[寸評]
毎週TVで「開運!なんでも鑑定団」を観ている私としては書店で見かけて飛びつきました。
骨董業界の内幕や贋作の歴史・技術などわかりやすく描かれており実に興味深く面白い。
また主人公が生き生きと描かれており好感が持てました。
いっそのこと人が殺される殺人など登場させず、目利き殺しに絞って話を進めればもっとどきどきするようなスリルに満ちた作品になったのではないでしょうか。
[寸評]
この本気に入りました。射撃の名手の女馬賊という主人公はもちろん、劉星山にしろ敵の伊達順之助にしろキャラクター造形が見事。
西部劇まがいの銃の撃ち合いなどエンタテインメント性も十分な胸躍る活劇ロマンです。
物語の展開も速くスリルに富んでいるが、惜しむらくはあと50ページは書き込んでほしかった。
劉星山、伊達、柴火らのエピソードをもう少し加えておけば人間ドラマとしての厚みもさらに増して感動も深かったでしょう。
[寸評]
こういった特に脈絡のない話をどう採点したらいいのか迷うが、冒頭の大黒様にむかつくところから古着屋のバイトあたりまでは自分の感覚にぴったりで実に面白かった。
後半はよく分からない。もう1編の「河原のアパラ」は全編よく分からない。これで終わっていいの、てな感じ。
この雰囲気は嫌いではないし、せりふ回しや情景描写も結構効いてくるが、一方思いつきをだらだら書いているのにすぎないようにも思えてしまう本でした。
[寸評]
PWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)私立探偵小説コンテストの最優秀賞だそうで全体によくまとまった小品。
特に派手な見せ場があるわけでもなく、盛り上がりにもやや欠け物足りなさは否めないが、コンパクトで嫌みがなくそこそこ楽しめる。
しかしこの探偵のキャラはハードボイルド私立探偵として類型的で目新しさがない。
とてもいい雰囲気だったケースワーカーとの恋の終わりも定石通り。
[寸評]
前作の乱歩賞「テロパラ」も感心しなかった藤原伊織だが、結構評判のいいらしい今作も私にはあまり面白くなかった。
どうもこの作家とは合わないようです。
会話が非常に多いのだが、やたらに小難しい言葉が多くてまるで話し言葉になっていない。
ヘルス嬢で刑法の条文の章まで(!)覚えていてフランス語もできるというキャラも、類型的もいやだけど外れ過ぎも困る。
登場人物の関係が煩雑で整理されておらず、盛んに子供っぽい、幼稚、幼児的として描かれる40近い主人公のキャラもさっぱりその描き方が理解できないです。
[あらすじ]
宇佐見陶子は店を持たない骨董業者である旗師だ。
仕事を始めて4年、目利きと業界でも評判だったが、銀座の橘薫堂の主人橘に贋作の硝子碗をつかまされプライドを打ち砕かれる。
陶子は橘に対し目利き殺しを仕掛けることを決意する。
そんな折、橘薫堂の店員の殺害事件が起き、陶子も参考人として警察にマークされることになる。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
1931年の満州。16才の少女柴火は浮浪児仲間と盗みをして暮らしていた。
ある日馬賊の男から大金を盗んだことから仲間は殺されたが、柴火だけは馬賊の村に連れていかれる。
そこは地域のいくつかの村を守る保衛団の根拠地で、劉星山という頭領が仕切っており、柴火は馬の世話から射撃まで馬賊の修行をたたき込まれる。
やがてこの土地にも関東軍の侵略の手が伸びる。
[採点] ☆☆☆☆★
[あらすじ]
レコードを出したりTVにも出ていた楠木は3年前突然、毎日ぶらぶら遊んで暮らしたいと思い立ち、仕事を辞め毎日酒を飲んではぶらぶらしていた。
そのうち妻も家出。
バランスが悪く倒れてばかりの金属製の大黒様が無性にむかつき捨てにいくが、警官に呼び止められたりして捨てられず、昔自分のファンで今も多少つきあいのある大学生の菊池に売りつけることにする。
他に「河原のアパラ」。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
ボストン北西の小さな町ローエルの私立探偵ラスムッセンは元警官で、妻とも別居中の身。
そんな彼に社会福祉局の美人ケースワーカーが依頼してきたのはカンボジア移民殺害事件だった。
警察は単純な麻薬絡みの事件で処理しようとしていた。
しかし調査の過程で、他所でもカンボジア人殺害事件が起きていることが判明し、「天国の石」と呼ばれる翡翠が鍵として浮かび上がる。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
秋山秋二は東京は銀座のビルの狭間にあるボロ家で仕事にもつかず貯金を食いつぶす日々を送っていた。
7年前、彼はアートディレクターとして猛烈に働いていたが学芸員だった妻が突然自殺。
以来、隠遁生活に入っていた。
ある日、かつての上司が彼の得意な賭博で500万円わざと負けてほしいという奇妙な依頼を持って来る。
彼は訳が分からないまま争いの渦のど真ん中に位置づけられていた。
[採点] ☆☆☆
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