦だ。生涯初めて敗北という屈辱を味わった。・・・強かったよ。素直に認めざるを得ないな。オキタという艦長には一度でいいからお目にかかりたかったものだ。今となっては,はるかなる存在だが・・・」

(画面)気がついたように,顔をこちらへ向けるデスラー。
デスラー「ははは。随分と私をしゃべらせてくれたものだね。どうやら私を動揺させることに成功したようだよ,お嬢さん。これが私との取り引きの材料かね?」
(画面)フロール。
フロール「そうだ。お前を脱走させ,お前にこの情報を提供した。少なくとも不十分ではないと思うが」
(画面)微笑するデスラー。
デスラー「・・・なるほどね。最低レベルで認めよう。それで,お嬢さんからの私への条件とは何かな?」
(画面)うつむくフロール。

(画面)うつむいているフロール。ゆっくりと顔を上げる。
フロール「デスラー・・・。私を地球へ連れて行け」
(画面)いぶかしげな表情のデスラー。
デスラー「・・・地球?」
(画面)その場であぐらをかくフロール。
フロール「・・・そうだ。地球は民主主義国家と聞いている。我がガトランティス連邦は民主主義をろくに知らない。大マゼランには民主主義国家など皆無だ。民主主義というのは優秀な頭脳を結集し,政策の方針を定めると聞く。私は民主主義を学びたいのだ」
(画面)あきれた表情のデスラー。
デスラー「民主主義・・・? 何を言い出すかと思えば・・・。地球へ行きたいのならば,私などに頼らず仲間たちと向かえばよかったのじゃないかね? こんな犠牲を出してまで私に頼むことではなかったろう」
(画面)うつむくフロール。
フロール「こんなに犠牲を出すつもりでは毛頭なかった。本来の計画は仲間たちも一緒だったのだ。皆,民主主義を学びたいと思っていたのだ。・・・ひとりの君主が一国の政治を担うという従来の古い体制に疑問を持っていた者たちなのだ。まさか,全滅してしまうとは思っていなかった」
(画面)神妙な面持ちのデスラー。
デスラー「・・・お嬢さんの仲間たちのことは心より痛み入る。私を連れ出すために犠牲になったことについては私も残念であり,責任も感じている。しかし,なぜ私を脱走させなければならなかったのかね。私にとっては有難い話だが,お嬢さんたちにとってはあまりにもリスクが大きすぎやしなかったかね?」
(画面)フロールが顔を上げる。
フロール「お前は地球の正確な場所を把握している。それに地球人とも面識がある」
(画面)あごを上げるデスラー。
デスラー「最悪の面識だがね」
(画面)フロール。
フロール「しかし,お前は最後の最後で地球人の側についた。地球人にとって,我がガトランティスを撃退できたのは,お前の協力があったからだ。地球側の情報としてその事実は残されているはず。地球人の心情に取り入ることのできる可能性がないわけではない。それに引き換え,今の段階ではガトランティス人のみが地球へ行っても信用される可能性はゼロだ。今の地球人にとっての脅威はガトランティスだからな。そしてガミラスとガトランティスが不仲であることは地球も情報として知っているはずだ。そこへ私たちとお前が一緒に行けば,地球人たちの不信もやわらぐと考えたのだ。イスカンダルのスターシアも使者としてガミラス人を差し向けようとしていた。このメッセージとお前がそろえば地球人と打ち解ける唯一の手段になると判断した」
(画面)首を傾げるデスラー。
デスラー「お嬢さんは少し考えが甘いようだね。ガミラスもガトランティスも地球人たちにとっては憎むべき侵略者にすぎないのだよ。このまま行っても太陽系内で蜂の巣にされるのが落ちだ」
(画面)むきになるフロール。
フロール「他に方法がないのだ! それに民主主義は身元の分からぬ来訪者を無下に攻撃はしないと聞いている。情報によると地球国家は白い旗を出しておけば即,敵だとは思わないそうだ」
(画面)苦笑するデスラー。
デスラー「お嬢さんは情報処理に堪能だね。色々と調べているようだ。(ここで真顔)・・・しかしね,お嬢さん。実際の現実世界はデーターとは異なるものだ。何もかも計算通りにいくわけではない。例えば,データーの上では宇宙戦艦ヤマトが私をやぶる可能性などほとんどなかった。しかし,現実の私は脱走囚人としてここにいる。宇宙とはそういうものだよ」

(画面)うなだれているフロール。
(画面)視線を下方へ注ぐデスラー。
デスラー「民主主義とはそれほどいいものかね?」
(画面)顔を上げるフロール。
フロール「恐らく,最強の政治体制だ。主権が国民にあるだなんて魅力的な言葉だとは思わないか? 全ての人々は自分の意思で人生を決められるのだ。戦う者,守る者,造る者・・・軍隊も強制的ではなく,戦う意思のある者たちだけが集まる。それぞれの国民は,それぞれの可能性を,それぞれの方法で,それぞれに試すことができる。たとえ失敗してもまたやり直しがきくのだ。素晴らしい世界じゃないか」
(画面)あごに手を触れるデスラー。
デスラー「・・・よく分からないな。そんな緊張感の無い世界では国民は堕落していくのではないかね?」
(画面)フロール。
フロール「それでは堕落した国にガミラスがやぶれたとでもいうのか? デスラー」
(画面)再び苦笑するデスラー。
デスラー「ふふ・・・。面白い・・・。なるほどね。まあ,いいだろう。色々と納得のいかないこともあるが,私もお嬢さんには恩義がある。しかも相当な犠牲を払ってくれたのだ。お嬢さんの情報を現実世界で試してみてあげよう。しかし取り引きはそこまでだよ。もし運よく地球との話ができる段階になったら,私はさっさと身を引かせてもらう。私はあいにく民主主義なるものに全く興味がないのだ」
(画面)表情がやわらぐフロール。
フロール「デスラー。感謝する」
(画面)微笑するデスラー。
デスラー「ほう。お嬢さんも笑うことがあるとはね。普通に”ありがとう”と言ってみるかね?」

(画面)宇宙空間。・・・中央から何かが近づいてくる。ひとつではない。それは猛速度で中央から画面下部へ通過していく。4つの光の帯。赤・・・青・・・黄・・・緑。
(効果音)複数の推進音。

(画面)宇宙空間を飛行する4機のデスバデーターの正面。それぞれ機体が赤,青,黄色,緑にペインティングされている。・・・赤いデスバデーターのコクピットへクローズアップ。フルフェイスメットのゴーグルの中に見える隻眼の男・・・バルランである。
バルラン「・・・ははあ! 見つけたぞ! 白い宇宙艇だ! ふらふらのんびりと宇宙旅行をご満悦のようだぞ」
(リッシュの声)・・・逃げていると聞いているにな。緊迫感がないに。
(ジューイの声)・・・いいじゃんか。早くやっつけちゃおうよ!
(サトスヒンの声)・・・いや,待て。空間に歪みの反応がある。どうやらワープをするつもりだ。我らもワープの準備をしたほうがいい。
(ジューイの声)・・・ええ? 面倒くさいなあ。僕,ワープって嫌いなんだよね。
バルラン「全機,識別信号を羅針装置へ照合しろや! 逃がしやしねえ! 勲章ものの相手だからな! 俺たちもワープだ! 隊列を崩すなよ! ワープ明けに攻撃開始だ!」

(画面)遠ざかっていく4機のデスバデーター。
(効果音)複数の推進音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。操作パネルのスクリーンに8本のラインが横に表示されている。縦方向に等間隔に並んでいる。その上を上下に波状移動を繰り返している点。やがて右側に8本のラインが集中している部分が右から左へ動いてくる。波状運動の点に接近していく。
(効果音)等間隔の電子音。
(画面)操作しているデスラーの左半身。後ろの席にはシートベルトを締めて座っているフロール。
フロール「サンザー系には向かわなくていいのか? デスラー」
デスラー「スターシアにはまた怒られるかも知れないが,あいにく時間が限られているのだ,お嬢さん。ズォーダーの坊やは地球進行作戦を計画している。戦争が始まってしまえば,もはやどのような説明も地球人たちには通用しない。絶対に坊やたちよりも先に地球へ行かなければならない。地球進行の警告を前もって地球人たちに知らせれば,少しはお嬢さんの立場も優位になるはずだからね」
フロール「戦争を回避することはできないのか?」
デスラー「(微笑)お嬢さん,それは不可能だ。それに地球人たちがまともにお嬢さんの話を聞く保障もない。恐らく時間はほとんどないだろう。しかもこの戦争は間違いなく地球が負ける。万が一にも地球が勝利する要素はない。物量が違いすぎるのだ。坊やは地球を植民地にするつもりはない。地球を残すような攻撃はしてこないだろう。最初から全面破壊の攻撃をしてくる。地球にいる者は全て抹殺するだろう。楽観できる可能性は全くないと言っていい」
フロール「私はガトランティスの大帝の娘だぞ。私が地球にいれば・・・」
デスラー「可能性の一端として頭に入れておくよ,お嬢さん」
(画面)操作パネルのスクリーン。8本のラインが集中している箇所に波状運動の点が重なる。

(画面)宇宙空間。影のように船体がぼける宇宙艇レネイドブーリー。波のように揺らぐ空間に同化するようにゆっくりとその姿を消滅させていく。
(BGM)V
(効果音)ワープ音。

(画面)宇宙空間。消えた時と同様に揺らぎながら空間に姿を現す宇宙艇レネイドブーリー。
(BGM消える)
(効果音)ワープ音。

(画面)バルランのアップ。
バルラン「攻撃開始だあ! いけやあ!」

(画面)宇宙空間に展開する4機のデスバデーター。大きく広がり目的へ向かって円錐形に推進。
(BGM)M−46
(画面)画面中央に小さく宇宙艇レネイドブーリー。画面四隅から向かっていく4機のデスバデーター。
(効果音)複数の推進音。

(画面)気づくデスラー。視線を鋭く右へ向ける。
(BGM)M−46
(画面)操縦管を握っているデスラーの両手がすばやく右方向へ引かれる。

(画面)手前に4機のデスバデーター。あえて手前へ接近してくる宇宙艇レネイドブーリー。
(BGM)M−46

(画面)バルランのアップ。目を丸くしている。
バルラン「おお? 撃てえ!」

(画面)4機のデスバデーターから続けざまに機銃発射。しかし命中せずデスバデーターの弾光ををやりすごす宇宙艇レネイドブーリー。左へ傾きながら4機の下を通り過ぎていく。画面左へ加速,画面より退場。
(効果音)機銃発射音。推進音。

(画面)黄色いデスバデーター。
(リッシュの声)・・・む,向かってきたに! 逃げると思ったにさ!
(画面)青いデスバデーター。
(サトスヒンの声)・・・私たちの下をくぐっていった!
(画面)緑のデスバデーター。
(ジューイの声)・・・面白い! 面白い!

(画面)遠ざかっていく宇宙艇レネイドブーリー。反転してそれを追う4機のデスバデーター。
(効果音)複数の推進音。

(画面)後ろを向いているフロール。
(BGM)M−46
フロール「な・・・何だ?」
(画面)不敵な笑みのデスラー。
デスラー「・・・どうやら,お客さんらしい。おもてなしをしなければいけないようだ」

(画面)推進する宇宙艇レネイドブーリー。急ブレーキ噴射をかけて右側面を見せ,右方向へ加速。通り過ぎ遠ざかる4機のデスバデーター。急上昇をかける4機。
(BGM)M−46
(効果音)複数の推進音。

(画面)小さく見える宇宙艇レネイドブーリーの上部。手前から急降下していく赤,青,黄,緑のデスバデーターがそれぞれ蛇行して同機へ襲い掛かる。

(画面)青いデスバデーター。
(サトスヒンの声)・・・±Y,±X方向をふさげ! ±Zに進路を残せ!

(画面)見上げるアングル。4機のデスバデーターが一斉に機銃発射。弾光が画面中央に集約するように接近してくる。
(効果音)機銃発射音。複数の推進音。

(画面)弾光の交差する中心から急上昇する宇宙艇レネイドブーリー。後方で爆発。上昇し,画面から退場。
(効果音)衝撃音。

(画面)青いデスバデーター。
(サトスヒンの声)・・・+Z方向だ! 方形隊形!

