広背筋の強化
マシーンでコンセントレーション

 広背筋は上半身の中で最も大きな筋肉であり、男性的な逆三角形の体型の基となる筋肉群です。ボディビルダー間ではカッパイとも呼ばれパンプアップ(筋肉に血液が行き渡り一時的に肥大化すること)した広背筋を広げたブロンズ像の雄姿に誰しも憧れるものなのです。鍛え甲斐のある筋肉なのでトレーニングに熱が入りそうなのですが、案外この部位のトレーニングを行っている人をそれ程多く見掛けません。経験してみると分かりますが、広背筋のトレーニングは大変苦しくて地味でもあり、腰部への負担を掛けない様にコンセントレーション(集中)する体位の取り方も難しく、結果的にトレーニングメニューから外されてしまうことが多いのです。
 楽しくトレーニングを行うことがまず大切なので、広背筋はマシーンを相手に鍛えることを主とします。ラットマシンプルダウンが良いのですが、家庭にはこの様な機械はありませんので、アニメの様な健康器具を用います。これはラットマシンに比べれば可動範囲が狭くフルコントラクション(最大収縮)させることは出来ませんが、フルストレッチ(最大伸展)させることはできます。広背筋の鍛錬の場合は必要以上にプルダウンさせても効果は無いので、手首が顎の辺りまで下がれば十分とし、フルコントラクション(最大収縮)は別メニューで行うこととします。
 前腕が働かないようにサムレスグリップ(猿手)し、広背筋に意識を集中させ後ろに倒れ込むことによって体重を掛けることの無い様にプルダウンします。反動を付けてまで無理に引いて自分の定めた回数をこなす人がいますが、バルクアップを目的とするならば意味の無いことです。そんな時は、ウェイトを軽くして正確な動作に努め狙った筋肉群のみに負荷を与える様にすれば効果的なトレーニングにすることができます。バーを戻す時には、肩関節を緩め肩甲骨の動きを確かめながら広背筋をフルストレッチさせより多くの刺激を筋肉に与えます。

ダンベルでフルコントラクション

 ラットマシンでは叶わなかったフルコントラクションをダンベルを用いて達成します。ラットマシンプルダウンとワンハンドダンベルローイングはウェイトを引き上げる時息を吸い下げる時息を吐く様にし、他のトレーニングとは逆の呼吸法を取ると良いでしょう。体位は膝と片方の腕で体を支える様にして腰部への負担を無くしてトレーニングを行います。ダンベルの重さを広背筋で感じながら体に沿って引き挙げていきます。この時、コンセントレーションがうまくいくと前腕の筋肉を使わない様に引き挙げるので、ウェイトはかなり軽目のものでも広背筋に刺激を与えることが出来ます。筋肉が最大収縮したならばゆっくりとウェイトを広背筋に掛けながら下ろしていき最下点でフルストレッチさせます。窮屈な体位からくるストレスが正確な動作を鈍らせます。フルコントラクションさせる為には肩が回転してはいけません。胸を突き出す感覚でダンベルを引き付けます。1セット終わる毎に広背筋のパアンプアップ状態を手で確かめるなどの対策を取ると自分のトレーニングの効果を肌で知ることが出来ます。

筋力アップしたらチンニング
 各部の筋肉群が発達してきたならば、広背筋の鍛錬はチンニングで行うのが一般的です。チンニングはぶら下がることより広背筋を鍛える訳なので、腰部への負担を気にする必要がありません。また、グリップ幅を変えることにより容易に負荷を与える部位を変えることも出来ます。アニメーションの様に家庭にある健康器具で簡単に行うことが出来るので上半身の筋力群が発達した中級以上の人にお奨めです。ワイドグリップ(肩幅より広く持つ持ち方)で行えば広背筋後部に、ナロウグリップ(肩幅より狭く持つ持ち方)で行えば広背筋下部に負荷を掛けることが出来ます。顎がバーの位置にくるまで引き上げ広背筋を意識した中で徐々に体を下げていきます。最上点・最下点共に筋肉の緊張は解放せずに行います。イラストレーションの様に足首を組んで行うと正しい体位を保つことに役立ちます。二頭筋がオールアウトして出来なくなるまで10回3セットを目安に行います。

ワンポイントアドバイス
 主働筋に負荷が効いているかどうか常に意識します。
 広背筋が最大限広がる様にワイドグリップが基本です。
 前腕に負荷が掛からない様にサムレスグリップが基本です。
 フルコントラクションしたらその場で少し動きを止め、筋肉の緊張状態を保ったままゆっくりと下ろしていきます。
 正確な動作に心掛けるなら軽めのウェイトで十分です。腰部への負荷には十分配慮し出来ることならベルトを巻いて行うのが良いでしょう。
 呼吸法は、ウェイトを引き上げる時息を吸い下げる時息を吐く様にし、他のトレーニングとは逆の呼吸法を取ると良いでしょう。
 

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