[寸評]
珍しく絵がモチーフになった青春恋愛小説。
主人公のみのりの頑な性格が一方的でなく読み手に優しく表現されており、また、木島の絵や部活のサッカーに対する姿勢の変化も読んでいて気持ちいい。
2人の切ない恋愛話だが、辛さに甘さもうまく加えて、全体としてはとても初々しく爽やかな印象を受けた。
4つ星クラスだが、高校生が飲酒する場面がごく普通に出てきたり、簡単に寝たり、私的に気分の悪いところもあるので減点。
[寸評]
同年代の少年少女を描いても上の本とはまるで違う世界。
都会の女子高生はかくやとも思わせるが、題名とは裏腹に、その展開も彼女らの思考も全くリアルさがなく、悪い夢を見ているような話だ。
親殺しの少年にしても明確な動機はなく、まるで彼と踊っていたような女子高生たちにしても全く現実感はない。
しかし終盤は作者独特の追い込んでいくような迫力ある語り口で、一転してとてもリアルな重い世界となるあたりはさすが。
[寸評]
「サイレント・ジョー」で見事な人物造形を見せた作者の犯罪ミステリー。
読者には巻頭でアーチーが襲われる場面を見せつつも、意外な真相を匂わせていく展開が上手い。
サスペンスもさることながら、作者らしく、女性刑事の内面描写にもかなりの比重が置かれている。
その点で、実は本作が邦訳は最初ながらシリーズ3作目で、前2作を引きずる描写がかなりあり、少々混乱させられるのは残念。
終盤の盛り上がりもやや拍子抜け。
[寸評]
前半はすこぶる快調。
無罪判決の後、偶然のように隣家に来て過剰な親切を押しつけてくる男の薄気味悪さのほか、梶間家の人間模様もミステリーを離れた人間ドラマとして読み応えを感じるほど。
キングばりの怖さが期待されたが、中盤以降、武内を怪しんだ梶間家の嫁が徐々に排除されていくあたりから展開がもたつき気味。
そのあたりがもう少し整理され全体のテンポが上がれば、犯人の狂気が鮮明になり、恐怖心も増したのでは。
[寸評]
ずいぶんぶっ飛んだ邦題だと思ったら、原題そのままでした。
内容はまさに猿のように拳銃をぶっ放す殺し屋の話で、劇画のようにがんがん人が撃ち殺されていくが凄惨な感じはしない。
語り口がユーモアを交え比較的マイルドな上、チャーリーが冷徹な反面、老ボスを慕う浪花節的な面もあって共感を誘う。
全身に傷を負いふらふらになりながら敵に向かっていく姿にハラハラ度も高い。
物語も適度なひねり具合で、気軽に楽しめる。
[あらすじ]
村田みのりは学校でも家でもムカつくことばかり。
いつも仏頂面でかんしゃく持ち。
両親と姉とも合わず、しょっちゅうマンガ家兼イラストレーターの叔父の家に入り浸っていた。
高校に進学し、同じクラスに木島という落書き男がいる。
木島は授業中でもいつも回りの人をスケッチしていて、絵自体はすごくうまいのだが、人のいやなところがその絵に出ている。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
東京の立て込んだ住宅街に住む山中十四子は、隣家から何かが割れるような鋭い音を聞く。
大学受験のための夏期講習に行こうと外へ出ると、隣の玄関から勝手にミミズと渾名を付けたやはり高3の男が出てきた。
口を利いたこともないヤツだったが、今日はやけに楽しそうだ。
帰宅すると、隣の息子が行方不明で、母親が殺されていたことを知る。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
オレンジ郡保安官事務所のアーチーは就寝中、物音に気付いて家の外へ出たところ、頭を撃たれる。
妻は射殺され、彼は九死に一生を得るが記憶が途切れていた。
しかし自宅に侵入者の形跡はなく、妻を殺して自殺を図ったものと疑われる。
殺人課の巡査部長マーシは、状況などからアーチーは襲われたものと考え捜査するが犯人の正体はつかめない。
[採点] ☆☆☆★
[あらすじ]
裁判官の梶間は、殺人罪に問われていた武内に無罪判決を下す。
武内は親しかった隣家夫婦と子供を殺害したとされていたが、その時隣家にいた彼自身も、侵入者に背中を金属バットで激しく殴打されたと主張していた。
梶間は退官し新興住宅地に新居を構える。
やがて武内が梶間の隣に越してくる。
偶然を喜ぶ武内は徐々に梶間家に入り込んでいく。
[採点] ☆☆☆
[あらすじ]
チャーリーはフロリダ州オーランドを縄張りとするギャングのボス、スタンに仕える殺し屋。
マイアミの大ボスからスタンに無理矢理依頼された仕事が彼に回ってくる。
ストリップバーへ行きブリーフケースを強奪してくる仕事。
抵抗する者は皆殺し。
激しい銃撃戦の末ケースを奪うが、射殺した4人はバッジをつけていた。
しかもスタンは行方不明、仲間も次々殺られていく。
[採点] ☆☆☆☆
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