[寸評]
私は前作未読で、映画が面白かったので本にも手を出してみましたが、ちょっと驚きの面白さ。
映画の出来に刺激され、作者が負けじと続編に闘志を燃やした本だそうな。
高速バスという閉ざされた空間での殺人事件という本格ミステリもどきの趣向もあるけれど、それははっきり言って刺身のつまみたいなもの。
思い切りヘソ曲りな桃子といつも直球勝負のイチゴのやり取りがとにかく最高です。
2作目ではや"完"とは淋しいぞ。
[寸評]
作者特有の静かな狂気に満ちた不条理殺人物語。
他の作品よりユーモアの度合いが若干少ないが、糸が手繰られるように連鎖していく底知れぬ狂気の殺人が淡々と描かれていく。
この一見穏やかな青年警官を主人公とするとてつもない悪魔の物語が50年以上前に書かれていたのも驚きで、いかにアメリカでも当時の世間に受け容れられるはずもなかったというのも頷ける。
巻末のスティーヴン・キングによる解説が嬉しい。
[寸評]
一昨年の「十兵衛両断」はやや読み味が硬かったが、これはかなりエンタテインメントに振ってある。
主人公が、血気盛んな弟の十兵衛を子供扱いするほどの華麗な剣の達人である美貌の女剣士とあっては、面白くないはずがない。
父・柳生宗矩の権勢欲も細かに描かれるし、朝鮮妖術師まで登場させるサービスぶりだが、矩香の魅力だけで十分。
日韓関係厳しき折、きわどい両国の描写もあるが、娯楽作と割り切って楽しみたい。
[寸評]
物語のキーとなるものが"ぬか床"というのも、それが呻いたり、卵を出したり、さらに・・・と、なんだ、この物語は!と驚きました。
とりわけ、序盤の想像を超える展開から亡くなった叔母の若い頃の日記が綴られるあたりまでは、抜群に面白い。
しかし後半に至り、これはそんな奇妙奇天烈な見世物話ではなく、生物の尊厳にまで言及するような深い領域へと踏み込んでいく。
そのあたりもけっして読み難くはないが、面白さは急速に醒めました。
[寸評]
現代から100年ほど未来の東京を舞台したアクションSF大作。
炭素本位制の世界経済システム云々は軽く読み飛ばして、読み進むにつれエスカレートする戦闘冒険活劇にただひたすら没入すればいい。
超人的なヒロインたちのスーパーアクションは、ちょっとしつこいくらいの不死身さで、辟易気味。
伝奇的な要素を織り交ぜつつ、600ページを一気に突っ走るノンストップ活劇は読む側にもそれなりの体力を要求します。
[あらすじ]
ロリータ服に身を包む高校3年の桃子は、茨城県下妻市という田舎町に関西から2年前に越してきた。
無理やりダチにされたのは、筋金入りのヤンキーで派手な改造原チャリに乗るイチゴ。
しかしイチゴはしっかりメイクすると絶世の美少女に変貌するので、桃子行きつけの代官山のショップで時々モデルをしており、今日も2人で来て、帰りの高速バスで事件は起きた。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
主人公のルー・フォードはテキサス州セントラルシティの保安官助手。
幼なじみで教師をしているエイミーからは結婚を迫られている。
町の有力者である建設会社社長から、息子が熱を上げている売春婦を町から追い出すよう依頼を受けるが、彼女の家に向かい結局いい仲になってしまう。
そして彼の中に長年抑えてきた殺人の衝動が目を覚ましていく。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
時は江戸幕府三代将軍家光の御世。
鎌倉は東慶寺前の茶店で江戸に向かう2人の武士が休息をとっていた。
東慶寺は尼寺で、女人救済の俗に言う縁切寺。
そこに必死に駆け込んでくる五十年配の女とそれを追う4人の武士。
すると休息中の2人のうちのひとりが追手の4人を簡単にねじ伏せる。
それは将軍の兵法師範役柳生宗矩の娘矩香だった。
[採点] ☆☆☆☆
[あらすじ]
独身30代の私は化学メーカーの研究室に勤めている。
両親は私が大学生の頃、交通事故で死んだ。
数ヶ月前、叔母が死に、住んでいたマンションを譲ってもらった。
その際、もう一人の叔母からその部屋にある"ぬか床"の世話を頼まれる。
ある晩、ぬか床の底の方から手をいれひっくり返そうとしていると、何か硬いものに触った。
それは卵のようだった。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
近未来、地球温暖化が急速に進み、国連は全ての産業製品に、排出と吸収の炭素比率で変動する炭素税を課すこととした。
日本政府は東京の気温を5度下げる国家プロジェクトとして、東京の地面を全て森にし、中心部に空中積層都市の建設を50年前に開始した。
そんな中、積層都市に移住できない者たちで組織するゲリラの総統北条國子が少年院を出る。
[採点] ☆☆☆☆
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▲映画「下妻物語」
レースのパラソルにロリータファッションの桃子(深田恭子)とヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)の珍コンビが、数々の騒動に巻き込まれる物語。
パワー全開のコメディーであり、気持ちのいい青春友情物語でもある。
主演2人のほか、宮迫博之、阿部サダヲ、小池栄子、篠原涼子、樹木希林らが競演。
中島哲也の監督・脚本による作品で、なんとキネマ旬報ベスト10第3位!。