北国羽州にある大泉藩。
大泉家中では釣りが武士の嗜み、武用の一助、侍の鍛錬として奨励されていた。
初夏四月の早暁、前原又左衛門は竹馬の友、山上藤兵衛と共に磯を目指していた。
齢四十を過ぎた二人、山上家が百十石、前原家が百石と家格も近く、藤兵衛は郡奉行、又左衛門は勘定目付の役目に就いている。
夜道の山道を越え磯に着いた二人の狙いはもちろん黒鯛だ。
釣り餌に使うイサダを集め岩場へ向かうと、すでに二十人ほどの侍が竿を出していた。
[寸評]
江戸時代、磯釣りが武芸として奨励されているという東北の藩を舞台とした時代小説。
中級武士で釣り好きな主人公は、磯釣り中に事故死した藩主の跡目を巡るお家騒動に不本意ながら巻き込まれる。
次代藩主を決める釣り対決が本書のメインイベントなのだが、そのくだりは緊迫感や盛り上がりがいまひとつの印象。
主人公の娘の嫁入り話なども絡めて、人情味のあるほのかなユーモアをたたえた物語は軽く楽しめた。
チャンバラ要素があるにはあるが、非常に少ないのが残念でした。
[導入部]
[採点] ☆☆☆★
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