「やっ、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!」
「そりゃあ喧嘩だってするよ。子供だもん。」(さらに団長視点)
事の始まりは、ヨークシンに行こうと荷物の準備を始めたその時だった。
「私もともに行く!!」
は俺のトランクの中に何時ぞやのようにズブズブと薄っぺらくなって入りこんできた。
最早人間ではない。脊椎動物でさえない。
以前、こいつを家に連れて帰ったとき、ふと「この体の異常さは念から来るものではないか」と推測したが、こいつは念をつかえないらしい。
じゃあ・・・なんだ?
この異常な体の仕組みは天性の物か?
恐ろしい・・・恐ろしすぎる・・・。
その後、仮だとはいえ、入団していることから、念は使えた方がいいだろうと思って、教えてみた。・・・一年で「流」まで取得しました。
すごい・・・。本気でそう思った。だが、あの時念能力を教えていた事を俺は後悔している。
なぜなら、あいつの能力は、
自分が標的と確認した物を30秒間瞬きをせずに見つめるとそれが再起不能までに汚れてくれる。・・・という使えない上に、他人にはた迷惑ばかりかけるような能力だったからだ。この能力のせいで、俺の愛しい本たちが何冊再起不能になったことか・・・。(泣)
目を30秒間空けているのは、そう難しいことではない。
しかし、砂埃などがまっていると別だが・・・。そう思って、奴が俺の本を汚そうと見つめているときに、家の中に砂を入れて砂埃を立ててみたが・・・。
無駄でした。(泣)瞬きしてくれないんです・・・。
そうおれが馬鹿だったのだ。奴は普通の人間じゃない事を忘れていた。いや、奴は人間でさえない事を忘れていた。
しかも、片付けは自分でやった。ただ仕事が増えただけだ・・・。まあこれはい自業自得だからしょうがないとしても・・・。本当にこれは大ミスだ。俺があそこで、預かるなんていっていなければ・・・と何度悔やんだか・・・。だが、俺はよくやった。
二年はずっと育て上げた!!(少々現実逃避気味)
もうこうなったらシャルに押し付けよう・・・。
でも、アジトに連れて行ったらまた大騒ぎだろう。
よし、こいつは置いていこう。帰りにシャルを家に引きずってでも連れてきて、預けよう。
そう、こういうときの為の団長の権限だ。(職権乱用)
そして、俺は今年の仕事のために、全団員に集合をかけ、密かに出発の準備をした。そして、出発の朝――――――・・・。
俺は静かに自分の寝室から出た。
の部屋のドアを少し開けると、布団の中にふくらみが見えた。眠っているのだろう。
そう思って、ペンと紙を取り出して、
「少し、家を開ける。」
そう書いて、の部屋の机の上に置いた。
そして、そのまま家を出た。鍵も閉めて。
ヨークシンに向う電車の中(歩いていくよりから逃げるにはこれのほうが早い)、俺は久しぶりのこの開放感に身を委ねていた。
妙に、流れてゆく景色が輝いて見える。
「・・・本でも読むか。」
そう思って、トランクを膝の上に載せ、そして、開けた。
その中には――・・・。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
バタン。
俺はトランクの蓋を閉めた。幻覚が見えたからだ。
「そ・・・そうだよな・・・。いくらなんでもあいつがここにいるわけがない。」
そう思って、もう一度トランクを開けた。
明るい茶髪が目に入った。
ペランペランしている少女がいた。
「やぁ。クロロ。」(爽やか)
「い・・・っいやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああああぁぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁあぁぁ!!??」
俺は絶叫した。
「なんでここにいる!!??!!!!」
「見ての通りでござんす。」
そう言って、彼女は織りたたまっていた、足を床につけて、そのままぺランと前に倒れた。
今回は既に紙ぐらいの薄さまでに達している。
人間じゃない・・・。脊椎動物じゃない・・・。
は口をこれでもかというぐらい大きく開けて息を吸った。
すると、浮き輪に空気が入っていくかのごとく、彼女の体は膨らんでいく。
そして、元の大きさまで膨らむと、ふうとため息をついて、俺の隣に腰掛けた。
「もう何?クロロ。私が知らないとでも思ったの?このお馬鹿さんがっ☆」
うざい。
なんだその☆。その☆・・・。
「えっ、それはクロロの今の心境を表しているんです。」
嘘をつくな。
「嘘じゃないよぅ!!そんな年上を疑っちゃロクな大人にならないよ。」
もう俺は人を殺している時点でロクな大人ではないと思うが?!
そんな大人に育てられている自分の心配をしてろ・・・いや、もうロクな奴ではないな。
「そんな・・・っ!!いくらなんでも、自分の隠し子をそんなに邪険にしなくてもいいじゃん!!ぐれちゃうよ?!そのコート純白にしちゃうよ?!」
そのネタはもういい!!(1話2話参照)
それに俺には、白など絶対に似合わない!!宣言する!!
