大胸筋の強化

バーベルなしでコンセントレーション
 大胸筋は大きな筋肉であり、トレーニングメニューの3日に1回は必ず入れる所です。それだけに多くのトレーニングメニューがあり、そのほとんどがバーベルを用いています。腕立て伏せでも大胸筋は鍛錬できますが、主働筋へのコンセントレーションが旨くいきません。効率よく大胸筋を鍛錬するためには、バーベル等の器具が必要となります。
 しかし、これらの重量器具を家庭内に設置することは、構造的・資金的に無理があります。そこでバーベルなしでのメニュー作成の必要性が出てきます。

主働筋への鍛錬にはコンセントレーション
 大胸筋群の特徴を理解してから取り組むことが効果を上げる早道です。大きな筋肉の大胸筋は種目・量共に多目の練習メニューが必要になります。上腕三頭筋や三角筋等が従働筋となり連動をします。このことは大胸筋に意識を集中してトレーニングをしないと早い段階で従働筋が働き過ぎでオールアウト(筋肉が動かなくなる状態)してしまい、思った程の刺激を主働筋に与えることが出来ずに精一杯の鍛錬をしたと誤解したままトレーニングを終わってしまう危険があることを意味しています。大きな筋肉であるからこそ難しさがあり、その為に、練習メニューの順序に気を配ると共にコンセントレーションには他の種目以上に意識することが求められる訳です。
 深い動作が可能なダンベルを用いた練習中心で筋肉全般により大きな刺激を与えるようにメニューを組み立てます。各部分割してのトレーニングとなりますので、今何処に刺激を与えているかを常に意識しながら動作を行います。
 
@まず、疲労の溜まらない内にダンベルベンチプレスで大きな負荷を大胸筋全体に与えます。ベンチ台があれば一番良いのですが、無くてもアニメの様に布団を背中に当てて肘が深く動くように工夫すればダンベルの可動範囲を確保出来ます。肘は体側から離し大胸筋が最大限広がる様にします。膝は立てて腰への負担を減らし大胸筋のみにダンベルの負荷が掛かる様にします。呼吸法は動作中に呼吸は止めない様にしてダンベルを下げる時に吸い、挙げる時に吐きます。最上端ではダンベルを合わせる様にして最後まで筋肉を使います。
 バルクアップ(筋肉の肥大)狙いのトレーニングではダンベルのウェイトは12(1セット目)〜5回(10セット目)×10セットをこなせる重量が良いでしょう。必要以上に負荷を掛けると、セット数の後半では腰をひねってでも挙げようとしてしまい、もうコンセントレーション(集中)どころでは無くなります。大切なことは主働筋をオールアウトさせることなのです。セット数の前半でも後半でも一挙手のリズムを崩さず行い、10セット目に気持ちが良い程狙った筋肉が悲鳴を上げている状態を作り出します。

Aどんなにコンセントレーション(集中)しても上腕三頭筋が早い段階で動かなくなってしまい、大胸筋の鍛錬を続けられない場合には、上腕三頭筋を使用しないで大胸筋に負荷を掛けられるダンベルフライを続けて行います。肘はわずかに曲げた状態で固定し、そのまま上部まで引き上げ、肘を伸ばしながら合わせます。ダンベルを下ろす場合も肘をわずかに曲げた状態のままでゆっくりと下ろします。ウェイトは軽目でもコンセントレーションして正確な動作で10セット行うと大胸筋に横方向からの強い刺激を与えることができます。こうして2種目連続して行うと目的の筋肉に極限の負荷を与えることが出来ます。

B簡単な練習メニューでは、この@A種目だけで十分なのですが、1日2時間程度で1週間に2回の大胸筋のトレーニングメニューをきちっと決めて行っている場合には、2回目の大胸筋の鍛錬には1回目とは負荷方向の違う種目を取り入れます。
 ディップは大胸筋を斜め方向に強く刺激を与える種目です。慣れないと大変苦しい種目ではありますが、自分の体重を利用して行う為、平行棒があれば何処でもトレーニングが出来る等の手軽さがあります。初めの内は動作は小さくし関節の負担を減らして行い、慣れてきたら肘が90度になるまで動作を大きくします。足がふらつかない様に両足首のところでクロスさせます。腕力があれば、前傾姿勢を取ります。息を吸いながら大胸筋に意識を集中してこのままゆっくりと体を下ろします。反動を利用したりしないで大胸筋が十分広がった状態から息を吐きながら体を引き上げます。負荷が物足らなくなったらプレートを首にぶら下げて負荷を上げていきます。

Cダンベルベンチプレスの時と同様、大胸筋より先に上腕三頭筋がオールアウトしてしまうので、種目を換えプルオーバーで上腕三頭筋を使用しないで大胸筋を縦方向から続けて刺激を与えます。軽目のダンベルを両手で持ち、肘を少し曲げて固定しそのまま弧を描く様にゆっくりと息を吸いながら後方へ下ろしていきます。肘を伸ばしてしまうと広背筋に効いてしまうので、肘の曲がりに気を配ります。大胸筋が最大に広がっていることを意識したら、反動を付けずに肘の角度を固定し息を吐きながら引き上げます。慣れてきたら、アニメの様に枕を背中に当てるか、椅子の座板に座布団を敷きその上でプルオーバーを行うかすれば、胸郭をさらに広げて効率的なトレーニングを行うことが出来ます。 

Dディップ、プルオーバーだけでは大胸筋に極限の負荷を与えることは難しいので、3種目めをメニューに追加します。インクラインダンベルベンチプレスです。斜めにダンベルを押し上げ大胸筋上部を刺激します。この種目は鎖骨の位置からダンベルを斜めに押し上げることから、動作中の安定を確保しにくくダンベルのふらつき・落下が起こり易いので十分に気を付けます。基本動作はダンベルベンチプレスとほぼ同じ、肘は体側から離し大胸筋が最大限広がる様にします。

ワンポイントアドバイス
 主働筋に負荷が効いているかどうか常に意識する。
 大胸筋が最大限広がる様に肘の角度に気を付ける。
 ダンベルを持ち上げるときは反動を利用しない。
 手首を固定し、最後の1cmまできっちり引き上げ・下ろす。
 ダンベルはゆっくりと動かし、特に下ろす時はゆっくりと行う。
 呼吸法は、ダンベルを押し上げる時に息を吐き、下げるときに息を吸う。
 頭上にダンベルがくるのでプレートの落下等の事故に十分気を付ける。

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