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    立教180年(平成29年)7月18日発行 第298号
    一面挨拶

道の将来を担う人材の育成

人材育成
 皆様ご承知の通り、真柱様は、これからは人材育成に力を入れた活動をお願いしたいと仰せになりました。
 そこで、人材育成として教会長子弟育成プロジェクトや、道の後継者講習会が行われます。まず、身近な人達から声を掛け、しっかり育てさせて頂く事になりました。
 最近の傾向として、世の中が豊かになった反面、物金中心の考え方となり、また、親子兄弟の絆が薄れ、自分の子供ですら信仰が伝わらない家庭が増えております。
 今必要なことは、もう一度信仰を振り返り、よふぼくとしての使命を忘れず、まだお道のわからない人達に親神様の御教えを伝え、さらには、身上に苦しむ人達におさづけを取り次ぎ、事情で悩む人達に耳を傾ける事が必要であります。
 私達よふぼくは、おさづけの理を頂戴した信仰の元一日に返り、まずは自分自身がしっかりと心を磨き、身近な人達を導きたいものです。
 そこで、まず教会長子弟育成プロジェクトですが、3年計画として、教会に生まれ育った子供達全員をしっかり道に繋げていくという気運を生み出し、将来へと続く子弟育成の基盤を作り上げることを目指すものであります。
 神様は、おさしづにあるように、「道というは、小さい時から心写さにゃならん」(明治33年11月16日)と仰せられていますが、子供に信仰をもってもらうには、小さな頃から信仰的な導きが必要であり、また、親自身の日々の通る姿勢が大事である、ということであります。
 こどもおぢばがえりなどの少年会活動を積極的に活用し、自然な中に信仰を培う事が大切であり、また、人を育てるには、教祖が、人に応じ、時を見て、口や筆に、さらには身を以てお示しになられたひながたを思案して、心の成人をする努力が必要であります。
 また、神様は、おさしづにあるように、「をやという理は可愛い理に育てば、どんな所も育つ。親と成りて育つるは可愛いという理以て育てるよう。」(明治22年11月29日)
 人を育てるには、我が子であろうが、我が子でなくても、どんな人であっても、本当の親のように、常に愛情を持って丹精を続けることにより、いつかその思いは子に伝わり、信仰をするようになる、ということであります。
 私自身を振り返ってみますと、教会に生まれ、小さい頃から信仰の中に身を置き、親戚も皆信仰をしていたため、天理教以外の信仰は考えられませんでした。こどもおぢばがえりや、親に連れられての教会参拝、親子でおぢばがえりは、子供心にとても楽しいものでありました。しかし、もし、親が信仰していなかったら、現在信仰していないかもしれません。親から信仰を学ばずして大人になれば、何か身上事情でもないかぎり、仕事に追われ、信仰は考えなかったでしょう。  また、日々の生活の中で、神様中心の物の考え方を実践すると同時に、子供にわかるように口に出して言うことが大事であります。
 風邪をひいたり、お腹が痛くなったりしたら、おさづけを取り次がせて頂き、さらには、一言お話もしてあげる事が大切であります。
 例えば、小さな子の場合、難しいことを言うより、神様がちょっと休んでいいよと言っているよ。その代り、休んでいる時、いつもは神様に健康で、元気にしてもらってる事を思い出して、お礼と、また元気にしてもらえるようお願いしようね。と言って、おさづけを取り次げばいいのです。
 大きくなって、理解ができるようになれば、ようぼくに言うように、しっかりしたお諭しも必要でしょう。
 今天理大学に行っている息子が、「天理の学校に来ている人達は、世間とは全く心が違う。心が優しい。世間で育った自分の小学校、中学校の友人達は、自分の事ばかり考えていて、最近は悪いところに気付いたりする。天理教の信仰が、いかに大事かわかる」と言っております。このような話を、我が子から聞くと、人を育てていく上で、とても大きな力となります。
 ところで、最近話題となっている、将棋の藤井聡太四段ですが、彼はまだ14歳の中学3年生にもかかわらず、公式戦で29連勝し、最多連勝記録を更新しました。
 藤井四段は、小さい頃から、人工知能(AI)を活用し、強くなったと言われています。NHK番組で、「人口知能 天使か悪魔か 2017」というものがありましたが、その中で、将棋界の最高位、佐藤天彦名人と人工知能による電王戦二番勝負では、人工知能が勝ちました。
 これからも、急速に進化し続けるコンピューターは、凡人よりもっと的確な判断力を持ったり、更には、コンピューター自身が失敗を学習し、自身を改良し、向上させていくと言われています。いつかコンピューターに支配されてしまうのではないかと、何か恐ろしいような気がします。
 これに対して、コンピューターを利用して強くなった藤井四段は、まったくその不安はなく、あくまでも人工知能は人間が作り出したものにすぎず、与えられた知識や目的のために動いているだけで、もっと進化できるのは人間の方である、といっているそうです。何と心強い発言でしょう。
 実は、藤井四段を育てのは、杉本昌隆七段という師匠であり、その指導方法ですが、