「もう!!私はクロロよりもずっと年上なのに・・・。今度742歳になるっていうのに・・・」
嘘をつくな。嘘を。
無駄な事をいって混乱を招くような発言は控えてくれ。
「なんで疑うの!!嘘じゃないよ!!私もうすぐ9876歳になるんだよ!!・・・多分。」
さっきより増えてるだろうが!!それに多分って何だ!!よし、嘘とみなそう!!
「だから何で疑うの!!そりゃあさっきから、ちょっと増えてるような気がしないでもないけど、そこまで疑う事じゃないじゃない!!」
お前のことを信じろという方が無理だ。
ってゆうか、さっきから俺は一言もしゃべってないよな?心の中で、ツッコミをいれているだけだよな。このかっこ→「」何処にもついてないよな。でも、普通に会話してないか・・・?
「まさか貴様!!俺の心を読んでるのか!?読めるのか?!」
「何クロロ気付いていなかったの?このお馬鹿さんがぁ☆その人の顔を見てしゃべってれば、わたしある程度、人の心を読めるよ。」
つまり俺にプライバシーというものはないわけだな?
「うん。そう。そんなもん欠片もないんだよクロロ。というわけで、アジトについたら、最近のクロロの脳内をばっちり、暴露してあげるから☆」
・・・・・・・・・・・・・・・は?
なんですと?
「だから、全部暴露しておいてあげるよ。大丈夫。何も言い残したりはしないから☆何も心配は要らない。」
いやいやいや。そういう問題じゃないだろ?!
阻止、しなければ!!
いまからでも遅くはない!!こいつを家に帰すなりなんなりして、阻止しなければ・・・。
「だめだよ、クロロ。ほら、もうヨークシン。」
時既に遅し。
気が付いたらヨークシンだった。電車よ、お前が恨めしい。
汽車の本数からして、こいつを無理矢理にでも家に帰すのは不可能となってしまった。
こうなったら・・・連れて行くしかない?
いやいやいや。こんな危険な奴を連れて行ったら、団長としての信頼はどうなる?そう、脳内を暴露されたときの俺の信頼はどうなる?
だめだ、やっぱり連れて行けない。
「なに?クロロ私を置いていこうとでも思ってるの?・・・よし、じゃあ・・・」
はポケットに手を突っ込んで、メガホンを取り出した。
薄っぺらになってたとき何処に入ってたんだよ!!という突っ込みはもうしない。こんな事をいちいち気にしていたら、いつか胃に穴があいてしまう。
しかし、次の瞬間、そんな俺の理性は空の彼方へ飛んでいった。
「いまから、これでクロロの脳内の秘密を暴露してこよう。」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!」
俺は切れた。もうだめだ、我慢できない。
盗賊の極意!!
「なに・・・?・・・!!!???なにクロロ!!何念能力発動させてるの!?」
「黙れ!!今日という今日は許さん!!」
「何ですって!?(ピーン)なるほど!!それで私を家に強制送還させようというわけか!!畜生!!まけるかあ!!」
そう言っても自分の能力を発動させた。
泥まみれ!!
そのまんまの技名だ。なんてセンスがない。
「うるさい!!それを言ったらクロロの盗賊の極意だってセンスないわよ!!」
「なんだと!!馬鹿にするな!!」
「してやるわよ!!くらえ!!平等院鳳凰堂!!」
「それとこれと何が関係してるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
激突!!
数十分後。
勝者・
強かった。かなり強かった。戦闘という意味でなく、かなり強かった。
「そうよ☆クロロが私に勝とうなんて0.1年早いのよ♪」
そうか・・・あと0.1年で勝てるのか・・・。
そんな事を思いながら、俺はコートを片手にトボトボとヨークシンの中を歩いた。
そう、今回の犠牲者は・・・俺のコート・・・。
見事なまでに真っ白に汚れてくれました。
「うふふ。これで私の野望の0.00000000000000000000001%くらいは達成できた!!」
そうか、こんなに俺に迷惑をかけておいて、野望の0.00000000000000000000001%だと言うか・・・。よ・・・。
もういい。もういいよ。俺は諦めた。
「大丈夫よ、一応これ洗えば取れるから。・・・・かなり大変だけど☆」
それは何度も経験済みです(泣)。
そろそろ、アジトにつくという時、俺は深くため息をついた。
はい。三話です。何が書きたかったかって?そりゃあ可哀想な団長と黒い主人公です。
すいません・・・。二話の後書きで本編に入るとか言っておいて入れませんでした。許してください。
最後の方のクロロVS主人公のところでは魔界対戦が勃発しているのを思い浮かべてくれれば幸いです。ありがとうございました。