(画面)機首を持ち上げ,急上昇する4機のデスバデーター。加速してくる。アングルが縦90°回転。画面を上方向に通り過ぎていく。さらに見上げるアングル。はるか上の宇宙艇レネイドブーリーを目指して高速で上昇していく。
(効果音)複数の推進音。ドップラー効果。

(画面)上昇する宇宙艇レネイドブーリーを四方から囲むデスバデーター隊。4機ともコクピット面を宇宙艇レネイドブーリー側へ向けている。
(効果音)複数の推進音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。座席の背もたれを下に右を向くフロール。
(BGM)M−46
フロール「・・・マゼランフォース隊じゃないか! いやな連中がきたものだ!」
(画面)90°のコクピットのデスラー。
デスラー「お知り合いかな?」
(画面)視線そのままのフロール。
フロール「史上最低の俗悪人種だ! 敵にまわすとやっかいだが味方にしてもやっかいだ! 毒にはなるが薬にはならない。憎むこともはばかれるほど,係わり合いにはなりたくないゴロツキどもだ!」
(画面)デスラー。
デスラー「ふふ。実にわかりやすい説明だね。おかげで彼らに親近感を持ったよ」

(画面)デスラーの左手と左足のハイアングル。左足がペダルを踏み,左手がレバーを引き寄せ手前に倒す。左足を離す。

(画面)4機のデスバデーターの中央から急激に減速し,画面手前へ接近してくる宇宙艇レネイドブーリーの後部。画面いっぱいにアップ。
(BGM)M−46

(画面)下の宇宙艇レネイドブーリーへ向けて大きく弧を描いて同機の側面へ高速で迫っていく4機のデスバデーター。
(効果音)推進音,交錯。

(画面)赤いデスバデーター。
(バルランの声)逃がさんぞ! 総統殿!

(BGM)M−46
(画面)4機のデスバデーターが一斉に機銃掃射。加速する宇宙艇レネイドブーリー。弾光をかわし,先程減速した逆方向へ急激に速度を上げる。すぐさま追尾するデスバデーター4機。間髪入れず機銃攻撃。
(効果音)推進音。機銃発射音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの正面の描写。後方から追いついてくる青いデスバデーター。左側へ回り込み,機銃掃射。下方へ避ける宇宙艇レネイドブーリー。画面追尾。下方右側より黄色いデスバデーターが同機へ機銃攻撃。さらに下方へ避ける宇宙艇レネイドブーリー。両側から赤いデスバデーターと緑のデスバデーターが挟み込んで攻撃。そしてさらに下方へ逃げる宇宙艇レネイドブーリー。
(効果音)推進音。機銃発射音。

(画面)黄色いデスバデーター。
(リッシュの声)・・・Z方向だけでかわし続けてるに!
(画面)青いデスバデーター。
(サトスヒンの声)・・・機動性が高い船だな。
(画面)緑のデスバデーター。
(ジューイの声)・・・そろそろ本気出そうよ! お兄さんたち!
(画面)赤いデスバデーター。
(バルランの声)・・・隊形変えるぞ! 一気に決めたる! フォトフォースアロー・アタックじゃ!

(画面)方向をそろえる4機のデスバデーター。かわして陣形を脱出する宇宙艇レネイドブーリー。追いかけていくデスバデーター。
(効果音)複数の推進音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。コクピットのデスラー。
デスラー「お嬢さん。後ろの機銃砲塔に行ってくれるかな。あの仲良し4人組はなかなか私の射程範囲に入ってくれないものでね」
(BGM)M−46
(画面)後部座席のシートベルトを外すフロール。
フロール「射程範囲? あの連中とまともにやりあうつもりか?(立ち上がる)」
(画面)視線を変えないデスラー。
デスラー「彼らが逃げれば,話は別だがね」

(画面)高速で画面を通り過ぎる宇宙艇レネイドブーリー。追いかけていく4機のデスバデーター。
(BGM)M−46
(効果音)複数の推進音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの後部。ドーム型の展望窓の下に2門の機銃砲塔。座席に座りシートベルトを締めるフロールの姿。後ろを振り向く。
(フロールの声)・・・ぶっ放すぞ,デスラー!
(画面)機銃砲塔のアップ。次々と弾光が発射される。
(効果音)機銃発射音。
(画面)弾光が宇宙空間を切り裂く。後続の4機のデスバデーターが進路を変更する。追いかける弾光。画面追尾。しかし,デスバデーターは楽々とかわし続ける。

(画面)砲塔座のフロールのアップ。
(BGM)M−46
フロール「くそ! 全然あたらないぞ!(撃ち続ける)」
(デスラーの声)心配無用だ,お嬢さん。機械の故障ではない。
フロール「(天を仰ぐ)あうあ!」

(画面)画面手前に宇宙艇レネイドブーリーの側面。フロントガラス内にデスラーの姿。向こう側を4機のデスバデーターが追い抜いていく。
(BGM)M−46
(効果音)噴射音。ドップラー効果。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。デスラーのアップ。
(BGM)M−46
(画面)操縦管を握っているデスラーの右手。親指をはじく。機銃発射ボタンを押す。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの全面。弾光が発射される。
(BGM)M−46
(効果音)機銃発射音。
(画面)追いかける弾光をかわす緑のデスバデーター。
(ジューイの声)・・・わあ!
(バルランの声)気を抜くんじゃねえ! 隊形を整えろ!
(画面)隊形を広げて遠ざかる4機のデスバデーター。
(効果音)遠ざかる複数の推進音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。デスラーのアップ。
(BGM)M−46

(画面)デスラーの視線。接近してくる黄色いデスバデーター。機銃を放ってくる。迫る弾光。
(BGM)M−46
(効果音)機銃発射音。
(画面)黄色いデスバデーターを左方向へ避ける視線。
(画面)連動。・・・左方向へ同じ速度で目の前に現れる青いデスバデーター。同機から弾光が発射されている。先程より余裕無く弾光をかわすように下方向へ避ける視線。
(画面)連動。・・・下方向へ同じ速度で目の前に現れる緑のデスバデーター。すでに機銃が発射されており,弾光が船体に接触した模様。視線が衝撃でぶれる。辛うじて右方向へ避ける視線。
(画面)連動。・・・右方向へ同じ速度で目の前に現れる赤いデスバデーター。機銃の弾光は直前に迫っている。回転する視線。

(画面)回転しながら弾光をかわす宇宙艇レネイドブーリー。画面を通過する黄色いデスバデーター。
(効果音)入り乱れる推進音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。回転するフロール。
フロール「あうああ!」

(画面)体勢を整えて左へ旋回する宇宙艇レネイドブーリー。画面を各方向から通過する4機のデスバデーター。
(BGM)M−46
(効果音)入り乱れる推進音。
(リッシュの声)・・・全部避けたにか!?
(サトスヒンの声)・・・ジューイ! 何をしている! 少し遅れたぞ! お前で決めるタイミングだろう!
(ジューイの声)・・・お兄さんのプレッシャーが弱かったんじゃないの?
(バルランの声)・・・いがみあうんじゃねえ! もう一度フォトフォースアローじゃ!

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。コクピットのパネルスクリーンを見ているデスラーの左斜め後ろ姿。
デスラー「・・・ラグランジュポイントの反応があるな。(操作する)アステロイドベルトか・・・」

(画面)宇宙空間に流れるように漂う小惑星の帯が向こう側に見えている。その方向へ,まっすぐに向かっていく宇宙艇レネイドブーリー。後部からはフロールの機銃が発射され続けている。どうやら弾切れの心配はないらしい。弾光を避けながら同機を追尾していく4機のデスバデーター。・・・ここでアングルが彼らに固定。向かって来る小惑星帯。たちまち画面いっぱいに猛速度で乱舞する大小の小惑星帯の世界へ突入。
(BGM)M−46
(効果音)機銃発射音。推進音。

(BGM)M−46
(画面)小惑星帯に突入する宇宙艇レネイドブーリーの後部からの描写。機銃は発射され続けている。正面からランダムに迫って来る大きさのまちまちな小惑星群を避けながら蛇行前進する同機。小惑星をかわして小惑星の向こう側へ姿を隠す宇宙艇レネイドブーリー。次の瞬間砕け散る小惑星。フロールの発射している弾光と砕けた小惑星の破片が画面いっぱいに散乱する。
(効果音)小惑星の砕け散る音。

(画面)小惑星と,弾光を避けている4機のデスバデーターの正面。さらに砕け散った破片が各機にふりそそぐ。わずかにバランスを崩す。さすがにダメージを受ける4機のデスバデーター。ぐらつき,間隔が狭まる。
(BGM)M−46
(画面)青いデスバデーターと緑のデスバデーターのツーショット。
(ジューイの声)・・・わあー! ぐちゃぐちゃだあ! フォトフォースアローは無理だあ!
(サトスヒンの声)・・・近すぎるぞ! ジューイ! 機間距離を守れ!

(BGM)M−46
(画面)乱舞する小惑星群をたくみにかわして画面向こう側から通過していく宇宙艇レネイドブーリー。追跡する4機のデスバデーター。破壊された小惑星のかけらが画面いっぱいにアップ。
(画面)回転して迫って来る宇宙艇レネイドブーリーの正面。フロールの放っている弾光が小惑星のかけらを次々と生産していく。同機の通過した跡には複数大小のアステロイドリングが形成されている。お互いのリングが接触し,さらなる破片を生む。4機のデスバデーターは隊列を崩しながらも破片を回避し追尾。
(効果音)衝撃音多彩。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。コクピットのデスラーの後ろ姿。フロントガラスには眼前に迫って来る小惑星。それをかわしても,さらに新たなる小惑星が出現する。さながらシューティングの迫力。
(BGM)M−46
(画面)砲座のフロールの後ろ姿。360°の方向から遠ざかっていく小惑星群。照準を合わせて機銃を打ち続ける。もはやデスバデーターは狙ってはいない。次々と小惑星を砕く弾光。小さな小惑星はそれ自体が破壊されていく。破片は全て遠ざかっていく。

(画面)優越感あふれるフロールの表情。
フロール「かっかっかっか・・・! マゼランフォースもたじたじだぞ! アステロイドを防御と攻撃に利用するとは冴えているな,デスラー!」
(画面)操縦管をたくみに操るデスラー。後ろにはフロールの後ろ姿。
デスラー「以前に同じような攻撃を受けて痛い目にあった経験があってね。(小声)・・・しかし,あれがうら若き乙女の笑い声とはね・・・(苦笑)」
(フロールの声)・・・かっかっか・・・!

(BGM消える)
(画面)小惑星の破片にさらされている赤いデスバデーター。
(バルランの声)・・・くそ! これじゃ,どうにもならねえ! アステロイドから脱出するぞ!
(ジューイの声)ええ? デスラーを見失っちゃうよお!
(サトスヒンの声)じゃあ,お前だけ残るんだな。
(画面)急上昇していく4機のデスバデーター。流れる小惑星群に見え隠れする。
(効果音)遠ざかる噴射音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。砲座のフロール。機銃発射を止める。
フロール「やつらが,アステロイドベルトから脱出していくぞ,デスラー」
(画面)操縦管を操るデスラーの正面。右後方には振り返っているフロール。
フロール「・・・私たちも脱出したほうがいいんじゃないか?」
デスラー「ここではまだ,彼らに近すぎる。もうしばらく距離をかせいだほうがいい」
フロール「こんなアステロイドの中でそんなに長く操縦できるのか?」
デスラー「(微笑)・・・だいぶ慣れてきたよ,お嬢さん。もうしばらくは無事でいけるだろう」
フロール「油断は禁物だぞ,デスラー。”だろう運転”ではなく,”かも知れない運転”を心がけろよ」

(画面)小惑星帯を眼下に隊列を整える4機のデスバデーター。
(リッシュの声)・・・アステロイドの中じゃ,レーダーでデスラーを拾えないに。

(画面)フルフェイスメットのゴーグルを上げるバルラン。不快さが表情に表れている。
バルラン「・・・くそ面白くもねえ! 羅針装置のスキャナーをマックスにしろや! やつとて,あんな危ねえところにいつまでもいられるわけがねえ! 軌道の外で待ち構えてやるわ! 手分けしろ! 見つけ次第,連絡をよこせよ! 通信装置は開放したままにするんだぞ! 随時会話が入るようにしておけや!」

