シラビソの原生林の下草は花は未だだがセリバシオガマがびっしりだ。コメツガ、ミヤマハンノキ、ナナカマドの樹々、地にはヒカゲノカツラ。サルオガセが樹より垂れる。ギンリョウソウ、ゴゼンタチバナ、シモツケ、ホツツジの花。樹間より時々遠くに富士、近くは薬師岳や砂払岳の岩峰が高い。一寸した小登りで大展望地に出た。
樹々は段々ダケカンバ等の広葉樹に代り、急降に次ぐ急降だ。ガンクビソウ、サワギク、ハエドクソウ、レンゲショウマ、クルマバツクバネソウ、カニコウモリ、ツバメオモト、マタタビを見る。レンゲショウマの重げに垂れた花、山草に珍しく華やかで妻も感心する。大棚沢出会10:26.ここで顔を洗い1:00ゆっくり休む。
↓コバギボウシ
これより沢を黒、赤、ケルン等の国体用のマークに従い7回横切ったが、妻は5回靴を脱いで渡る。車道に出て暑い中を鉱泉に向かって歩き出す。 フシグロセンノウの大群生に会う。何時もぽつりぽつりなので珍しい。シナノナデシコ、オミナエシ、エビガライチゴ、ノコンギク、トモエソウ、センニンソウ、オカトラノオ、アレチマツヨイグサ、ツリフネソウ、シデシャジン、フジウツギそれから飽きる程見られたものに紫の濃いコバギボウシがある。オオバより遥かに品がある。 |
薬師岳への中道登山口には、ここも国体コースとあって一般登山者に注意するよう書かれていた。2人共疲れて河原で一息入れていると、下手100mに2匹の猿が出現、この辺に沢山居るイナゴを盛んに捕らえて食っている。妻と代わる代わるビノキュラで覗き野生を楽しむ。左遥かにドンドコ沢の滝を見ながら14:45青木鉱泉に着いた。
林間の宿で、経営不振で売りに出たのを、別荘にと買い取った御主人が由緒ある鉱泉と聞き、再開を決心したそうで、新築二階建本館と別館の二棟。木造のあっさりした造り、付近の野草等活けてある山宿だった。早速風呂に入る、一番だった。風呂焚きのおじいさんが湯加減を聞きに来る。身体を良く洗って入って呉れといささか煩い。マナーの悪い登山客がいるらしい。微かに硫黄臭のある良い湯で体がほぐれた。
7人の相部屋で寛ぐ。Hさんという同年輩の御夫婦が、間も無くドンドコ沢から下山。次々と人で一杯になる。奥様が急降の大変だった事を大声で人に話すと、御主人は俺は登りは苦手だが下りは平気だといわれる。持参のウイスキーを水割りでちびりちびり、その内ビールを飲み出す。夕食は山菜、テンプラ、鮎の塩焼き。又風呂に入って沢音を聞きながら寝た。
第3日 8/16 土曜日 晴 青木鉱泉→鳥居峠→韮崎駅
朝の中2人で東洋一というシラカバ林を見に行くが、中々の登りなので妻丈帰す。やがて平になったが笹薮だし後25分とあり、食事に間に合いそうも無いので引き返す。御座石鉱泉にむしろ近いらしい。Hさんの奥様も疲れたと言いながらこちらまで歩き回ったらしいが、マイクロバスの発車が早くなったので矢張り戻ったと言う。御主人はウイスキーをちびりちびりやりながら笑っておられた。何時もより早く沸かしたと言いに来るおじいさんの声を背に最後の一浴。
朝食後9:00マイクロバス2台に17人が分乗して出発。鳥居峠越えのこの林道の長い事、韮崎駅迄約1:00鬱蒼とした緑の洪水の中の登り降りに、これでは簡単に来れないと皆驚く。宿は冬は閉じているそうだ。
<コースタイム>第1日:出発(タクシー)4:20→甲府駅7:13→夜叉神峠入口9:14→夜叉神峠10:35→杖立峠12:23→苺平15:44→南御室小屋16:45 第2日:出発6:06→大棚沢出合10:26→青木鉱泉14:45 第3日:出発9:00→韮崎駅10:00→帰着14:00
<歩いた距離>第1日:山道10km 第2日:山道5km 車道6km 計11km
<行動時間>第1日:9:30→16:45 歩行4:15 休止2:00 計6:15 第2日:6:06→14:45 歩行6:30 休止2:15 計8:45
<掛かった費用>¥41760 中、南御室小屋¥4500×2 青木鉱泉¥7500×2
<使用地図>昭文社4万 南ア北部 地理院2.5万 鳳凰山/韮崎/夜叉神峠
<参照>甲斐の山山 新ハイキング社 小林経雄氏 p277〜278
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