青山白雲
  93.08.12〜13北ア 爺ヶ岳2669.8m→鹿島槍ヶ岳2889.1m
木/金 1泊2日 単独    後立山連峰
<コース>信濃大町駅→扇沢出合→種池山荘(泊)→爺ヶ岳→つべた乗越→鹿島槍ヶ岳→冷乗越→大谷原→松本駅   

 梅雨明け後も天候不順、夏らしい暑さは殆ど無い。太平洋高気圧の張り出しが弱いらしい。台風7号通過後やっと晴れこの機を逃さず出発。

爺ヶ岳→鹿島槍ヶ岳

第1日 8/12 木曜日 快晴 信濃大町→唐沢出合→柏原新道→種池山荘泊
   信濃大町で下車、バスは時間があるのでタクシーに乗る。運転手に依るとアルプスが見えたのはこの夏今日が初めてだそうな。今夜は流星雨が見えますよと言う。今回登る鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳と反対側に蓮華岳等が安曇野の田園地帯を行く車中より望まれ、50分余で登山口の扇沢出合に着く。ここからは黒部ダムへの扇沢駅迄僅か1kmだが丸で動かない大渋滞だ、駐車場に入る混乱らしい。
 ↓柏原新道より鳴沢岳〜岩小屋沢岳
柏原新道より鳴沢岳〜岩小屋沢岳  お気を付けてと運転手に送られ、ウグイスが鳴きアカトンボの飛ぶ中、扇沢沿いの柏原新道を登り出す。良い道だ。

 花はアキノキリンソウ、オオバギボウシ、ソバナ、ハクサンオミナエシ(コキンレイカ)、そしてノギランが沢山見られた。

 12:40頃から沢の向こうが展望されだし、蓮華岳、針の木岳、下方扇沢駅の大駐車場、蓮華〜針の木間の針の木峠に突き上げる雪渓等が望まれる。メボソムシクイがちちりちちりと鳴く。

 ケルンが積まれた所に出ると、今日泊る種池山荘が見えて来た。ウサギギク、ゴゼンタチバナ、ヤマハハコ、ヤマブキショウマ、クルマユリ、オオバミゾホオズキ、ムカゴトラノオ。一帯は実を付けたオオシラビソだ。小さな雪渓を横切ると15:30種池山荘に到着した。出合から歩行4時間余だった。
 ↓種池山荘より蓮華岳〜針の木岳 下草コバイケイソウ
種池山荘より蓮華岳〜針の木岳  3Fに2人1枚の敷布団、ぐるりの展望が良い。明日予定の爺ヶ岳が東近くに、鹿島槍が北東遠く格好良い。そして西に剣岳、立山が大きい。宿の周辺はコイワカガミ、ミヤマアカバナ、ミヤマダイモンジソウ、コバイケイソウの一面のお花畑だ。

 17:30夕食、今夜と明日の夜は、1年1度のペルセウス座流星雨の日と小家主に告げられた。そう言えば運転手が言ってたっけ。最近は1時間数10ヶだが昔は1万個の時もあったとか、天文ファンの方々は大分騒いでおられたが、明日ある身の我等は早々寝込む。ラジオをお持ちの方よりの情報では、明後日は天気崩れるそうで、私は五龍岳への縦走は止め1泊とし、鹿島槍から引き返す事に変更した。

第2日 8/13 金曜日 晴 種池山荘→爺ヶ岳→冷乗越→鹿島槍ヶ岳南峰→冷乗越→大谷原→松本駅
 ↓爺ヶ岳山頂
爺ヶ岳山頂  今朝も天気は良い。弁当を貰い4:45には出発、ハイマツの中を爺ヶ岳へ。鹿島槍と爺の間の空が朝焼けだ。5:30到着した爺ヶ岳南峰では富士、槍ヶ岳など360°少し先の三角点の中央峰で風を避け朝食。皆ここはショートカットして登って来ないようだ。

 東面が激しくガレた冷乗越を過ぎ少し下って登り返した所が、オオシラビソの林の中に建つ冷池山荘だ。ここで一服、全然山をやっていないので脚の筋肉疲労が甚だしく、身体はここで下山したい感じだが、何とか鹿島槍丈は往復したい。この次改めてとなると中々で悔いが残ると思った。


