[寸評]
「痺れる」に痺れた作者の最新作で、ネット上ではなかなかの高評価のようだが、私は感心せず。
この物語はホラー?家族小説?
別に内容をジャンル特定する必要はないが、陰湿な殺人者の話が家族小説として帰結していくのは受け容れられない。
どんな人間でも家族は家族、というのは分かるけど。
ミステリとしてある程度の面白さはあるし、婚約者の事件で狂気に駆られる主人公の描写は凄みあり。
[寸評]
大安の日に同じホテルで式を挙げる4組のカップルの、人生の晴れの日の騒動を描く。
新婦の要求に振り回される担当者や新郎に一世一代の仕掛けを企む双子の姉妹など。
これまた評判の良い本らしいが、私がひねくれているのかさほど感心せず。
双子の仕掛けなど、気持は分かるけど実際ありえないでしょ。
4組目の新郎などは犯罪以外の何物でもないし、どれも無理やりハッピーエンドという感じ。
[寸評]
少年によるおぞましい猟奇殺人のプロローグから、第一部は一転して更生プログラムに則ってコンビニに勤め、ストイックに生きる主人公の姿が描かれる。
彼の静かな生活が脅かされる話だと見当はつくが、その想像をはるかに超えた展開に驚くというか、唖然。
第二部に向け物語の様相はガラリと変わっていき、ミステリから軍事SF(?)へ。
焦点の定まらない話だが、緊迫感と迫力はなかなかのもの。
[寸評]
柳広司が恋愛もの?と少し腰が引けたが、混血の子爵を主人公とした設定から何かうっとりとさせるミステリです。
時代背景や華族社会の様相等なかなか良く描けていると思うが、もう少し長さが欲しかった。
全体が導入部めいた120頁弱の第一部は後半を期待させるが、友人の妹が逮捕されるところからの第二部は波乱も小さめで、謎解きという点でもさびしい。
もっと大きくなる話だと思うのに惜しい。
[寸評]
さんざん悪行を重ねてきた男が主人公だが、それでも彼を弱い人間として感情移入させる描き方が巧い。
不治の病を宣告され明確に死を意識したとき、思いがけず逃亡の旅に同行することになった家出娘と3歳の妹。
彼女らに何とか今よりいい生活をと、突き放しそうになりながらも心を配る主人公に、一条の光を読み手に願わせてしまう。
当然彼らには過酷な試練が待っているわけだが、ラストも心に沁みる。
[あらすじ]
12月に家族で忘年会をした。
本当の目的は両親と弟に婚約者の千絵を引き合わせること。
みんな千絵を気に入ったようで盛り上がったが、その時が壊れる前の最後の輝きだった。
千絵が失踪、父は末期がんと診断され、母は交通事故であっけなく命を落とした。
そして今は7月。
父が外出した家の押入に見慣れぬハンドバッグと遺髪?、そして文字で埋め尽くされた4冊のノートが。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
山井多香子はホテル・アールマティのウェディングプランナー。
新郎新婦となるカップルに結婚式や披露宴の段取りを提案し、打ち合わせを重ねながら当日までの手伝いをする職業。
今日は大安の休日。
自分が担当している式もある。
その時、携帯電話に美容室から連絡が。
招待客1人分の予約が手違いで取れていないと言う。
担当する式の新婦の友人代表になる人だった。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
13歳の御頭康平は中学校からの帰宅途中、自宅近くの路上で中年男が女子児童をアパートに連れ込むのを目撃。
康平はアパートの裏手から室内に侵入し、児童を脅している男を台所にあった包丁で刺し殺す。
二人で男を解体した後、児童も殺害してバラバラにし、体の各部を「天空の魔王」に捧げるため、市内のあちこちに置き、新聞社へ「魔王の翼」の名前で犯行声明を送る。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
麻倉清彬は麻倉子爵家の一人息子。
フランスで起きた自動車事故で両親を喪い、大伯父で今上天皇の信頼も厚い周防高輝がパリに残された幼い彼を帰国させた。
昭和8年、その清彬は27歳で結婚もせず遊び歩いている。
ある日、友人の多岐川伯爵家の長男嘉人にカフェーに呼び出される。
そこには見知らぬ男の死体が。
清彬は巡査に適当な推理を披露して嘉人と店を出る。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
ギャングの一員、ロイ・ケイディは急な胸の痛みに襲われ診療所を訪れたが、肺のレントゲンはまるで雪が降っているようだった。
そんな彼にボスのスタンは、港湾労働者組合の顧問弁護士にものの道理を分からせて来いと命じる。
ただし銃は置いて行けと。
現場に出向くと、消音器付き拳銃を持った黒ずくめの正真正銘のプロの男3人が待ち受けていた。
弁護士の死体とともに。
[採点] ☆☆☆☆
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