(画面)それぞれ別方向へ散開する4機のデスバデーター。
(効果音)各自遠ざかる噴射音。

(画面)小惑星帯の内周サイドを飛行している青いデスバデーター。
(効果音)単機の噴射音。

(画面)小惑星帯の上周サイドを飛行している赤いデスバデーター。
(効果音)単機の噴射音。

(画面)小惑星帯の下周サイドを飛行している緑のデスバデーター。
(効果音)単機の噴射音。

(画面)小惑星帯外周サイドを飛行している黄色いデスバデーター。
(効果音)単機の噴射音。
(画面)コクピットのリッシュ。ゴーグルを上げて,レーダーをチェックしながら外部の観察もしている。
(効果音)他の3人の会話が小さく聞こえる。
(画面)リッシュの視界。何の変化も見られない小惑星帯の全景。
(画面)ため息をつくリッシュ。視線を上に上げる。
(画面)フロントガラスの上にはさんである写真。ふくよかな女性が笑顔で写っている。
(画面)通信ボタンを押すリッシュの右手。横のランプが消える。他の3人の会話が聞こえなくなる。
(画面)笑みを浮かべるリッシュ。
リッシュ「・・・ベルデーテ。やっと,おらにも運が巡ってきたに。この任務が終わったら,きっとたんまり賞金がもらえるにな。そしたら,おめえを迎えにいくに。長い間待たせてしまったからになあ・・・」

(画面)小惑星帯の全景。

(画面)小惑星帯サイドを飛行している黄色いデスバデーター。
(効果音)単機の噴射音。
(画面)デスバデーターの外部から見たコクピットのリッシュ。何かを見つけたような表情。
(画面)小惑星帯の全景。そこから,ふたつの光が瞬いている。
(画面)コクピットのリッシュ。
リッシュ「何だに? あれは・・・」

(画面)小惑星帯の中でひときわ小さな小惑星。その地表からふたつの光が発光している。しかし,それ以外の変わったところはない。

(画面)方向を変える黄色いデスバデーター。
(効果音)単機の噴射音。
(画面)小惑星へ接近していく同機の後部。小惑星へ向けて近づいていく。

(画面)小惑星の地表のふたつの光。

(画面)けげんな表情のリッシュのアップ。

(画面)他の小惑星と同じように移動していた小さな小惑星が不自然にその動きを停める。

(画面)驚愕するリッシュの表情。

(画面)コクピットのリッシュの右手。機銃発射装置ではなく,通信装置ボタンへ手を伸ばす。

(画面)小惑星帯の中から猛烈な速度で飛び出す小惑星。ふたつのヘッドライトが上向きに照射されている。光が正面へ移動。白くなる視界。
(効果音)大きな噴射音。

(画面)直射光をあびて,眩しそうに目を細めてフルフェイスメット通信マイクに叫ぶリッシュ。
リッシュ「いた! デスラーだ!」

(画面)機銃を発射する黄色いデスバデーターの正面。
(効果音)機銃発射音。

(画面)機銃の弾光を無数に浴びる小惑星。表面に亀裂が走り,褐色の破片が四方に飛び散る。その中から飛び出す白い宇宙艇。
(効果音)弾光の命中音,爆裂の衝撃音。
(画面)たてつづけに機銃を掃射する宇宙艇レネイドブーリーの正面。
(効果音)機銃発射音。

(画面)破片に翻弄(ほんろう)される黄色いデスバデーター。
(画面)デスバデーターのコクピット内。無数の破片の中で眩しい光の中でかばうように両腕を上げているリッシュの後ろ姿。弾光をあびてフロントガラスに次々とひびが入る。

(画面)フロントガラスの上にはさんである女性の写真が外部から貫通してきた弾光で穴があく。
(効果音)破壊音。気圧の低下による空気音。

(画面)黄色いデスバデーターの上部を通り過ぎる宇宙艇レネイドブーリー。あとには沈黙した黄色いデスバデーターが残される。・・・次の瞬間,同機がすさまじい爆光を放つ。
(効果音)爆発による衝撃音。噴射音。
(画面)爆光を背に画面左横へ退場していく宇宙艇レネイドブーリー。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。コクピットのデスラーのアップ。
デスラー「(嘲笑)ふふ・・・。お客さんがひとり,お帰りになったよ」

(画面)宇宙空間のかなたへ遠ざかっていく宇宙艇レネイドブーリー。
(効果音)小さくなっていく噴射音。

(画面)右後方へ振り返るバルラン。
(画面)思わず顔を上げるサトスヒン。
(画面)ゴーグルを上げるジューイ。
ジューイ「・・・え? やられちゃったの・・・?」

(画面)爆光が徐々におさまっていく中,宇宙空間にデスバデーターの破片が拡散していく様子。その中に,持ち主を失ったフルフェイスメットが浮遊する。メットの中央に大きな穴があいている。メットの近くに穴の開いた写真が寄り添うように流れてくる。

(画面)爆発がおさまった宙域へ集まっている3機のデスバデーター。破壊された戦闘機の破片が浮遊している。

(画面)赤いデスバデーター。
(画面)ゴーグルを上げているバルランのアップ。
バルラン「・・・リッシュ・・・。どうやら俺たちは少し甘く考えすぎていたようだな。俺たちの相手は,ひとの上にふんぞりかえっていた運動不足の中年おやじじゃねえぞ・・・。(顔を上げる)・・・サトスヒン! ジューイ! これからは単独行動は禁止だ! 死にたくなければな。任務も中止しねえ。リッシュの仇だ。どんなことをしてでもあのガミラス人の首を取ってやる!」
(サトスヒンの声)了解。
(ジューイの声)・・・了解・・・。
(画面)反転して加速していく3機のデスバデーター。
(効果音)複数の噴射音。

(画面)白く輝いている惑星ガトランティスの全景。
(画面)海の近くにある造船ドックらしき建物をバードビュー。天候は快晴。
(画面)建物の内部。大きなガラススクリーンの前に立っている若者の後ろ姿。白いマントにグレーの髪。・・・レック・アルド・ズォーダー。ガラススクリーンの外側は巨大な工場のようである。何かを製造している様子。溶接の火花らしき光が所々からガラススクリーンに反射している。
(画面)右端にレックの上半身アップ。左側には後方に控えているバルゼー。
レック「(視線は変えずに)・・・来たか。バルゼー」
バルゼー「・・・(頭を下げる)」
レック「(笑み)昨日の一件は不問にする。デスラーとフロールに関してはすでに手を打ってある。ほどなくあのふたりはこの宇宙から抹殺されるはずだよ」
(画面)振り返るレック。
レック「・・・おかげで手間が省けたというものだ」
(画面)頭を上げるバルゼー。
バルゼー「・・・若君。なぜ私めにデスラーを追わせていただけなかったのでしょうか」
(画面)おどけるような表情のレック。
レック「ははは。バルゼー。貴官にはもっと大きな任務があるのだ。あのような小物の相手をさせるわけにはいかないよ・・・。(背中を見せる)それより,こちらへ来い」
(画面)バルゼーが歩み寄り,ガラススクリーンをはさんでのレックとバルゼーのツーショット。
(BGM)M−16
バルゼー「(驚き)・・・! 若君・・・!」
レック「(笑み)どうだ,バルゼー。貴官の記憶と一致しているかね? バルゼミア観測員の記憶のレイアウトと,あのガミラス人の知識とを融合させて完成させた図面をもとに製造させている。完成してからの変更はできるだけ避けたいと思っているのでね。まだ製造途中だが,今のうちに貴官に確認してもらおうと思っていたのだ」
(画面)顔を向けるバルゼー。
バルゼー「・・・若君。あの宇宙戦艦の動力は・・・」
(画面)顔を向けないレック。
レック「むろん,波動エネルギーだよ」
(画面)しばらく沈黙のバルゼー。
バルゼー「・・・若君・・・波動エネルギーは・・・」
(画面)ガラススクリーンから離れるように歩を進めるレック。かえりみるバルゼー。
レック「(後ろ姿)貴官の言いたいことは分かる。この上なく危険なエネルギーだね。しかし親父殿もかつてデスラーのために波動エネルギーの戦艦を造った前例がある」
(画面)ガラススクリーンを背にするバルゼー。
バルゼー「・・・通常の融合エネルギーではいけないのですか?」
(画面)振り返るレック。
レック「・・・それでは意味はない。兵器そのものが変わってしまう。ガトランティスの融合エネルギーの兵器への変換率はイスカンダルの波動エネルギーより劣るのだ。融合エネルギーは兵器としてではなく,兵器を発動させる動力として利用されることの方が多い。一般の生活エネルギーとしては安全で安定はしているが,やはり戦争では波動エネルギーからは正直見劣りがする。ショックカノンや,艦首波動砲はエネルギーそのものが兵器だ。波動砲と同じエネルギー砲を融合エネルギーで発射しようと思えば,ガトランティックサイズの戦艦が必要になってしまう。まあ,今から全艦隊3万隻を波動エネルギー仕様にすることは不可能だが,この戦艦なら一隻で地球軍に対して充分効果が期待できると思ってね」
(画面)再びガラススクリーンから外を見るバルゼー。
バルゼー「タキオン粒子の管理システムは確立しているのですか・・・?」
(画面)中央にバルゼーの直立している後ろ姿。左側にレックの右顔の表情。
レック「ふふ。毒物のタキオンを管理するのは至難の業だ。今の科学力では大気圏内管理は無理だね。イスカンダル帝星の二の舞になる。恐らく地球でも生活エネルギーに波動エネルギーは使用してはいないだろう。あの世代ならせいぜい恒星光発電程度のはずだ。我々も通常使用するのは今のところ融合エネルギーにするしかないね。ただ,波動エネルギーの研究は推進するつもりだ。滅びても構わない植民地惑星を使ってね。これほどの大国になってしまうとエネルギー問題は不可避だ。この戦艦の完成がエネルギー問題解決の糸口になるのではないかと期待しているところなのだ」
(画面)ガラススクリーンの中の険しい表情のバルゼー。
(画面)工場内で建造されている宇宙戦艦の一部の描写。
(BGM消える)

(画面)宇宙空間。星が点々としている。
(ナレーション)・・・大宇宙の知的生命体の進化の歴史は様々である・・・。それぞれの星によって環境が異なる中,進化の過程もその星独特の対応により変化に富んでいる。しかし,知的な意識を持つことと,文明を築くこととは別問題である。高度な文明を築くことができる知的生命体の身体的条件はやはり限られたものになる傾向にあるようだ・・・。重くなった脳を支えるために直立歩行し自由で器用な前足を確保することと,自分の体温を一定に保つことができ,言葉によるコミュニケーションをとれるようになること・・・。哺乳類から進化したヒューマノイドが宇宙へ進出できたのは,けして偶然ではない・・・。

(画面)黄土色の惑星の全景。
(字幕)惑星ビーメラ(画面下部横文字)
(ナレーション)・・・この星の知的生命体は不幸なことに,進化の過程の歯車がほんのわずかに狂っただけで宇宙へ進出できる機会を永久に失った・・・。哺乳類は進化を忘れ,昆虫がそれに取って代わってしまったのである・・・。ゆえに,この星の歴史は他のヒューマノイド知的生命体の暴挙に翻弄(ほんろう)される運命となってしまった・・・。この昆虫型知的生命体の支配する惑星はかつてはガミラス帝星の植民地として食料の対象とされてきたが,ガミラスが衰退したその後はガトランティス連邦の制空権となってしまっている・・・。

(画面)惑星ビーメラの地表。巨大な蜂の巣状の建物が列挙する中に,その中では不自然にそびえ立っている壮大なアンテナタワー。傍らに建設されている建物も異彩を放っている。
(ナレーション)・・・ここはかつてガミラス帝星の大マゼラン外宇宙監視の重要な通信センターでもあった。監視センターの名のごとく,ここで通常使用されていたワープ通信装置は宇宙の法則を超越し何万光年離れた場所同士でもリアルタイムな会話を可能としており,戦略上の迅速な対応を実現していたのである。宇宙戦艦ヤマトがこの惑星に立ち寄った際に,そのワープ通信装置は沈黙することとなってしまったが,破壊されたわけではなかった。この壮大な宇宙の中でのお互いの通信では,あのヤマトの乗組員をも混乱せしめたワープ通信は必要不可欠である。通常の光通信で会話をするにはこの宇宙は広すぎるのだ。そして現在,ガミラスの科学の粋を尽くしたこの施設はほぼ無傷の状態でガトランティスに占拠されている・・・。

(画面)建物の内部廊下。男物の軍服に身を包み,髪の毛を短くしている女性兵士が手前に歩いて来る。かなりの美形であるが,化粧気はない。無表情に口を硬く閉じている。・・・やがて廊下に面するドアの前に立ち止まると,身体の正面をドアに向ける。
(効果音)響く靴音。
女性兵士「パメラ様。失礼いたします」