      ↓安曇野と右の突起が有明山

安曇野と有明山

 布引山迄はお花畑だ。オヤマソバ、シシウド、ミヤマダイコンソウ、イワカガミ、ミヤマキンポウゲ、ホソバトリカブト、タカネヨモギ、ハクサンイチゲ、コバイケイソウ、ショウジョウバカマ、フジイタドリ(オノエイタドリ)、ナナカマド、シラタマノキ。コケモモは花と実、ハイマツが実を付ける。クロユリが花、実とも見られ思わず通りすがりの人に、クロユリがありますよというと、この辺お花畑は凄いねという。(注1)
 ↓鹿島槍ヶ岳
鹿島槍ヶ岳  道にはニワハンミョウ、そしてクマの糞! ホシガラスが鳴く。又ウグイスが1羽下の森の中で鳴いている。随分高く迄来るものだ。辺りはハイマツの脂の臭いが充ちている。赤い実が綺麗だ。(注2)此の辺のホタルブクロは丈が短く花と共に全草紅色なのが珍しい。

 ゴロ石の登りが何時迄も続き辛いが、変わって岩礫地の植物になる。イワベンケイ(実)、チシマギキョウ、イワオウギ、チングルマ(花と実)、イブキジャコウソウ、シコタンソウ、ヒメクワガタ、ミヤマコゴメグサ、トウヤクリンドウ、ミヤマコウゾリナ、タカネツメクサ、ツガザクラ。そしてタカネバラ(フジバラ)が1花のみあった。

 ↓立山〜剣岳
立山〜剣岳

 10:04疲れた身体を騙しながら半分以上精神力で脚を持ち上げ、秀峰鹿島槍ヶ岳の南峰に着いた。この辺一番の峰丈に近くの剣岳始め見晴らしは抜群。

 ここで初めて雪田の向うに北峰、その先のキレット小屋、更に延々と続く後立山連峰縦走路は、五龍岳の先に遥か白馬岳が望見された。

 充分満足で居合わせた方にシャッターをお願いし、12:10冷池山荘迄戻る。ここにある電話でタクシーを予約する。冷乗越では山岳ツアーらしい人々が、垂れ幕を拡げ賑やかに記念撮影中。見飽きる程見て来た剣岳に最後の一瞥、東へと下山に掛かる。

 ↓ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ   のっけから危ないザレ場約300m。これを過ぎても差1138m、5kmを殆ど平地の無い逆落しで、ゴロタ石、木の根を踏んでの急降でほとほと参る。

 この尾根はダケカンバ等大樹も多く、見事な樹相で前半は遠方の眺めも良いのだがなにしろ悪路だ。やっと高千穂平で鹿島を見上げて一服出来た。

 オヤマリンドウ、ウツボグサ、ヒヨドリバナ、シモツケソウ、タマアジサイ等を途中見る。鳥はコマドリ。最後は腐り掛かった梯子がこれでもかこれでもかと続き、何辺もへばり休み。旧道と新道の分岐、新道を行くとやっと歩き易くなる。砂防堰堤で大冷沢沿いの林道に出た。

 ↓後立山連峰縦走路 五龍岳〜白馬岳
後立山連峰縦走路 五龍岳〜白馬岳  雪解けの痺れる水で生き返るが、これより更に6kmの林道歩きが待っている。でも見事な大森林の中を行くので気分は休まる。

 大谷原に予約のタクシーが待っていた。1泊にした分浮いた費用、思い切って松本迄頼む。大糸線は単線で時間が掛かり特急に間に合わないと思ったのだ。途中方々の家の門前で迎え火を焚いておりお盆だったと思い出した。御陰で松本駅に着いたら間も無く特急入線、がら空きだった。

(注1) お花畑は鹿島槍への東側及び岩礫地に豊富だが、クロユリ等図鑑では7月一杯で花期終りとあるが、田中澄江氏がこの辺花期は長いとどこか忘れたが読んだ覚えあり。 PR→田中澄江氏の花の百名山文庫もある←PR
(注2) ハイマツの赤いのは雄花、実は越年し翌年夏熟すという。

<コースタイム>
  第1日:出発4:40→信濃大町駅10:15→扇沢出合11:10→種池山荘15:30
  第2日:出発4:45→爺ヶ岳南峰5:30→中央峰5:50〜6:20→冷乗越7:10→鹿島槍南峰10:04→冷池山荘12:10→大谷原16:30→松本駅18:15→帰着21:50
<歩いた距離>第1日:山道8km  第2日:山道19km 車道6km 計25km
<行動時間>第1日:10:18→15:30 歩行4:50 休止:22 計5:12  第2日:4:45→16:30 歩行9:30 休止2:00 計11:30
<掛かった費用>¥36830(中小屋代¥7000、タクシー¥4090+14720)
<使用地図>昭文社5万 鹿島槍
          地理院2.5万 十字峡/神城/黒部湖

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