何故、レオーネなのか?

青崩峠。雪が降り始めて数分でこれだけ積もった。 この程度なら、4WDも車高調整装置も出番はない。 スバミ会場の土手で、ちょっと遊んでみた。 左後輪は浮いているが、フォグランプがなければもう少し前進できた。
私の生まれ育った豊橋は海に接しており、よくレオーネを砂浜に下ろして写真を撮った。 もちろんアカウミガメの産卵・孵化期は外している。 その2
 「何故、レオーネなのか」
 こう問われたとき、以前の私なら、それなりに理由を説明し、相手に納得してもらうことが出来た。
 だが良く考えると、それらは所詮「後付け」の理由に過ぎなかった。だから今は「レオーネが好きだから」と 答えることにしている。
 しかし、それでは実も蓋もないので、敢えて理由を挙げてみる。それは「意外性」と「儀式性」である。

《意外性》とは?
 私は悪路を走れない車に興味はない。(何故?と聞かれても困る。人には「登山をやっていて、アプローチで 悪路に乗り入れることがあるから」と答えることもあるが、実際には登山を始める遥か前から自転車で悪路を走り回っていた。)
 従って、四輪駆動で、ある程度のロードクリアランスを持つ車であることが必須の条件である。
 レオーネは外観上、平凡な乗用車である。車に詳しい人なら、その異様に高いロードクリアランスに 気づくかも知れないが、おそらく平均的な人から見れば、単なる古い乗用車でしかないだろう。
 だが、この車、旧世代の4WD乗用車だけあって、近年の高速ハイパワー4WDや生活密着型4WDとは 一味違う、なかなか侮りがたい走破性を持っているのだ。
 レオーネは、フルタイム4WDがまだ高価で特別な存在だった時代に生を受けた。従って、 その駆動方式も、当然の如くパートタイム4WDである(後にフルタイム4WDや電子制御トルクスプリット4WD も追加されたが)。そのため、4WD時は前後輪が完全にシンクロし、確実なトラクションを得られる。
 またレオーネは、4WDに「悪路走破性」以外のメリットがあるなんて思われてもいなかった時代の 車である。だからレオーネには、悪路を意識した充分なロードクリアランスと大きな減速比が 与えられている。
 もちろんその走破性は、ランドクルーザーなどの本格CCVには遠く及ばないし、今時の ライトクロカン車の中にも、レオーネを凌ぐものはあるだろう。とはいえそれらの車は、なんだか 厳冬期用のプラスチックブーツを街中で履いているような気がして、どうも好きになれない。
 「平凡な外観に、非凡な能力」、こういう「羊の皮」的なところが、レオーネの魅力なのである。

《儀式性》とは?
 前述のとおり、私のレオーネの駆動方式はパートタイム4WDである。
 現在、乗用車の4WDはほぼ全てが(広義の)フルタイム4WDとなり、ライトクロカン車も 大半がフルタイム式となった。パートタイム4WDにこだわるならサファリなどの古典的本格CCVか、 さもなければ軽トラックでも買うしかない。
 ところで私の職業は会社員であり、また当地は降雪は年に数回、積雪は数年に1回という土地であるので、 業務上あるいは生活上で4WDが必要となることは、まずないと言っていい。
 つまり私の場合、4WDが本領を発揮するような状況とは、日常生活から離れた「特別な時間」なのである。
 そしてそうなると、自分の意識を切り替えるためのスイッチ、自分自身が「ケ」から「ハレ」に移行するための 手続きが欲しい。電子制御の扱い易さより、自分の手で操作しているという実感が欲しいのだ。
 レオーネはパートタイム4WDであるが故に、自らの手で4WDにシフトしてやらなければならない。 そしてこの操作が、「自分の意識のスイッチ」として最適なのである。
 さらに、レオーネにはこれ以外にも、面白い「玩具」がついている。
 まずひとつは「デュアルレンジ」だ。これは何かと言うと、要するに副変速機である。減速比は1.592で、 急坂からの発進や、大きな駆動力と繊細なコントロールの両方が要求される砂地走行などでは重宝する。
 そしてここでも重要なのが、デュアルレンジは「手で操作する」ということだ。
 近年のライトクロカン車なら、こんなものを使わなくても、強力なエンジンと良く制御されたATの力で、 かなりの地形まで踏破出来る。また「HDC」を使えば、副変速機のないライトクロカン車が従来苦手としていた 急な下り坂も、安全に走ることが出来る。
 でも、それでは「非日常」感が味わえない。先ほど「FWD」から「4WD-Hi」に切り替えたレバーを、自らの意思で さらに引き上げて「4WD-Lo」に入れることが重要なのである。
 もうひとつは「ハイトコントロール」である(注)。レオーネの最低地上高は180mmと、最近の乗用車と比べて かなり高いが、「ハイトコントロール」を使うと、これがさらに上昇して210mmとなる。 これは往年のジープをも凌ぐ数値である(もちろん「デフ下高」と「床下高」の違いはあるが)。
 で、これも「デュアルレンジ」と同様、ライトクロカン車の中には、黙っていても最初から200mmくらいの 最低地上高をもっているものが多い。が、敢えて「普段は低く、必要なときに高く」という手続きを 踏むのが「非日常」なのである。
(注)「ハイトコントロール」はSTとGTに設定されており(GTはエアサスで最低地上高は異なる)、 エステートバンLCは、最低地上高は200mmに固定されています。