(画面)ピンクに彩られた室内の描写。中央に出入り口のドアが見える。そのドアが開いて先程の女性兵士の全身が現れる。直立不動。
女性兵士「パメラ様。本星のレック・アルド閣下よりワープ通信が入電しています。こちらの端末にリンクいたします。お出になりますか?」
(画面)向こう側を向いているソファーに腰掛けている金色の長い髪の毛の女性の後ろ姿。右手はワイングラス状のカップの中の赤い液体を揺らしている。
女性「・・・お出になりますかって・・・? ビリュー・ルー」
(画面)振り返る女性。切れ長な瞳に長いまつげ。赤みがかった白い肌に整った赤い唇が気持ちよく微笑んでいる。絶世の美女である。赤い軍服の襟が余裕をもって細く長い首を包んでいる。滑らかな金髪がなで肩の上をさらりと流れる。
(字幕)大マゼラン外宇宙ビーメラ監視センター所長パメラ・ストリーム(画面下部横文字)
パメラ「もちろん出るわよ。(微笑)そんなの,当たり前じゃなくって? 野暮(やぼ)ね」

(画面)無表情の女性兵士。
(字幕)参謀秘書ビリュー・ルー(画面下部横文字)
ビリュー「連邦政府はパメラ様をこの星に一方的に幽閉されました。しかも異国のむさくるしいこの施設にです。監視任務とは名ばかり,連絡ひとつ無く長い間パメラ様をないがしろにされてきたのです」
(画面)魅惑的に微笑むパメラ。
パメラ「ふふ。可愛い娘。好きよ,ビリュー・ルー」

(画面)退室し,頭を下げるビリュー・ルー。彼女を廊下に残してドアが閉まる。

(画面)ソファーに座ったまま足を組むパメラ。正面のテーブルにグラスを置く。

(画面)パメラの右後方の描写。細くしなやかな右手を操作パネルへ伸ばす。正面のスクリーンに反応があり,そこへレック・アルド・ズォーダーの上半身が映し出される。
(効果音)スクリーンの電子音。
レック「・・・久しぶりだね,パメラ」
(画面)パメラの笑顔。
パメラ「あらぁ。レックぅ。うれしいわ。私を覚えていてくれたのね」
(画面)スクリーンのレック。頬杖をついている。
レック「忘れられるわけはない。時々お前を夢に見る。まだ後遺症が残っているようだ」
(画面)誘うように目を細めるパメラ。
パメラ「ふふ。また以前のようにふたりで夢のようなひと時を過ごしたいわぁ」
(画面)苦笑するレック。
レック「せっかくだが遠慮しておこう。メンタルクリニックに入院して立ち直るのに2ヶ衛星の時を必要としたのだからね。親父殿がお前をそこへ置かなければガトランティスは滅亡していたかも知れない。こうしてスクリーン越しでも,お前の影響を感じるのだ。直接顔を合わせるのは自殺行為に等しい」
(画面)くすくす笑うパメラ。
パメラ「つれないのね・・・。じゃあさあ,レック。せめて誰か男をこっちへよこしてよ。・・・部下は全員女だし,この星にいるのは虫人間ばかり・・・。寂しくてしょうがないのよ。あなたのお父様に相談してみてくれない?」
(画面)スクリーンのレック。
レック「親父殿が死んだことは承知しているはずだが」
(画面)まっという表情のパメラ。
パメラ「あら。急な話ね。ここ,監視センターなのに何の情報も入ってこないわ。そうなのぉ・・・。もったいないわ。いい男だったのに・・・。ふふふ。どうせ,女にでも殺されたんでしょう? あの女たらし」
(画面)表情が固まるレック。
(画面)流し目のパメラ。
パメラ「どうやら図星だったみたいね」
(画面)頬杖の手を替えるレック。
レック「(笑み)・・・まあいい。それよりお前にいい話がある」
(画面)微笑するパメラ。
パメラ「わざわざ連絡をよこすぐらいですものね。どんなお話?」
(画面)スクリーンのレック。
レック「デスラーというガミラス人を知っているか?」
(画面)あごに指を触れるパメラ。
パメラ「デスラー? ・・・ガミラス帝星の総統だったかしら? 通信メディアで読んだ覚えがあるわね。時間だけはいっぱいあるもの。・・・確か,独身貴族を気取ったダンディズムな独裁者・・・。戦争で負けたんじゃなかったかしら? その後は行方不明になったって・・・」
(画面)あごを上げるレック。
レック「我が連邦に亡命していたのだ。その後,重大な裏切り行為を行って刑務所に入っていた。・・・死罪が決まっていたのだが,先日刑務所を脱走してね」
(画面)首を傾けるパメラ。
パメラ「まあ。波乱万丈な人生ねえ。指導者の地位から脱走囚人まで落ちちゃうなんて。人間の運命なんて分からないものね。・・・私も脱走しちゃおうかしら」
(画面)笑みを崩さないレック。
レック「冗談に聞こえないな」
(画面)意味ありげな笑みのパメラ。
パメラ「そのデスラーがどうかしたの? レック」
(画面)頬杖を外すレック。
レック「今,フロールと行動を共にしていてね」
(画面)思い出す表情のパメラ。
パメラ「・・・フロール・・・フロール・レイム? あら。あのお姫様? まあ。あの小娘,どうしてそんな危なっかしい男と一緒にいるのかしら・・・?」
(画面)スクリーンのレック。
レック「その理由はさほど重要ではない。重要なのは,マゼラン・フォース隊からの連絡で今現在そのふたりがそちらへ向かっているということだよ。詳しい理由は不明だがね」
(画面)目を細めるパメラ。魔性の表情をあからさまにする。
パメラ「ふふ。レック。私に何を期待しているのかしら?」
(画面)再び頬杖をつくレック。
レック「いい話だろう?」
(画面)グラスの中の液体を一気に飲み干すパメラ。
パメラ「・・・(息をつく)・・・お尋ね者なら,連邦政府が対応すればいい事ではなくって?」
(画面)微笑するレック。
レック「これ以上,お前の犠牲者を増やすわけにはいかないからね。それに今は戦争の準備で忙しいのだ」
(画面)妖艶に瞳が潤んでくるパメラ。
パメラ「久しぶりの男だわ・・・。ふふふ。全部私に任せてくれるのね? レック」
(画面)スクリーンのレック。
レック「それは質問かね?」

(画面)宇宙空間を航行している宇宙艇レネイドブーリーの左斜め側面。
(効果音)噴射音。

(画面)宇宙艇内部。コクピットで計器類を確認操作しているデスラー。後ろからフロールが覗き込んでいる。
フロール「・・・デスラー,そっちはバーム星系じゃないのか。いくら私でも分かるぞ」
デスラー「(操作中)・・・通り道だ。時間的ロスはほとんど無いよ,お嬢さん」
フロール「(振り仰ぐ)そうじゃない・・・! この星系の第4惑星はビーメラだろう?」
(画面)フロールの視点。振り返るデスラー。
デスラー「ほう。謙遜する割には詳しいね。そこで少し用件を足そうと思っている」
(画面)フロールのアップ。
フロール「行くな」
(画面)デスラー。
(画面)前面パネルに手をついて前方を見るフロールの左半身。
フロール「悪いことは言わない。行くな。あそこにはビーメラのパメラがいる」
(画面)再び計器類に向かうデスラー。
デスラー「ガトランティス人かね?」
(画面)前面パネルに手をついたまま振り向くフロール。
フロール「そうだ。・・・そして,ある意味では連邦最強の戦士だ。恐らくデスラー,お前でも太刀打ちはできないだろう。相手が悪すぎる」
(画面)計器類を操作しているデスラー。
デスラー「あそこには大ガミラスの最前線監視施設があるのでね」
(画面)歩み寄ってくるフロール。
フロール「今はガトランティスが占拠している。デスラー,周回軌道計算は中止したほうがいい。今,ビーメラへ行くのは自殺行為だぞ。お前は絶対にパメラには勝てない」

(画面)宇宙空間を同じように飛行している,赤,青,緑の3機のデスバデーター。
(効果音)複数の噴射音。
(画面)赤いデスバデーター。
(バルランの声)・・・随分と物騒なところへ向かっているじゃねえか,ガミラス人。
(サトスヒンの声)やつの目的は何なんだ。
(ジューイの声)・・・あんなとこに行きたくないよ,バルラン。早く攻撃しちゃおうよ。
(画面)コクピットのバルラン。
バルラン「・・・ジューイ。俺たちゃ,もう3機しかいねえんだぞ。宇宙空間では4機でさえ,デスラーに傷ひとつ負わせられなかったじゃねえか。3機じゃフォトフォースアロー・アタックも無重力の空間では不完全だ」
(ジューイの声)・・・だからって,ただ追いかけてるだけじゃしょうがないよ。
(サトスヒンの声)・・・あえて,ビーメラまで待つのか? バルラン。
バルラン「そうだ。無重力で縦横無尽(じゅうおうむじん)のデスラーも惑星上の重力圏内では同じようにはいかないはずだ。俺たちは重力圏内の飛行訓練も充分積んできている。重力下では落ちる力と舞い上がる力の合力で前進しなければならなくなる。あの型の宇宙艇よりは我らのデスバデーターのデザインの方が有利だ」
(ジューイの声)ええ? パメラにやられちゃうよぉ! あいつ,見境(みさかい)ないんだよ!
バルラン「・・・いかにパメラといえ,飛んでる俺たちに手出しはできねえさ。とっとと仕事を終わらせて早くおうちに帰ろうぜ,ジューイ」
(画面)宇宙空間を遠ざかっていく3機のデスバデーター。
(効果音)複数の噴射音。

(画面)惑星ビーメラの全景。惑星周回軌道へ接近していく宇宙艇レネイドブーリーの後部。
(効果音)噴射音。

(画面)宇宙艇内部。コクピットのデスラー。
デスラー「もうすぐ大気圏突入するよ。お嬢さん」
(画面)大気圏突入に備えて後部座席でベルトを締めているフロール。
フロール「(ふくれ面)行くなっつうのに行くのか! お前,私をぜんっぜん信用していないんだな!」
(画面)微笑するデスラー。後ろから覗き込んでいるフロール。
デスラー「お嬢さんが驚く程,私はお嬢さんを信用しているよ」
フロール「私が,お前の言葉を信用できんわ!」

(画面)惑星ビーメラの地表。時間帯は昼のようだ。窒素特有の青空。右上から左下へ下降していく一筋の火の玉。大気層は薄いらしく,比較的大きく見える。その火の玉を見上げる数匹のビーメラ先住民族。直立歩行しているが,その姿は地球のスズメバチに似ている。周囲には蜂の巣を思わせる居住建造物が並んでいる。
(効果音)轟音。

(画面)宇宙艇内部。デスラーの視界。フロントガラスの外の景色。広大な熱帯の森林が遠くまで続いている。大気圏内飛行による景色の移動。
(画面)コクピットのデスラーが左後方を見やる。
デスラー「ベルトを外しても大丈夫だよ,お嬢さん」
フロール「(画面右から顔を出す)とっくに外している。デスラー」
デスラー「お・・・」
(画面)腰に両手を引っ掛けて前傾姿勢をとるフロール。
フロール「ここでの目的を聞かせてもらおう。ここまで来てしまってはもうどうしようもないが,とにかくこれは私の船だ。船の持ち主には事情を説明する義務があるぞ,デスラー。宇宙の常識だ」
(画面)正面へ向き直るデスラーの左側面。
デスラー「ここの通信施設に用事がある」
(画面)目を丸くするフロール。
フロール「まさに,パメラのいる真っ只中じゃないか! お前は事の重大さを全く分かってないぞ! デスラー,私の言葉を聴いていなかったのか!」
(画面)再び顔を向けるデスラー。
デスラー「バルゼーにも一歩も引かなかったお嬢さんがそれほど恐れるとはね。それほど強いのかね,そのパメラという戦士は?」
(画面)その場であぐらをかくフロール。わずかに下を向く。
フロール「強いというのは,少し語弊(ごへい)がある。・・・ただ勝てないだけだ」
(画面)デスラー。
(画面)顔を上げるフロール。
フロール「私のような女からは大した脅威ではない。お前が男だからこそ勝てない相手だ」
(画面)首を傾げるデスラー。
デスラー「不思議なことを言うものだね」

