■離婚の方法
「離婚は結婚の数倍のエネルギーを必要とする。」
多くの離婚事件を取り扱ってきた当事務所の偽らざる感想です。幸せな未来を描きながらの結婚と違って、複雑に絡み合った過去のしがらみを清算していくのが離婚ですから、ご本人にとっては非常に気が重い作業になります。
ですが、離婚も人生の一大事ですから、一時の感情やその場の雰囲気に流されることなく、相手方と十分に協議し、きちんとした取り決めをしておくことが大切です。そんな時、弁護士は、あなたの力強い味方にきっとなれると思います。
離婚をするには、次のような方法があります。
■協議離婚
▽ 夫婦間で話し合って、離婚届を役場に提出する方法です。
▽ 離婚届には、子供の親権者を父親と母親のどちらにするかは書かなければなりませんが、慰謝料・財産分与や養育費のことを書く欄はありません。後で揉めないためにも、必ず、離婚合意書(離婚の条件を記載した書面)を作成されることをお勧めします。養育費などの金銭の支払いがある場合には、公正証書によって作成すれば、支払が滞ったときにすぐに給料差押えなどの強制執行ができます。
■調停離婚
▽ 離婚の条件((1)離婚するかどうか、(2)親権者、(3)慰謝料、(4)財産分与、(5)養育費など)について折り合いが付かない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停委員に間に入ってもらって協議をする方法です。
▽ 離婚については、いきなり訴訟を起こすことはできず、まずは調停で話し合いをしなければなりません。
▽ 調停は、あくまでも話し合いの延長ですので、夫婦間で協議がまとまらなければ、離婚は成立しません。離婚条件がまとまらなければ、調停は不成立として、離婚訴訟を提起することになります。
■裁判離婚
▽ 調停でも話し合いがつかなかった場合、家庭裁判所に対して、離婚訴訟を申し立てて、判決によって強制的に離婚をする方法です。
▽ 離婚を認めてもらうには、離婚原因が必要です(民法第770条1項)。
(1) |
不貞 |
いわゆる浮気ですが、相手が否定する場合には、性交渉があったことの証明(肉体関係があったことを推測させる携帯メール、ラブホテルへ入っていく現場写真など)が必要です。 |
(2) |
悪意の遺棄 |
家出をして帰ってこない、生活費を渡してくれない、といった場合です。夫の暴力に耐えかねて別居をするなど、正当な理由がある場合は含まれません。 |
(3) |
配偶者の生死が3年以上明らかでないとき |
(4) |
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき |
(5) |
夫婦関係が破綻(はたん)しているとき
→ 暴力、浪費(ギャンブル、買い物中毒など)、性格の不一致、嫁姑の深刻な対立など、原因は様々ですが、要するに夫婦としての共同生活を送っていくことができない状況のことです。 |
▽ 不貞をした夫(妻)からの離婚請求など、離婚原因を作り出した配偶者からの離婚請求は、原則として認められません(これを「有責配偶者からの離婚請求」といいます。)。
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