事業の運営にとって、売掛金が予定どおりにきちんと回収できることは極めて重要です。しかし、長引く不況を反映してか、長期未回収の売掛金を抱えてお悩みの経営者の方が多いようです。また、景気のよいときであれば何の問題もなく支払われていた代金が、あれこれとクレームを付けられてなかなか支払ってもらえないというケースもよく目にするようになりました。
債権回収の最終手段は訴訟(裁判)ということになりますが、やはり時間もコストもかかりますので、できる限り訴訟に至らずに回収できるように、日頃から債権管理をきちんとしておくべきです。また、やむを得ず、訴訟を起こさざるを得なくなった場合への備えも大切です。
□ 重要な取引については、契約書を作成する。
□ 電話での受発注は避け、FAX・電子メールなどの方法で、注文内容や取引条件について証拠を残す。
□ 大口の取引については、担保を徴求する。
□ 支払遅延などの黄色信号を見逃さない。
□ 消滅時効に注意すること
▽ 消滅時効とは、債権が発生してから一定期間が経過すると、権利が消滅してしまう制度です。
▽ 会社や個人事業者(法律用語で「商人」といいます。)の間の取引に関して生じた債権は、原則として5年間が経過すると消滅します(商法522条)
▽ 5年よりも短い期間で消滅してしまう債権もあります(民法170条〜)。
工事に関する代金債権 3年間
生産者、卸売業者、小売業者の代金債権 2年間
▽ 消滅時効が成立することを阻止するためには、
(1) 訴訟を提起する
(2) 売掛先の財産を差し押さえる
(3) 売掛先から債務の承認をしてもらう
のいずれかの手段を取る必要があります(時効の中断)。
単に請求書だけを送り続けても、消滅時効を阻止することはできませんので、ご注意下さい。
▽ 消滅時効期間が過ぎてしまっても、売掛先から債務を承認してもらえれば、消滅時効の成立は阻止できます。