↓燕岳
<コース>穂高駅→中房温泉→燕山荘(泊)→燕岳→大天井岳→常念乗越、常念小屋(泊)→駐車場→
松本駅
余り運動が出来ず、山も登らないので不安だった。然し如何してもアルプスに行きたい。矢張り少しバテたし、最後常念岳を諦めたものゝ、念願の北アに初めて踏み込み展望も楽しめた。 妻は山梨の不動の湯に14日、2泊3日で出掛けた。 |
第1日 8/13 火曜日 曇 穂高駅→中房温泉→合戦の頭→燕山荘(泊)
各駅停車は空いており穂高迄座って行けた。バスは1:15も待たされ満員の登山者を載せ出発。帰りのタクシー運転手の話では、この辺の他の路線は廃止、中房行も夏丈と言う。高原の樹林帯の細道をバスはくねりながら11:15中房温泉に着く。
メボソムシクイ(旧名メボソ)がチチリチチリ鳴く中シラビソの森林帯をゆっくり登る。見事な樹相だ。11:50標高1660mの第1ベンチ到着、10m下の水場に下りて水筒を満たし御握りを食う。ウグイス、コマドリが鳴く。第2、第3、富士見ベンチと休みながら、14:37合戦小屋に着く。ここ迄は荷物ケーブルがあり後はボッカらしい。寒い位で名物の西瓜も食う気がしない。合戦の頭は単なる肩、三角点とベンチ、ガスで展望は無し。やがて樹が低くなり出すとハイマツに変わり16:00ガスの中、今日泊る燕山荘に到着した。
ここ迄に見られた植物(大体下→上)。カニコウモリ、トモエシオガマ、アキノキリンソウ、ヤマハハコ、ヨツバシオガマ、オヤマリンドウ、ゴゼンタチバナ、クルマユリ、ウサギギク、チングルマ(実)、ミヤマアキノキリンソウ、ニッコウキスゲ、ウメバチソウ、ホソバトリカブト、タカネスイバ、ナナカマド(実)、ムカゴトラノオ、コバイケイソウ、タカネニガナ、ミヤマウイキョウ、ミヤマダイコンソウ、オヤマソバ、オンタデ、フジイタドリ(メイゲツソウ)、ミヤマホツツジ、ミヤマオトギリ、ハクサンフウロ、エゾシオガマ。
↓山頂の白籏氏
別館に案内され、上下2段3人部屋に5人、しかし結局大分余っていた。収容600名、北アで2番位の規模とかで、山小屋の概念には入らない。電話、救護所、喫茶店、個室、サウナ、フランス料理フルコース等。(個室以下は特注)。さすが北アだ。
何回かに分けての夕食だが、なかなか旨い。焼肉、魚のテンプラ、サラダ、味噌汁、フルーツ。ガスで一向に展望が無いので絵葉書を買う。ところがガスが取れ出し方々がちらちら見えて来たので、使い捨てパノラマカメラを買い飛び出す。槍が意外に大きく雲の上に突き出て皆を喜ばせる。 |
南ア写真集で有名な、白籏史朗氏が入口でサイン会をしていた。今年は燕山荘70周年とかで色々行事があるらしく、氏の講演がこの後あった。しかし酒を燗して貰ったら疲れがどっと出てその侭寝て仕舞う。がトイレに向かうスリッパのばたばたが一晩中煩く余り寝られなかった。
↓大天井岳と槍ヶ岳
第2日 8/14 水曜日 晴 燕山荘→燕岳→大天井岳→常念小屋(泊)
快晴しかしガスが去来、山々は隠され勝ちだ。弁当を貰い4:30出発、5:00燕岳へ、つるつるした丸こい岩の集積で成る山頂は5〜10人立てる程度。白籏氏や関係者がプロ用カメラを構えて槍ヶ岳を狙うが、中々上手くガスが切れない。関係者が氏に遠慮してこれ位でというが氏はもう少し待ちましょうと落着いている。
その内反対方向が御来迎、我々双方注意で忙しい。寒いので1人の女性に撮って貰い去る。100mも離れない内にガスは無くなり山頂では白籏氏等が槍をカメラに収めていた。さすが1年の大半を山小屋で過ごすと言われる氏は慌てなかった。それ丈山に籠っていて狙っても撮れなかった光景を、たった1回登って来た方に撮られる事もあると何処かで云われていたのを思い出した。
↓大天井岳より燕方面
燕山荘に戻ると山頂もはっきり見え、この後殆んど上下の無いプロムナードコースで槍を初め山々を心ゆくまで眺めながらの贅沢な逍遥だ。 足元には数々の高山植物があるが、柵内にはいじけたコマクサが点々、栽培して増やしたものという。でも兎に角実物を見て満足。 ライチョウも姿は見えないが下の方で鳴いていた。黒に白点のあるホシガラスが可愛く其の辺を飛び回る。カラス科でがーがー鳴くとあるがカラスの様な不気味さは無い。 |
