[寸評]
1939年発表「追われる男」の続編で、英国での出版は1982年。
日本ではようやく出版されたが、私は前作未読ながら、作中に現在の状況に至るまでがかいつまんで語られており、物語にすんなり入っていくことができる。
当時のヨーロッパは大半がドイツ勢力下にあり、とにかく逃げて逃げて逃げまくる決死の逃避行が延々続く。
変化に富んだ冒険ものだが、とにかく逃げる話はやや単調。
的を射た邦題に関心。
[寸評]
設定はともかく純粋な青春小説。
いかにも大人の書いた小難しい言葉使いや理屈をこねる高校生の話ではなく、台詞にしろ行動にしろ、自然な普通の高校生の姿が生き生きと活写されているのが良い。
はるか昔の自分の青春時代を思い出させてくれました。
タイムトリップにこだわらず、また友人を語り手にしたことも正解。
作者は現在、休筆中。
今まで作者の作品を読まなかったことが申し訳なく思えるほど感心しました。
[寸評]
本格ものが苦手なくせについ手を出してしまいますが今回も・・・。
落語好きの人、本格推理好きの人にはたまらない本でしょう。
多少の蘊蓄と共に、推理を駆使して謎を解いていく、その過程と鮮やかな結末を楽しむもので、謎そのものは血腥いものである必要はない。
その点はいいのだが、その謎が謎として追及していくものとして魅力的でないというか。
私の中では、へ〜そうですかで終わってしまいました。
[寸評]
キングの第5短編集を二分冊にしたものの後半が本書で、前半は「夕暮れをすぎて」。
6編が収められているが、前半よりさらに粒揃いの印象。
スリラー、ホラー、幻想、とにかくキングの引き出しの無限さには驚くばかり。
どこかで読んだような設定も、巧みな料理で面白く読ませ、怖がらせるだけでなく時には心を震わせる感動も与えてくれる。
最大の衝撃作は中編「どんづまりの窮地」。
絶対に映像化不可能です。
[寸評]
主人公が最初の事件後、意外なところで殺人の傍証を掴むが、犯人の動機も手段も不明なまま次の殺人が・・・、とラストまでしっかり読ませるところはいい。
しかし、主人公と犯人の感情がラストの激情に至るあたり、書き足りないというか、上辺だけで盛り上げようとしてもなかなか感情移入はできません。
明らかになる動機も連続殺人を納得させるものなのか。
後半、やけに警察の影が薄いのも気になりました。
[あらすじ]
イギリス人レイモンド・インジュラムは1939年にヒトラー暗殺を企てたが失敗。
一旦モロッコに逃れた彼は再びドイツに入国するが、1942年にドイツ国家保安本部に捕えられ、田舎の警察署に仮収監されていた。
その建物が英空軍の爆撃で破壊された。
辛くも生き残った彼は、死亡したドイツ軍大尉の制服を着て混乱の中を脱出し、駅へ向かい列車に乗ってドイツからの出国を図る。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
小峰沙織は高校1年生。
貫井孝子とは入学式以来の仲良し。
その孝子から思いがけない告白が。
自分は未来から来た、2009年に27歳だったが、高校からやり直したい、青春と言える青春を送りたいと思って、と言う。
何を聞き違えたか、どう突っ込むべきか、沙織は戸惑うばかりだ。
そういえば、入学式の日に孝子は席の離れた自分にわざわざ気安く話しかけてきて友達になったのだ。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
現在は二つ目の落語家、寿笑亭福の助の妻・亮子には、32歳で実家の食堂を手伝う、ガンダムアニメおたくの兄・翔太がいる。
温厚な性格だが周囲にまるで女っ気なし。
そんな兄に、ガンダムつながりで盛岡の玩具店で働いていた年上の恋人が現れる。
それも妊娠しているという。
福の助ご贔屓の実家の父は大喜びだが、母はいい顔をしない。
また、相手方の父親も大反対らしい。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
精神科医のジョニー・ポンサントのもとに通う患者”N”は、ポートランドにある大手会計事務所の共同経営者。
不眠で悩む彼は、自分は強迫性障害だと話し出す。
何かの数を数えて、納得できる数字、例えば偶数でないと駄目なんだ、秩序が維持できないという話。
それに”さわること”、”置くこと”が加わる。
このきっかけとなるある場所での体験が話を聞くジョニーの心を侵していく。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
水野は携帯電話の周辺機器やソフトウェアを主力商品とする株式会社ディーウィの社員。
今は、ベビー用品製造・販売の株式会社ベイビーハンドの社員との共同開発チームにいる。
6人のチームで開発した第一弾は、携帯電話の着信音に反応して踊る「着ロボ」。
これが意外なほど売れて、昨夜は祝勝会を行い今朝は皆二日酔いだ。
そんな中、粕谷係長が突然嘔吐し、意識がなくなる。
[採点] ☆☆☆
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