(画面)フロール。(彼女のバックには説明の回想シーンが展開される)
フロール「・・・パメラは先天的に男を狂わせる能力を持っているのだ。彼女が生まれた直後に父親が狂い死にした。幼少の時には大の男たちを何人も取り巻きとして従わせた。成長していくうちにその能力はさらに強力になっていった。パメラのもとには彼女に狂わされた男たちが何万人にも膨れ上がった。狂わされた男たちはけしてパメラに逆らうことができず,どのような悪事にも何の躊躇(ちゅうちょ)もなく命令に従った。死ねという命令にも喜んで命を投げ出す始末だ。あの女の発するフェロモンは私の父やあのレック・アルドさえも悩ませたぐらいだ。パメラの存在がガトランティス連邦そのものの存亡を危うくしたのだ。父が,パメラに影響を受けない女性兵士たちに命じてビーメラに幽閉したのは,ちょうどガミラスがビーメラから撤収した直後だ。そうでもしなければ類を見ない完全な忠誠心を持つ男たちの最強の軍隊が出来上がってしまうところだった。・・・分かったか,デスラー。パメラとはそういう戦士だ。お前が男である限り,あの女に勝つことはできない。あの女のフェロモンに見舞われたが最後,お前の過去も未来も全て壊されてしまう。ガトランティスでは,テレザートのテレサと並んで”双璧の魔女”として恐れられている存在なのだ」

(画面)あごに手を当てるデスラー。
デスラー「なるほど。そういうことか。それは手強そうだな。もう少し早くおしえてくれればよかったかも知れないね,お嬢さん」
(画面)立ち上がるフロール。
フロール「お前が私の話を全然聴こうとしなかっただろうが!」
(画面)再び正面を向くデスラー。
デスラー「(微笑)まあ,参考にはなった。感謝の極みだ。せいぜい気をつけるとしよう」
(画面)食い下がるフロール。
フロール「普通にありがとうと・・・! (ふと表情が変わる)・・・って?」

(画面)操縦しているデスラーの左半身。

(画面)目を三角にしているフロール。

(画面)操縦しているデスラーの左半身。

(画面)目を三角にしているフロール。・・・目を細めるフロール。
フロール「・・・あのなあ・・・やけに余裕じゃないか? デスラー・・・」

(画面)操縦しているデスラーの左半身。

(画面)フロールの細い目が流し目をつくる角度。
フロール「・・・まさか・・・お前・・・」

(画面)振り向くデスラー。

(画面)少し引き気味のフロール。
フロール「・・・そういえば,お前,その歳で結婚していないようだし・・・」

(画面)振り向いているデスラー。

(画面)少し引き気味のフロール。

(画面)首を傾げるデスラー。

(画面)口を”いの字”にするフロール。
フロール「・・・ひょっとして,男にしか興味がないとか・・・?」

(画面)目を丸くするデスラー。次の瞬間,たまらず吹き出す。
デスラー「(顔をあおぐ)はははははは・・・。これはいい・・・」

(画面)左端にフロールの右横顔。右端からデスラーの左横顔が接近する。・・・おもむろにデスラーの右手親指と人差し指第二関節がフロールのあごをはさみ込む。
デスラー「(フロールのあごを軽く持ち上げる)・・・何なら,試してみるかい? お嬢さん。(微笑)」
フロール「・・・う・・・。(顔を持ち上げられても視線はデスラーに)」

(パメラの声)・・・お楽しみのところ,お邪魔してごめんなさいね。
(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。フロントガラス上部のスクリーン。横にノイズが走り,パメラの上半身が映し出される。
(効果音)スクリーンの電子音。

(画面)見上げているデスラーとフロール。

(画面)スクリーンのパメラ。絶世の美しさ。
パメラ「・・・ふうん。あなたがデスラー? あら,いい男じゃないの・・・」

(画面)見上げているデスラーは微笑。フロールは”いの字”。
デスラー「男の趣味はいいようだね。ご婦人。貴女もなかなかのものだよ」
フロール「・・・(デスラーを見る)」

(画面)妖艶に微笑むパメラ。
パメラ「・・・ふふ。ありがとう。私はビーメラのパメラ。来てくれてうれしいわ。伝説の独裁者デスラー総統にエスコートしてもらえるなんて夢のようよ。早く逢いたいわ」

(画面)右手を胸にあてて頭を下げるデスラー。
デスラー「申し遅れた。美しいご婦人。私がガミラスの総統デスラーだ。(頭を上げる)あいにくだが,界隈(かいわい)で同じ言葉を何度もうけたまわっている。順番待ちだが,よろしいかな?」

(画面)とろける笑顔のパメラ。
パメラ「ふふふ。考えておくわ。(視線を右へ)・・・あらぁ,お久しぶりね,お姫様。何なのかしら? その黒ずくめの格好は? やだわぁ,それでは美しくなくってよ。国を追い出されてそこまで落ちぶれちゃったのね。かわいそうに・・・。化粧気もないじゃない。せっかくのお年頃なのにね。いいわ。あなたは殺さないでおいてあげる。私のスタイリストにお願いして,あなたを宇宙一の妾(めかけ)にしてあげるわ」

(画面)パメラの部屋。ソファーに座っているパメラの右斜め後ろ姿。正面のスクリーンには立ち上がって見上げているフロールの激怒している顔のアップが映っている。
フロール「・・・大変有難い話だが,その申し出は却下させてもらうぞ! パメラ! そもそも国を追い出されたのはお前の方だろうが! 自分の振り見てから人に話しかけよ! そんなちゃらちゃらした格好しなければ人前に出れぬお前と違ってな,私はこの格好でも充分魅力を引き出せる若さが満ち溢れて困っているのだ実は! シャワーを浴びれば,頭の先から足のつま先まで水が流れるピチピチの肌を見せてやろうか! かわいそうに,お前なんか,水がひっかかりまくりだろうに! 化粧なんかしなくても私には豊富なコラーゲンときめ細やかな角質層があるから,いらぬ心配は無用だ,ありがとう! そちらは大変だな,激減したコラーゲンとぼろぼろの角質層を時間をかけて分厚い化粧で隠さなければならないんだからな! 気が長くて大変結構だ! まあ,お前のような,うざい性格でもポジティブに考えることはいいことだ! 私はお前を心から応援してやるよ! 社交辞令(しゃこうじれい)でな! 今後とも,まあくじけずに頑張ってくれよ,この・・・(口を大きく二回開ける)バ・バア!」
(画面)正面のスクリーンが消える。静寂な時の流れ。ソファーに座っているパメラの右斜め後ろ姿。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットでほんの少し硬くなっているデスラー。横では肩で息をしているフロール。
デスラー「・・・お嬢さんは,こういう時には”ありがとう”と言うんだね・・・」
フロール「あ? (勢いそのままにデスラーを見る)・・・お前もお前だ! 愛想などうって! しっかりしろ!」

(画面)ソファーに座っているパメラの右斜め後ろ姿。
パメラ「(後ろ姿)・・・やっぱり,殺そうかしら・・・」

(画面)バルランのアップ。
バルラン「攻撃開始だあ! いけやあ!」

(画面)惑星ビーメラの森林地帯を眼下に飛行している宇宙艇レネイドブーリー。そのさらに上空から覆いかぶさるようにように展開する3機のデスバデーター。
(BGM)H−2
(効果音)複数の轟音。(ここから空気中)

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。左斜め下から鋭く気づくデスラーの横顔。
(BGM)H−2
(画面)デスラーの左手の描写。レバーを握り,左方向へ倒す。手前へ引き寄せる。
(画面)正面を見据えるデスラーの左横顔。
デスラー「つかまったほうがいいよ,お嬢さん」
(画面)デスラーの横顔から画面が後方へ急速に移動。フロールのみが画面中央に残る。
フロール「間をあけて警告しろお! (ひっくり返る)」

(画面)手前後方から機銃を発射する3機のデスバデーター。前方向こう側の宇宙艇レネイドブーリーが左へ方向転換。弾光が同機を外れ,眼下の森林へ着弾。爆裂。吹き飛ぶ木々。飛び立つ鳥。
(BGM)H−2
(効果音)爆発音。エンジン音。鳥のさえずり。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。四つんばいになって艇内を移動しているフロールの正面。
フロール「息つく間もないとはこのことだな・・・くそ」
(BGM)H−2
(画面)後部砲塔に座りベルトを締めるフロール。
フロール「まったく,悩みはつきない! (操作レバーを握る)」

(画面)宇宙艇レネイドブーリー後部。後部砲塔から機銃が発射される。フロントガラスの中には歯をくいしばっているフロールの姿。
(BGM)H−2
(効果音)機銃発射音。

(画面)画面手前から弾光が発射されている。正面の3機のデスバデーターが軽々と弾光を避けて青空を展開していく様子。
(BGM)H−2
(効果音)機銃発射音。複数のエンジン音。

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルラン。
バルラン「あの後部機銃はたいしたことはない。どうせノーコンだ。正面からのデスラーの機銃に留意しろい」
(BGM)H−2
(画面)引かれていく画面。赤いデスバデーターの全容。傍らには青いデスバデーターと緑のデスバデーター。
(サトスヒンの声)・・・了解。
(ジューイの声)・・・了解。
(効果音)エンジン音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットのデスラー。
デスラー「今度もレーダーに反応がなかったようだ。彼らは何か細工でもしているのかな,お嬢さん」
(BGM)H−2
(画面)機銃砲塔席で振り返るフロール。
フロール「やつらが,ゴロツキと呼ばれても恐れられる由縁(ゆえん)だ! やつらのデスバデーターには特別予算を投じてレーダー電波をかく乱するステルス機能が装備されている。やつらは勝つためには,無防備で背中を向けている女子供も平気で撃つ! やつらの奇襲は常套手段(じょうとうしゅだん)だ! 正面から戦いを挑むようなことはけしてしない!」 
(画面)微笑するデスラー。
デスラー「その程度の細工か。ふふ・・・。可愛いものだ。彼らとはうまくやっていけそうだったのに残念だよ。もう少し時間があれば,瞬間物質移送機のことを教えてやれたのだがね」

(画面)惑星ビーメラ地表。スズメバチに似た先住民と蜂の巣状の建物が並んでいる。先住民たちが空を見上げている各後ろ姿。超低空飛行で向こう側から姿を現す宇宙艇レネイドブーリー。高速で画面上部へ飛び去っていく。直後,間髪入れずに次々と同じコースを通過していく3機のデスバデーター。猛烈な突風が巻き起こり,翻弄されながらもその行方を追うように画面手前へ体勢を入れ替え見上げる先住民たち。
(BGM)H−2
(効果音)轟音。突風。

(画面)機銃掃射を開始する3機のデスバデーター。
(BGM)H−2
(効果音)機銃発射音。

(画面)デスバデーターからの視界。眼下の宇宙艇レネイドブーリーへ弾光が向かっていく。わずかな間隔で弾光を右へ避ける同機。そのさらに眼下の先住民住宅街へ弾光が着弾。爆発。立ち上がる土柱。
(BGM)H−2
(効果音)爆発音。エンジン音。

(画面)惑星ビーメラ地表。破壊される蜂の巣状の建物。逃げ惑う先住民たち。
(BGM)H−2
(効果音)爆発連鎖。

(画面)飛行している宇宙艇レネイドブーリー左側面へ固定アングル。画面右側には同機の後部機銃を避けながらほぼ同速度で追跡している3機のデスバデーター。3機の発射している弾光が宇宙艇レネイドブーリーの脇を次々と通過していく。同機が弾光をかわし続ける。その結果,画面下部を高速で後方へ流れているビーメラ地表へ弾光が立て続けに着弾。火柱に見え隠れする宇宙艇レネイドブーリー。住宅街が次々に破壊されていく。吹き飛ぶ先住民たち。画面手前へ飛ばされてくる一匹の先住民のアップ。
(BGM)H−2
(効果音)複数のエンジン音。着弾。爆発音。瓦礫落下音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの上部の描写。眼下には高速で移動しているビーメラ地表。デスバデーターの発射する弾光が次々と着弾していく様子。逃げ惑っている豆粒大の先住民集団。右へ左へと上がる火柱。破壊される建物。吹き飛ぶ先住民。高く舞い上がった土ぼこりがアングルに付着。
(効果音)複数のエンジン音。着弾。爆発音。

