申 入 書
去年後半からの深刻な不況は、私たち中小業者の経営を直撃し、売上が
何分の一にも激減したという仲間も少なくありません。その上消費税は、
“赤字でも容赦なくかかる天下の悪税”として猛威を振るっています。小
売業者は、消費税の転嫁がまるでできないと頭を抱えていますし、下請業
者も、形の上ではともかく、工賃の方が最低限以下に押さえられていて、
消費税を納めたら、工場の光熱費さえ残らないような有様です。
ところが今、滞納処分として売掛金を差し押さえるといった無茶な取立
が行なわれています。貴職におかれては、機械的な滞納処分などを直ちに
やめて、まじめに仕事をし、必死に税金も納めようと努力している中小零
細業者に血の通った姿勢で臨むことを強く求めます。
憲法25条は、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利
を有する」と定めています。国税徴収法も、第六章で、差押えができない
財産として納税者の生活に欠かせない物や生業に不可欠な財産などを挙げ
ています。これは納税の義務よりも国民の生きる権利の方が先だというこ
とを、示しています。この点からも、貴職におかれては、中小零細業者の
経営実態を無視し、生存権をも意に介さない強権的・機械的な税務行政執
行のあり方を見直し、改めるように求めるものです。
税金は、不況に苦しむ私たち中小零細業者からではなく、これまで大儲
けをしてきた大企業・大資産家からこそ取るべきです。今年は消費税の導入
からちょうど20年目です。これまで国に入った188兆円の85%以上、160兆円
が法人減税の穴埋めに使われた計算です。これを元に戻せば年4兆円も増
収になります。さらに、輸出大企業は、上位10社で一兆円以上も消費税の
還付を受けています。これをやめることによっても大幅に税収は増えます。
こうした点をふまえ、私たちは、中小業者の暮らしと営業を守る立場か
ら、貴職に対して、相互の信頼関係に基づく正常な慣行を守り、税務行政
が民主的に運営されることを求めて、次の通り申し入れるものです。
記
一.憲法と、国税当局自らが出した指針「税務運営方針」を貴税務署職員に
徹底すること。
二.長引く不況で明日の生活もままならない状況のもと、事後調査は行わな
いこと。どうしても必要な場合でも、事前通知を必ず行い、協力する納税
者に調査理由をわかりやすく説明すること。
三.調査の際、立会人がいることを理由に、調査をせず一方的に退席したり
しないこと。また、頻繁に居宅や仕事先に立ち寄ったり、「青色申告を取
り消す」などの心理的圧力を掛けたりしないこと。営業の信用を失わせる、
いわゆる反面調査は行わないこと。また、調査の結論はいたずらに長引か
せることなく速やかに出すこと。
四.税金の滞納者は生活困窮者が大半である。安易な滞納処分をせず、国税
徴収法第153条の趣旨を尊重すること。
五.「申告納税制度の基本は、従来とまったく変わっていない」との国会付
帯決議の趣旨を尊重し、白色申告者に対して「収支内訳書」の添付がない
ことをもって、事後調査等で不当な取り扱いをしないこと。消費税課税業
者に対して、記帳上の些細な不備を理由に、仕入れ控除を否認する等の二
重課税を行わないこと。
六.当会と他の納税者団体とを些かも差別せず、税務行政運営上、公平かつ
平等に取り扱うこと。また、貴税務署職員はもとより、他の納税者団体に
対しても、当会への悪宣伝等をさせないよう指導を徹底すること。
以 上
2009年 3月 13日
島田税務署長 山 田 謙 司 殿
島田市若松町2650−6
島田民主商工会 会 長 中 尾 光
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