  1. 弟子が自分より強くても気にしない
  2. 弟子の才能を認め、指し方に口を出さない
  3. 強い相手を紹介してあげる
  4. 将棋以外のことはしっかり教える
  5. 弟子の才能を信じる
  6. 弟子の考えをしっかり聞く
  7. 日常的に弟子と仲良くする

と言われております。
 このことは、日ごろから親しくし、相手の話をしっかりきいてあげる。相手を認め、高慢な態度を慎み、常に低い心で接する。まさに、天理教の教えに繋がっています。
 静岡大教会では、昨年は静陵分教会子弟の清水二郎君が布教の家愛知寮に行きました。本年は、藁科分教会子弟の山本修次君が布教の家石川寮に行っております。本当に有難くも、素晴らしいことであります。静岡大教会では、今まで多くの方が布教の家に行きました。私も大阪寮に行かせて頂きましたが、言葉では言い尽くせないほどの大きな経験と、心の成人をさせて頂きました。
 その中で、人に話を聞いてもらい、さらには人を教え導く上で必要な心遣いも、いろいろと学ぶことができました。とにかく低い心になって、どんな相手でも、たとえきつい事を言う相手でも心を波立てず、言い争うことなく、めげることなく、ただひたすら親神様、教祖が見守って下さっていると信じて、平常心を心がけ、自然体でにをいがけをさせて頂くことが大事であります。
 やる気がなくては、当然相手も話を聞いてくれませんが、気負いすぎは、相手も警戒します。心の中に、神様の思いは深く持ちながらも、常に心を落ち着かせ、相手にも緊張をさせないように配慮し、お話ができるように努力する必要があります。これは、簡単なようで、簡単ではありません。熱心な布教師ほど、失敗しがちなところです。
 元始まりにおいて、親神様が道具雛形に入り込み、人間をお創りくだされ、長の年月、お育てくだされているからで、我々人間は、そのお働きを以て、御守護頂き、子供を育てているのです。そして、親神様のお望みになる、互い立て合い助け合う陽気ぐらしこそ、人類が目指す究極の目的であります。
 親神様が我々人間をお育て下されたように、また、教祖もその思いをもって50年人をたすけ、育てるというひながたをお残し下されたのです。その御恩にお応えするべく、親神様の元に、一手一つにおつとめをし、ひのきしんをし、にをいがけをし、おたすけをし、互い立て合う実践をしていく事が、大切であります。
 このように、教会はもとより、信者宅においても、できる事から身に行い、それによって、お互いを磨き、人材を育成できるように成人したいものであります。
 どうか皆様の、御理解と奮起を、心よりお願い申し上げます。

立教180年(平成29年)7月18日      
静岡大教会長 松浦一郎