(画面)惑星ビーメラ地表。建物をバックに先住民たちが空を見上げている様子。数匹が空を指差している。やがて耐え切れなくなり,逃げ始める先住民たち。画面左側から宇宙艇レネイドブーリーが出現。体勢を右へ傾け画面手前へ急速にカーブ。追いかける弾光。破壊される建物。3機のデスバデーターが同じカーブを描いて同様に画面手前上部へ退場。炎を上げる建物。倒れている先住民たち。
(BGM)H−2
(効果音)轟音。爆発。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットのデスラー。操縦管を引き上げる。画面がさらに接近してデスラーの左脇を通過。艇内を移動。後部砲塔席で振り返っているフロールへ接近。さらに通り過ぎ,アングルが艇内から外部へ。同機エンジン部分のアップ。さらに上空へ急上昇していく宇宙艇レネイドブーリー。青空に浮かぶ恒星のカクテル光線に霞(かす)む同機。機体に光が反射してカメラアングルの六角形の残光が画面中央に反射。
(BGM消える)
(効果音)エンジン音大きくなる。

(画面)見上げるバルラン。
(画面)見上げるサトスヒン。
(画面)見上げるジューイ。

(画面)逆さまになっているコクピットのデスラー。

(画面)恒星の光に霞んでいた宇宙艇レネイドブーリーが一回転して急降下してくる様子。次第に同機の姿がはっきり見えてくる。体勢が元に戻る同機。
(BGM)M−34
(効果音)加速音。

(画面)デスラーの視界。目の前に3機のデスバデーター隊の後部。遠く森林と住宅街。
(BGM)M−34

(画面)後ろを振り向いているバルラン。
バルラン「俺たちの後ろにつきやがった!」
(BGM)M−34

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットのデスラー。
(BGM)M−34
(画面)操縦管の上部をはじくデスラーの親指。キャップが開いて機銃発射ボタンがむき出しになる。発射ボタンを押す親指。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの前面の描写。続けざまに発射される弾光。
(BGM)M−34
(効果音)機銃発射音。

(画面)画面手前に宇宙艇レネイドブーリーの前部。機銃口から発射される弾光。眼下のデスバデーター隊へ向かう弾光。左右へ散開するデスバデーター隊。外れた弾光は先住民たちのいる住宅街へ着弾。爆発。
(効果音)複数の爆発音。

(画面)惑星ビーメラ地表。爆発破壊される建物群。回転しながら吹き飛ぶ先住民たち。中には子供を抱きかかえたまま吹き飛ぶ先住民もいる。
(BGM)M−34
(効果音)複数の爆発音。

(画面)惑星ビーメラ監視施設司令室内部。各ボックスには女性兵士たちや女性職員たちが慌しく作業している様子。手前には無表情でパネルに向かっているビリュー・ルーの姿。
(BGM)M−34
(画面)出入り口引き戸が開け放たれパメラが入室してくる。
パメラ「ずいぶんと騒々しいようねぇ。ビリュー・ルー」
(画面)立ち上がって振り向くビリュー・ルー。
ビリュー「住宅街で,デスラーとマゼランフォースが空中戦をしています。大変迷惑な話です。かなりの広範囲で住宅街で被害が拡大しています。・・・どうして男というものは,こうも自分中心に行動できるものなのでしょうか。知能の幼さがあからさますぎます」
(画面)司令官席へ座って足を組むパメラ。
パメラ「ふふふ。可愛いじゃない? 男というものは幼いものよ。どんなに立派に振舞っていても,一皮剥けばただの子供。だから私たちみたいな女がこの宇宙には必要なのだわ。そうではなくって?」
(画面)ビリュー・ルー。
ビリュー「パメラ様。しかしこのままにはしておけません。この混乱が拡大すれば,この施設にも被害が及ぶ可能性があります。何か対策を講じませんと・・・」
(画面)白魚のような指をあごにあてるパメラ。
(画面)振り向く女性スタッフ。
スタッフ「・・・気圧前線が発達しています。天候が崩れそうです」
(画面)微笑むパメラ。
パメラ「ふふ。しばらく様子を見ましょうよ,ビリュー・ルー。対空配備はいつでもできるわ。それに住宅街の火事も消えそうだし」

(画面)青空に急速に広がり始める雨雲。辺りが暗くなる。風がそよぎ,雨雲の切れ間には稲光と思われる光が発している。
(BGM)M−34
(効果音)雷の鳴る音。
(画面)森林地帯のアングル。ぽつりぽつりと雨が落ちてくる。

(画面)青いデスバデーター。
(サトスヒンの声)・・・南方の気圧が急激に低下している! この空域に巨大な気圧前線ができるぞ! 嵐になる!
(画面)青いデスバデーター。手前に緑のデスバデーターがかぶる。
(ジューイの声)やだなあ! だから大気圏内って嫌いなんだよ!
(画面)さらに赤いデスバデーターが横切る。
(バルランの声)・・・よっしゃ! デスラーの視界が鈍る。チャンスだ! フォトフォースアロー・アタックだ!
(BGM)
(画面)雨雲の広がる空へ急上昇する3機のデスバデーター。
(効果音)遠ざかる複数の噴射音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。コクピットに座っているデスラーの右斜め後ろ姿。正面のフロントガラスに雨粒が当たり始める。自動的に作動するワイパー。
(BGM)
(画面)機銃砲塔席に座って操縦管を握っているフロール。振り返っている。
フロール「デスラー! 雨が降ってきた! 唯一の頼りのやつらへの有視界認識も不鮮明になる!」
(画面)微笑するデスラーのアップ。
デスラー「・・・風情(ふぜい)なことだ」

(画面)猛烈な風に揺れる森林の木々。雨は横殴りまで変化している。時折姿を見せる稲光。
(BGM)
(効果音)雨音。時間差で聞こえる雷音。

(画面)猛烈な豪雨の中,赤いデスバデーターの真正面。その姿へ寸分の狂いも無く緑のデスバデーターが手前前方へ重なる。見た目は緑のデスバデーター1機しか見えない。さらにその手前へ青いデスバデーターが重なる。青いデスバデーターに他の2機が完全に隠れた状態になる。
(BGM)
(効果音)雨音。複数のエンジン音がかき消される。
(バルランの声)デスラーの前面へ回れ! やつに先に撃たせるなよ!

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。デスラーの視界。フロントガラスにうちつけている豪雨を懸命にワイパーが払いのけている。はるか前方に青いデスバデーターが1機,こちらへ向かって来る。ワイパーが動いた直後のみわずかに見え隠れする。
(BGM)
(画面)振り返っているフロール。
フロール「・・・1機しかいないぞ!」
(画面)コクピットのデスラー。
デスラー「・・・ふふ。あの時の攻撃パターンか」

(画面)すさまじい風雨の中,左方向から右へ直進する宇宙艇レネイドブーリーの右側面。それに対して,右方向から左へ直進する3機のデスバデーター各左側面。青,緑,赤の順番で直列に並んでいる。その光景はさながら弓矢の矢を思わせる。接近する両者。
(BGM)
(効果音)雨音。複数のエンジン音。

(画面)青いデスバデーターのコクピット。フルフェイスメットのサトスヒン。バイザーの奥の表情。
サトスヒン「いくぞ! デスラーの動きを見逃すな!」
(BGM)
(画面)操縦管の機銃発射スイッチに親指を添えるサトスヒンの右手。

(画面)青いデスバデーターの正面の描写。前部の機銃砲塔から弾光が発射される。
(BGM消える)
(効果音)機銃発射音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの内部。コクピットのデスラー。

(ここより描写はスローモーションになる。効果音は画面移動時に特殊音響)

(画面)左手前に宇宙艇レネイドブーリーの右斜め後部。右手向こう側に青いデスバデーターの左斜め前部。斜めのアングルなので,青いデスバデーターの後ろの緑のデスバデーターと,さらに後ろの赤いデスバデーターの姿も見える。・・・発射されている青いデスバデーターの機銃の弾光。それを避けるように青いデスバデーターの上部へ移動する宇宙艇レネイドブーリー。アングルは宇宙艇レネイドブーリーに固定。同機と同じ速度で上部へ移動する緑のデスバデーターと,その後ろの赤いデスバデーター。青いデスバデーターは画面下部へ退場する。

(画面)緑のデスバデーターのコクピット。フルフェイスメットのジューイ。

(画面)緑のデスバデーターの正面の描写。前部の機銃砲塔から弾光が発射される。

(画面)赤いデスバデーターのコクピット。フルフェイスメットのバルラン。
(バルランの心の声)・・・さあ! よけろ,デスラー! ジューイの機銃はサトスヒンよりさらに余裕無く発射されている・・・。今度俺と面子(めんつ)を合わせた時は,この重力下ですでにお前は俺の機銃を避ける時間さえ残されちゃいねえぜ! リッシュと同じ目に遭わせてやる! さあ! どっちによける! ・・・上か! 右か! 左か!

(画面)緑のデスバデーターのコクピットのジューイ。

(画面)ジューイの視界。正面に見える宇宙艇レネイドブーリー。フロントガラス内のデスラー。

(画面)バイザーの中のジューイの表情。

(画面)笑みを浮かべているデスラー。段階的な残像を引きずりながら,画面の下へ落ちていく・・・。

(画面)バイザーの中のジューイの表情。顔を下げていく・・・。
ジューイ「・・・え? ・・・し・・・下・・・?」

(スローモーション終了)

(画面)デスラーの視界。正面に青いデスバデーター。
(効果音)エンジン音。
(画面)青いデスバデーターのコクピット。虚を突かれているサトスヒン。
サトスヒン「・・・! ・・・戻ってきた?」
(画面)機銃発射スイッチを押すサトスヒンの親指。

(画面)画面左側に宇宙艇レネイドブーリーの左斜め前部。右側に青いデスバデーターの右斜め後部。両者からそれぞれ機銃の弾光が発射されている。両者の中央で弾光同士が火花を散らしている。・・・しかしいずれの弾光も両者には届いていない。
(効果音)断続的な鋭い金属音。

(画面)青いデスバデーターのコクピットのサトスヒン。
サトスヒン「・・・機銃で機銃を撃ち落している!」

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。コクピットのデスラー。
デスラー「お嬢さん。真上を撃て!」
(画面)歯を食いしばり,あおむけに身体ごと操作管を引きつけるフロール。

(画面)画面手前に宇宙艇レネイドブーリーの前半部。正面を向いている青いデスバデーター。おもむろに青いデスバデーターの下へ急降下を開始する宇宙艇レネイドブーリー。同機の後部砲塔からは,すでに弾光が真上に連続発射されている。青いデスバデーターからの弾光が画面手前へ通り過ぎていく。
(効果音)急速なエンジン加速音。複数の機銃発射音。

(画面)青いデスバデーターのコクピットのサトスヒン。
サトスヒン「(見上げる)・・・ジューイ! デスラーは下だ! 下だぁ!」

(画面)緑のデスバデーターのコクピットのジューイ。
ジューイ「ま・・・間に合わないよぉ!」

(画面)画面中央に,左へ機首を向けている青いデスバデーターの左斜め下部。その後部上空に縦に並んでいる緑のデスバデーターと赤いデスバデーター。・・・宇宙艇レネイドブーリーが,青いデスバデーターの下部を左から右方向へくぐって通過する。同機の後部砲塔から真上に発射されている弾光が,青いデスバデーターの下部に次々と着弾していく。
(効果音)機銃連続発射音。エンジン音。

(画面)青いデスバデーター下部のアップ。機銃の弾光に所々,穴があけられていく。

(画面)青いデスバデーターのコクピット。サトスヒンが絶望的な表情で,下からの爆発を両手で防ぐ動作。

(画面)画面右手前へ退場していく宇宙艇レネイドブーリー。
(画面)・・・直後に眩い爆光を放つ青いデスバデーター。その上空では残り2機のデスバデーターが左右へ退避していく様子。
(効果音)爆発音。

(画面)赤いデスバデーターのコクピット。驚愕のバルラン。
バルラン「・・・サトスヒン!」

(画面)惑星ビーメラ地表。住宅街へ,豪雨と共にデスバデーターの残骸や破片が炎をあげながら次々と落下してくる。住宅や建物が直撃を受けて爆発炎上。先住民たちも巻き込まれて吹き飛ぶ。
(効果音)爆発音。先住民たちの悲鳴。

(画面)爆風と風雨に翻弄(ほんろう)されながら辛うじて体勢を整える赤いデスバデーター。
(効果音)エンジン音。
(画面)コクピット内でバイザーを上げるバルラン。
バルラン「・・・なんてやつだ・・・! フォトフォースアローを逆手にとりやがった! くそお! (表情を引き締める)・・・しかし,まだ終わっていねえぞ,デスラー! 俺たちはまだ2機いる! まだ戦況は俺たちに有利だ! もう,つまらん小細工は通用しねえ! (バイザーを下げる)・・・ジューイ! どこにいる! 俺と合流だ! デスラーを挟み撃ちにするぞ! 俺がデスラーの正面で引き付ける! お前は安全パイの後部からデスラーを撃て! ・・・ジューイ! 聞こえるか! ジューイ! 応答しろ! ジューイ!」

(画面)緑のデスバデーターの正面。ホバリングの状態。うちつける雨の中で完全に空中停止している。
(画面)さらに接近した同機の描写。ワイパーが作動しているフロントガラスの中のコクピット。

(画面)同機のコクピットのジューイ。フルフェイスメットを外している。軽い放心状態。
(バルランの声)・・・ジューイ! ジューイ! 応答しろ! ジューイ!

