十日前、都内地下鉄で壮絶なテロ事件が起きた。
神経ガスのサリンが地下鉄車内で散布され、十名以上の死者、千人を超える負傷者が出た。
警視庁は宗教団体「光宗会」が事件に関与しているとして一斉捜査を始めた。
そんな朝、警察庁長官官房総務課の木佐貫課長補佐は日々の業務として専用車で長官の自宅マンションへと向かった。
定時に長官が自宅から現れ、通用口から外に出たところで、ドーンと大砲のような音が耳をつんざいた。
[寸評]
28年前に地下鉄サリン事件に続いて起きた警察庁長官銃撃事件に材をとったサスペンスミステリー。
東京で楽器店を営む主人公が、失踪した雑誌記者の妻の足跡を辿って、自らの家族も絡んだ過去の事件の真相に迫っていくというもの。
よく練られたストーリーで、人間関係や関連場所も大きく広げ、なかなかスリリングに読ませるが、どうしても話を作った感が拭えない。
もっとドラマチックな話になってもよかったと思うが、その点終盤はかなりトーンダウンした感じ。
[導入部]
[採点] ☆☆☆
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