この辺の高山植物。ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマアキノキリンソウ、ウサギギク、タカネシオガマ、ミヤマヤナギ(実)、ニッコウキスゲ、ウメバチソウ、タカネスイバ、ホソバトリカブト、ムカゴトラノオ、ミヤマクワガタ、コケモモ(花、実)、ミヤマウイキョウ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマミミナグサ、タカネツメクサ、イワツメクサ、タカネナデシコ、オヤマソバ、フジイタドリ(メイゲツソウ)、チシマギキョウ、トウヤクリンドウ、ミヤマホツツジ、ゴゼンタチバナ、ミヤマアカバナ、タテヤマリンドウ、ミヤマ(シナノ)オトギリ、ハクサンフウロ、ハイマツ(実)、チングルマ(実)。
↓常念岳
大天井岳が大きく目の前に立ちはだかる頃、北ア南部がほぼ見渡せるようになった。鎖場で上下の鞍部に喜作のレリーフがある槍分岐から、表銀座コースへの捲道と別れ大天井岳へ直登。この道は余り利用されないらしくおっかない所あり。
9:17小社のある常念山脈最高峰、大天井岳2922.1mに登り着く。石だらけの狭頂ながら全方向の展望は気分最高だ。南に今迄隠されていた常念岳が大きく姿を現わした。安曇野は雲の下。オコジョが岩陰より姿を現し居合わせた人達に知らせるが、直ぐ引っ込んで間に合わず。 |
緩く下ると大天荘の在る広場、一服して又プロムナードを行く。東天井岳、横通岳共山頂省略、捲道を行く。槍沢のカールをはるかにビノキュラで見ると下方に沢山のテントが見られた。森林帯へと下り広河原の常念乗越に出ると、ガスの中にテントが見え少し下に小屋は在った。
常念岳は1:00もの急な登りなので明日にして、少し早いが13:00小屋で夕食迄横になる。ここの夕食も旨い。肉の空揚げ、サラダ、おから卵とじ、味噌汁、フルーツ。常念のビデオと言うのが上映始まるが寝て音声だけ聞く。同じくずっと寝ていた2人が夜中も凄い鼾で皆寝不足になる。隔離して!
↓常念小屋と穂高〜槍
第3日 8/15 木曜日 快晴 常念小屋→一の沢林道、駐車場→松本駅
夜中窓より見ると星が凄い、眠れぬまま常念へ登ろうか、止めようかと悩んだが、結論は疲れたのでこの次にして下山に決める。山は逃げない、しかしもう来れないかも。宿にタクシーを予約し、続々登る人々や、小屋越しの槍ヶ岳をカメラに収め6:10一の沢へと下る。
直ぐ樹林帯になり石ころ道だが整備されている。100人位か?続々登って来る。狭い道端で休んでいる家族の傍を通ったら父親がすみませんというと、3歳位の女の子がしゃがんで何かメモしていたが、顔も上げずにすみませんとぴょこんとお辞儀して可愛らしい。
↓常念山頂
沢沿いの植物。(上→下)ヒヨドリバナ、カニコウモリ、センジュガンピ、マルバダケブキ、アキノタムラソウ、オカトラノオ、ニッコウキスゲ、クガイソウ、ソバナ、ツリガネニンジン、シモツケソウ、?アザミ、ヤマハハコ、トリアシショウマ、アキノキリンソウ、キオン、ホソバトリカブト、オトギリソウ、オオバギボウシ、ウメバチソウ、オヤマリンドウ、ホタルブクロ、タマガワホトトギス、クルマユリ、キツリフネ、ツリフネソウ、ヤマアジサイ、タマアジサイ(蕾)、クサボタン。
沢沿いの長い道とて水場は幾らもあるが、一箇所竹筒から豊富に名水というのが出ており土産に詰める。林道に出るとタクシーが待っており松本迄頼む。常念岳は地元では日帰りだそうだ。夏休み中はここ専門に配車されているという。昨日は都内までの仕事があったのは有難かったが帰り渋滞で参ったそうだ。駅で土産に饅頭を求め、冷房の効いた特急で座れた。 |
<コースタイム>
第1日:出発4:20→穂高駅9:50→中房温泉11:15→合戦小屋14:37→燕山荘16:07
第2日:出発4:30→燕岳5:00→大天井岳9:17→常念小屋13:00
第3日:出発6:10→林道駐車場9:00→松本駅10:00→帰着13:45
<歩いた距離>山道 第1日:6km 第2日:15km 第3日:8km
<行動時間> 歩行 休止 計
第1日:11:18→16:07 4:00 1:00 5:00
第2日: 4:30→13:00 7:00 1:30 8:30
第3日: 6:10→9:00 2:40 :10 2:50
<掛かった費用>¥36060 (中、小屋代7000×2、タクシー7000)
<使用地図>昭文社12万北ア 地理院2.5万槍ヶ岳/有明/穂高岳/信濃小倉
<参照>アルパインガイド 北アNo.25.28
新ハイキング誌No.370.393.430
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