(画面)右端にジューイの左斜め後ろ姿。フロントガラスに激しく雨がうちつけている。ワイパーがせわしなく動く外には雨雲の広がった空。
(効果音)雨音。

(画面)メットのかぶっていないジューイのアップ。

(画面)右端にジューイの左斜め後ろ姿。フロントガラスに激しく雨がうちつけている。ワイパーがせわしなく動く外には雨雲の広がった空に宇宙艇レネイドブーリー。

(画面)目を見開くジューイのアップ。
ジューイ「・・・ひ・・・」

(画面)笑みを浮かべているデスラーのアップ。
デスラー「おやおや・・・。おびえているのかい・・・?」

(画面)恐怖にひきつるジューイのアップ。冷や汗が流れる。

(画面)さらに笑みを深めるデスラー。
デスラー「ふふふふふふ・・・。・・・かわいそうに・・・(にやり)」

(画面)ジューイの恐怖の頂点。
ジューイ「あ・・・わあああああ!」
(画面)座席の下のレバーを引くジューイの左手。

(画面)画面左端に宇宙艇レネイドブーリーの右斜め後部。中央に緑のデスバデーター左斜め正面。・・・宇宙艇レネイドブーリーから発射される機銃の弾光が立て続けに緑のデスバデーターを貫いていく。その直前に同機のコクピットから上部へ発射される操縦席。ジューイの身体を乗せたまま画面上部へ退場。・・・緑のデスバデーターがたちまち火を噴き,爆発。バランスを崩して画面下部へ落ちていく。
(効果音)機銃発射音。爆発音。エンジン不調音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。コクピットのデスラー。
デスラー「(見上げる)・・・ふふ。さみしくなっていくね・・・」

(画面)火を噴きながら墜落していく緑のデスバデーター。
(効果音)エンジン不調音。空気を切る音。火を噴く音。

(画面)惑星ビーメラ地表。建物の並ぶ背景。空を見上げている先住民たちの後ろ姿。雨雲の広がる空に火を噴きながら墜落してくる緑のデスバデーター。ざわめく先住民たち。次第に大きくなってくるデスバデーターから逃げるようにこちら向きになって駆け出す先住民たち。直後に建物をなぎ倒しながら墜落するデスバデーター。画面に大きく迫って来る。爆発。
(効果音)激突音。悲鳴。爆発音。

(画面)惑星ビーメラ上空からのビュー。破壊されつくした住宅街の全容。建物を粉砕するように地面に太く大きく引きずったような跡。その終着点には爆発炎上しているデスバデーターの残骸。その情景にかぶるように,赤いデスバデーターが飛来。
(効果音)雨音。火災。エンジン音。

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルラン。見下ろしている表情。火災の光が顔に反射している。
バルラン「・・・マゼランフォース隊が・・・」

(画面)惑星ビーメラ監視施設司令室内部。司令官席で足を組んでいるパメラ。
パメラ「(微笑)・・・確かこの施設には気圧変圧機があったわね。ビリュー・ルー」
(画面)振り返っているビリュー・ルー。
(画面)微笑するパメラのアップ。
パメラ「脱出した男がいるわ。・・・雷にでも打たれて死なれたらもったいないじゃない? この嵐を中和しなくちゃ」

(画面)施設の展望タワー。その頂上付近に円錐状の機械が設置されている。気圧変圧機である。やがてゆっくりと回転し始める同機の軸部分。
(効果音)甲高い機械音。

(画面)雨が止んで雨雲が引き始めていく様子。黄色い光線を放つバーム恒星が姿を現し,周囲を照らし始める。風もおさまっていく。広がっていく青空。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。後部砲塔席のフロール。顔を恒星光が照らす。
フロール「(見上げる)・・・嵐が止んだぞ。ずいぶんと変わりやすい天気だな,この星は・・・」
(画面)コクピットのデスラー。
(BGM)M−34

(画面)手前へ向かって来る赤いデスバデーター正面の固定アングル。
(BGM)M−34
(効果音)エンジン音。

(画面)赤いデスバデーター風防ガラス越しのバルランの表情。

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルランのアップ。
バルラン「(歯を食いしばっている)・・・なめるなよ! デスラー! 俺とて誇りあるガトランティスの宇宙戦士だ! お前みたいな希少(きしょう)民族の野蛮人なんぞに遅れをとるわけにはいかねえ! タイマン勝負だ!」

(画面)バルランの視界。眼下に宇宙艇レネイドブーリーが接近してくる。・・・手前から宇宙艇レネイドブーリーへ向けて機銃の弾光が発射される。弾光が直撃する寸前に同機が左へ方向転換。地表を逃げ惑っている豆粒ほどの先住民たちの真っ只中へ弾光が着弾。爆発。吹き飛ぶ先住民たち。・・・視界が左方向へ転回。急上昇する宇宙艇レネイドブーリーの後部を視界に捉える。機銃発射。弾光をかわす同機。同機の後部機銃砲塔より手前へ向けて弾光が発射される。向かって来る弾光。右斜め下へ視界が移動。弾光をかわす。
(効果音)機銃発射音。エンジン音。
(BGM)M−34

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内部。後部機銃砲塔のフロールが操作管を握っている。
フロール「うっくう! 逃げ足のはやい・・・! (歯を食いしばる)」
(BGM)M−34

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルラン。
バルラン「ははあ! 弾が停まって見えるぞ! そんなもんでは俺は撃ち落せんわ!」
(BGM)M−34

(画面)惑星ビーメラの青空の中,遠く描写されている宇宙艇レネイドブーリーとそれを追う赤いデスバデーターの動き。右方向から左方向へ・・・そして旋回。上空で逆さまになる両機。宇宙艇レネイドブーリーの後部からの機銃の弾光と赤いデスバデーターの機銃の弾光が交差する。画面右側で体勢を整える両機。画面手前へ向かって来る宇宙艇レネイドブーリーの正面。接近。さらに接近。フロントガラス越しのコクピットのデスラーのクローズアップ。宇宙艇レネイドブーリーの左側面のアップ。画面が後部砲塔で操作管を握っているフロールのアップに変わる。振動に身体を震わせて機銃を発射し続けるフロール。歯を食いしばっている。遠ざかるフロール。宇宙艇レネイドブーリーの後部の描写。さらに遠ざかる同機。画面の右手前から赤いデスバデーターの左斜め後部が出現。一気に遠ざかる両機。それて手前へ向かって来る弾光。
(BGM)M−34
(効果音)機銃発射音。エンジン推進音。ドップラー効果。

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルラン。前面パネルを操作する。
(BGM)M−34
(画面)前面パネルの描写。デスバデーターの平面のシルエット。その中にミサイルと思われる青く点滅している表示が左右各3基。その一番外側の各1基,計2基が赤く点滅する。
(画面)憎憎しげに顔をゆがめるバルラン。
バルラン「デスラー・・・。木っ端微塵にしてくれる!」
(画面)スイッチを押すバルランの親指。

(画面)赤いデスバデーターの前面。その下部へ2基のミサイルがアームに固定された状態で下へせりだしてくる。・・・間髪いれずに発射されるミサイル2基。
(効果音)ミサイル発射音。
(BGM)M−34

(画面)宇宙艇レネイドブーリー後部砲塔のフロール。
フロール「(いの字)・・・み,ミサイルだぁ! やつはプライドを捨てたぞ! デスラー!」
(BGM)M−34
(画面)コクピットで操縦管を左へ転回するデスラーの左半身。
デスラー「(視線を上に)」

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの後部。口を”いの字”にしているフロールの姿が後部砲塔窓から小さく見える。そこへ白い煙を吐きながらまっしぐらに向かっていく2基のミサイル。船体を左へ転回して紙一重でそれをかわす宇宙艇レネイドブーリー。通り過ぎていくミサイル。すぐさま方向転換して同機へ向かっていく。左へさらに転回して上昇する宇宙艇レネイドブーリー。画面上部へ退場。ミサイルも同様。
(効果音)ミサイル噴射音。エンジン音。
(BGM)M−34

(画面)宇宙艇レネイドブーリー後部砲塔のフロール。振り返っている。
フロール「・・・ロックされている! 追いかけてくるぞ!」
(BGM)M−34

(画面)コクピットのデスラー。
デスラー「自分の腕よりもメカの機能に重点を置いたか。・・・ふふ,なるほど・・・」

(画面)後部砲塔のフロール。正面を向く。
フロール「撃ち落とす! (操作管を握る)」

(画面)後部砲塔に座っているフロールの右斜め後ろ姿。風防ガラス越しに迫って来る2基のミサイル。・・・操作管を動かして機銃砲塔を操作する。機銃から発射される弾光。
(効果音)機銃発射音。

(画面)画面下部にミサイル。前方に宇宙艇レネイドブーリーの後部。同機の後部砲塔から発射され続けている弾光。次第にその照準が定まってくる。
(画面)歯を食いしばっているフロールの姿。
(BGM)M−34
(効果音)機銃発射音。ミサイルのジェット噴射。エンジン音。

(画面)ミサイルのアップ。・・・その表面に弾光が次々と命中していく。
(BGM)M−34
(効果音)命中音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの正面。後方のミサイルが轟音をたてて爆発。爆光と煙が拡散。その衝撃でバランスをわずかに崩す同機。
(BGM)M−34
(効果音)爆発音。

(画面)ミサイルの爆発した跡の煙を突き抜けて突進してくる赤いデスバデーター。すでに機銃を連続発射している。
(BGM消える)
(効果音)機銃発射音。

(画面)バルランの視界。前方に右方向へ加速している宇宙艇レネイドブーリー。それを追いかけるように弾光の羅列が右方向へ移動していく。わずかに弾光の速度がそれを上回り,宇宙艇レネイドブーリーの左側面に弾光が直撃する。光を放つ宇宙艇レネイドブーリー。爆発が起こり,後部から火と煙をはく。平行感覚を失い,左右へぶれ始める同機。
(効果音)直撃音。爆発音。エンジン不調音。
(BGM)M−16

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。衝撃で画面がぶれる描写。後部砲塔のフロール。
フロール「(いの字)・・・やられたあ!」
(BGM)M−16

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルラン。歓喜の表情。
バルラン「ははあ! やったぞ! ついにとらえたぜ!」
(BGM)M−16

(画面)バルランの視界。エンジンが不調ならしく,後部から煙を吐きながら宇宙艇レネイドブーリーの高度が落ちていく様子。眼下の森林が次第に迫って来る。さらにバランスを崩す同機。小さな爆発がエンジン付近で発生。
(効果音)エンジン不調音。爆発音。
(BGM)M−16

(画面)下部に森林地帯。その上空の低いところを高度と速度を落としながら右方向から左方向へ飛行する宇宙艇レネイドブーリー。エンジン部分からはおびただしい煙。その右からは,速度を上げて同機へせまっていく赤いデスバデーター。各機の間隔が次第に狭まっていく。・・・新たな火を噴く宇宙艇レネイドブーリー。さらに高度が下がる。もはや墜落は避けられない。
(効果音)エンジン音のギャップ。
(BGM)M−16

(画面)惑星ビーメラ監視施設司令室内部。司令官席のパメラ。
(BGM)M−16

(画面)赤いデスバデーターコクピットのバルラン。前面パネルを操作する。
(画面)前面パネルの描写。デスバデーターの平面のシルエット。その中にミサイルと思われる青く点滅している表示が左右各2基,計4基。その全基が赤く点滅する。

(画面)優越の表情のバルラン。
バルラン「塵一つ残さず吹き飛ばしてくれるわ! デスラー! 仲間たちの仇だ! 最後に笑うのは,この俺だ!」

(画面)バルランの視界。・・・墜落寸前の宇宙艇レネイドブーリーの後部。次第に迫って来る。
(画面)ミサイル発射ボタンに触れるバルランの親指。
(BGM)M−16

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットの後ろからの描写。コクピットに座って操縦管を握りしめながら,こちらへ向かって振り向いているのはフロール。
(BGM消える)

(画面)バルランの視界。接近してくる宇宙艇レネイドブーリー。沈黙している同機の後部砲塔。

(画面)バルランのアップ。

(画面)バルランの視界。さらに接近してくる宇宙艇レネイドブーリー。

(画面)バルランのアップ。・・・何かに気づく。

(画面)バルランの視界。ズームアップ。宇宙艇レネイドブーリーの後部砲塔に人影。

(画面)目を見開くバルラン。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーの後部砲塔。風防ガラス越しに操作管を握っているデスラー。

(画面)驚愕のバルラン。
バルラン「デ・・・デスラーああ!」

(画面)笑みを浮かべて片目をつむるデスラー。

(画面)画面手前に宇宙艇レネイドブーリーの後部。正面を向いている赤いデスバデーターが急速に左へ方向転換。鋭い反応で同方向へ手前の宇宙艇レネイドブーリーの後部砲塔から立て続けに発射される機銃の弾光。無数の弾光が雨あられと赤いデスバデーター右側面へ降り注がれる。エンジンを直撃,速度が落ちたデスバデーターへさらなる機銃掃射。蜂の巣になる同機。内側からの鮮血で風防ガラス内部の様子が分からなくなっている同機のコクピット。・・・内側からの圧力に耐え切れずに大爆発を起こす赤いデスバデーター。
(効果音)機銃発射音。爆発音。

(画面)爆光を背に画面左手前へ退場していく宇宙艇レネイドブーリー。煙が画面全体を支配。
(効果音)エンジン不調音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットを上からの描写。必死に操縦管を握っているフロール。ぶれる画面。
フロール「(歯を食いしばる)・・・くそ! 操縦管が動かない・・・!」

(画面)左上から右下へ向けて,揺れながら高度を下げていく宇宙艇レネイドブーリー。エンジン部分からはおびただしい煙を吐き出している。画面下には森林地帯が寸前に迫っている。
(効果音)エンジン不調音。空気を切る音。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットのフロールのアップ。ぶれる画面。
フロール「(テンぱっている)・・・船が壊れたら弁償してもらうぞぉ! デスラーぁ!」
(効果音)不調機械音。
(画面)後部砲塔で視線を左へ向けるデスラー。
デスラー「(微笑)・・・まだ壊れていないと思っているのかね?」

(画面)惑星ビーメラ地表。付近には森林。青い空からこちらへ急降下してくる宇宙艇レネイドブーリーの正面。接近に伴い次第に大きくなってくる。コクピットフロントガラスの向こう側には,口をいの字に目を見張っているフロールの表情。クローズアップ。
(効果音)大きくなってくるエンジン不調音。

(画面)フロールの視界。眼前に迫って来る森林地帯。猛速度で後方へ流れている。さらに大きくなる森林。やがて木々の一本一本の頂点が次々と宇宙艇の底をなでるような衝撃。・・・視界が森林の下へ潜り込む。折れる木々の枝。画面ブランク。
(効果音)衝撃音。

(画面)惑星ビーメラ地表。森林地帯。左方向から地表へ胴体着陸を敢行する宇宙艇レネイドブーリー。船体が地表へ接触。衝撃でいったんバウンドして,再び地表へ滑り込む同機。右へ体勢が傾き,画面へ迫って来る。
(効果音)すさまじい接触。木々のなぎ倒される音。金属摩擦。地響き。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットのフロール。向かって左に身体が傾いている。ぶれる画面。
フロール「あうああ!」

(画面)惑星ビーメラ地表。森林地帯をバードビュー。高く舞い上がる煙と木々の枝が左方向から右方向へ移動している。それを追尾する画面。行く手に,巨大な岩山が見える。そこへまっすぐに向かっていく煙。
(効果音)木々のなぎ倒される音。金属摩擦。地響き。

(画面)惑星ビーメラ地表。森林から抜けて地表を滑って接近してくる宇宙艇レネイドブーリーの正面。
(効果音)木々のなぎ倒される音。金属摩擦。地響き。

(画面)フロールの視界。目前に迫ってくる岩山。迫って来る。岩肌まで認識できるほどに近づいたと思った瞬間,衝撃とともに岩肌と青空が共存する風景で視界が停止する。
(効果音)衝撃音。

(画面)惑星ビーメラ地表。岩山に衝突して少し上に傾いてしまっている宇宙艇レネイドブーリーの全景。

(画面)宇宙艇レネイドブーリー内。コクピットで伸びているフロール。ゆっくりと動き出す。気丈にも気を失ってはいないようだ。
フロール「(息を大きく吐き出す)・・・着陸したぞ・・・。デスラー」
(画面)後部砲塔で,シートベルトを外すデスラー。
デスラー「(立ち上がる)着陸だったのかい。墜落かと思ったよ,お嬢さん」
(画面)立ち上がっているデスラーの後ろ姿。コクピットでシートベルトも外さず振り向いているフロール。
フロール「命があるんだから,着陸だ! 墜落では死んでるだろうが!」
(画面)エアロックドアを手動で操作しているデスラーの右半身。
デスラー「(微笑)なるほど。道理だ。森林がうまい具合にクッションとブレーキの役目をしてくれただろう?」
(画面)シートベルトを外し始めるフロール。
フロール「操縦管を渡すなら,岩山のないところで渡せ! 危うく墜落になるところだったぞ!」
(画面)デスラーの操作するエアロックドアが外倒しに開く。恒星の光が船内に差し込んでくる。近づくフロールの後ろ姿。
デスラー「(振り向く)それは悪いことをした。今度からは気をつけよう」
フロール「(後ろ姿でふんばる手足)こんなこと,何度もあってたまるか!」

(画面)惑星ビーメラ地表。岩山に衝突して少し上に傾いてしまっている宇宙艇レネイドブーリーの全景。その周りにデスラーとフロール。フロールはサックを背負い,トゥールボックスを持っている。同機のエンジン部分にたどり着くふたり。

(画面)トゥールボックスをしゃがみこんで開けているフロール。中から電動ドライバーを取り出す。

(画面)左端にフロールの後ろ姿。中央にデスラー。デスラーに相対している宇宙艇レネイドブーリーのエンジン部分からは煙が立ち上っている。振り向き,フロールから電動ドライバーを受け取るデスラー。

(画面)左端にデスラーの右斜め後方からの後頭部のアップ。宇宙艇レネイドブーリーのエンジンボディパネルをドライバーで外しにかかる。
(画面)デスラーの後方から覗き込むフロールのアップ。
フロール「・・・どうだ? どんな感じだ,デスラー」

(画面)左端にデスラーの右斜め後方からの後頭部のアップ。パネルが外れており,エンジン部分の金属面が見えている。
デスラー「・・・物質反物質直結の融合炉隔壁にひびが入っているね。まあ,この程度なら溶接で直るかな。船体のあちこちが傷ついたり,へこんだりしているのは航行には支障はない。ただ,問題は,エネルギー伝導管が焼き切れている事だね。これは交換が必要だ」
(画面)デスラーの後方から覗き込むフロールのアップ。
フロール「傷ついたり,へこんだりしているのも問題だぞ,デスラー」
(画面)振り返るデスラー。
デスラー「(微笑)ふふ。これは失礼した。船体の断熱パネルも交換だね。ストックはあるのかな?」

(画面)少し後方へ退がるフロール。
フロール「(うつむく)・・・実は,ない。溶接機も積んでないし,伝導管もない」
(画面)苦笑するデスラー。
デスラー「修理機材は宇宙旅行の必需品だよ,お嬢さん」
(画面)フロール。
フロール「・・・この船でこれほど遠出をしたことがないのだ」
(画面)何ともいえない表情のデスラー。
デスラー「まあ,船体修理はともかく溶接機と伝導管は必要だね。それだけあれば,それほど大変な修理ではない。意外と頑丈な船の様だ」

(画面)顔を上げるフロール。
フロール「修理できるのか? デスラー」
(画面)微笑するデスラー。
デスラー「これでも若い頃は,大ガミラス空軍のパイロットだった。空軍では自分の乗る船の応急修理も必須項目だ。我が父は兄に総統の座を譲りたくて,私を空軍へ追いやってくれたのでね。まあ,結果的には無能な指導者にならなくて済んだから父には感謝しなければならないかも知れないかな。お嬢さんも将来,指導者を志すなら船の修理ぐらいは覚えていた方がいいね」
(画面)少し黙るフロール。
フロール「・・・私と似たような境遇だったんだな,デスラー」
(画面)電動ドライバーを差し出すデスラー。
デスラー「溶接機と伝導管ぐらいなら,あの監視センターに行けば手に入るよ。この破損したパネルも何とかなるかも知れない」

(画面)電動ドライバーを受け取り,げんなりするフロール。
フロール「あうああ・・・。結局パメラのところへ行かなくてはいけないということか・・・。悩みはつきない」

(画面)フロールのアップ。・・・突然,槍(やり)の切っ先がフロールの顔の前を横切る。鼻と口の部分が切っ先に隠れて,丸くなった瞳が切っ先を見つめる。

(画面)振り返っているデスラーに数本の槍が突きつけられる。

(画面)やはり数本の槍に追いやられて右方向へ後ずさりするフロール。
フロール「・・・な・・・」

(画面)地球のスズメバチに似ているビーメラ先住民族の大きな集団がおのおの槍を持って突きつけている。
(効果音)先住民族たちの声。意味不明。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーを背後に多数の槍の切っ先に追い詰められているデスラーとフロール。

(画面)上空からのバードビュー。宇宙艇レネイドブーリーに追い詰められているデスラーとフロールを囲むように集まっている先住民族の群集。その数は数え切れない。全てが槍を持っている。

(画面)威嚇するように槍を前後させる先住民族たち。その全ての顔に怒りの表情が浮かんでいる。複眼がつり上がっている。
(効果音)さらに高潮する先住民族たちの声。意味不明。

(画面)宇宙艇レネイドブーリーを背後に多数の槍の切っ先に追い詰められているデスラーとフロール。
フロール「(いの字)・・・デ,デスラー,こいつら怒ってるみたいだぞ」
デスラー「そりゃ,そうだろうな」

(画面)惑星ビーメラ地表。下から見上げるアングル。恒星が地平線に傾き,夕焼けに染まった空。上空からゆっくりと落ちてくるひとつのパラシュート。それは段々と大きくなってくる。・・・風に流されるパラシュート。やがて左方向へ押され,一本の木の枝に引っかかる。
(効果音)枝のざわつき。

(画面)パラシュートが枝に引っかかって,宙吊りになっているジューイ。全体像。

(画面)パラシュートのベルトを締めているジューイの上半身。身体の全体を揺らすようにして何とかパラシュートを枝から外そうと,もがくが結局諦めて力を抜く。・・・おもむろにサバイバルナイフを右腿のホルダーから外してベルトを切りにかかる。

(画面)地表。・・・落下してくるジューイの身体。足から左へ側転。
(効果音)落下音。

(画面)地表に足を投げ出すように座り込んでいるジューイ。
ジューイ「(左肩を押さえる)・・・痛てて・・・」

(画面)画面右端に肩を押さえて座り込んでいるジューイ。画面左端に容姿のいいすらりとした足が立ち止まる。・・・気配に気づいて顔を上げるジューイ。
(画面)ジューイのアップ。驚きの表情。

(画面)魅力的な笑顔を見せているパメラ。背後には無表情のビリュー・ルー。

(画面)ジューイのアップ。
ジューイ「・・・パ,パメラ・・・。(銃を構える)」

(画面)パメラのアップ。霞(かすみ)がかかっている。

(画面)目を見開いているジューイのアップ。瞳がわずかに揺れ動いている。

(画面)あどけなく,にこりと微笑んで首を傾けるパメラ。

(画面)口をだらしなく開けているジューイ。瞳の色が変わり始めている。

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第4節 妖艶! デスラーを惑わす危険な微笑み