青山白雲  85.01.01〜03天子 塩の沢温泉入ヶ岳 1185m
火〜木 妻と 2泊3日
<コース>
第1日:身延駅→大崩→椿草里→塩之沢温泉
第2日:(単独)塩之沢温泉→大垈おんた→入ヶ岳→塩之沢温泉
第3日:塩之沢駅より帰る

第1日 1/1 火曜日、元旦 快晴 身延駅→大崩→椿草里→塩之沢温泉(泊)

塩之沢温泉と入ヶ岳

 身延駅から桑柄川沿いに東に約3km、大崩集落にはヤマウルシの実が長い房となって垂れ下がった樹が大分目に付く。振り返ると七面山が良く見える。全部で13軒という集落は全て佐野姓だという。

 柿のなる長閑な山村だ。水神様より峠に着くと尾根通しにも左右道があり、東の椎茸栽培等で手入れされた道に行って見る。819.2m峰は最近再測量の為らしく西側の樹が払われ、富士川が見下ろされここで食事にした。

 ほぼ平らなこの稜線よりは、北東に大きく明日行く予定の御堂平が見えるが平凡な形で写真にならない。下山は北面、雪は無いが妻は歩きにくそう。

 廃屋もある椿草里集落に下り着くが、良い名前とは裏腹に今下ってきた南の山々が、被さる様に急で碌に陽が射さないみたいだ。鋭角に北上する大垈への道を見送り御持川に沿って下って行くと、やがて身延山が富士川の北西向うに大きい。

 塩之沢集落の平地に出ると、ほぼ中心の十字路に富屋という駄菓子屋が在り、ここが経営するのが塩之沢温泉だ。冷泉の沸しで小さな風呂だが、傷と胃腸に効くとの事。食事は家庭的な味付けで美味しい。今日は正月なので餅や数の子が出る。奥様は若い頃毛無山に登ったそうで、御堂平はゴケンモチと云いワラビ採に行くとも。大崩の峠越えでは迷って佐野峠へ行って仕舞い、野宿となった客がいたとか。

第2日 1/2 水曜日 快晴 単独  塩之沢温泉→大垈→入ヶ岳→塩之沢温泉
 ↓大崩より身延山と奥に七面山
大崩より身延山 七面山  食事を早めに戴き最小限の荷を負い7:20に一人で出発。昨日の道を遡り大垈への道に入ると、沢沿いの道は幽邃の相を深め、崖よりは常緑のハコネシダ、イノモトソウ、マメズタ等が垂れている。春秋に来ると良いだろう。

 ハンターが犬笛を吹くと私の脇の草叢よりポインターが飛び出して驚かされる。車道は屈曲しつヽ遥かな高みとなる頃には東に御堂平よりの尾根が望まれた。手持地図に無い林道が見え、帰りはこれを利用するやも知れない。

 行手にこんもり丸い山は911m峰らしく、手前山腹に大垈集落はへばり付いていた。(宿の奥様に依るとオオヌタでなくオンタというらしい)高度700m、大崩より高い山上集落で、沢の詰めを回り込んだ辺りに10軒程固まり、うっかりすると転げ落ちそうな急斜面に畑を耕作していた。炭焼が無くなり椎茸栽培の他は街に働きに出ていると宿の御主人の話だった。

 ↓大崩集落
大崩集落  この辺大伐採が進行しており、緩々と辿り着いた峠は索道基地になっていた。七面山が西南に立派、北東には81.02.08大難行した五老峰ごろぼう〜毛無山が、そして遥かに下部川と湯之奥集落が小さい。

 東へ向かうと南ア、八ヶ岳が見えて来た。第2の索道基地に入ヶ岳バイパスの表示があり、そこに居たハンターに訊くと南の山がそれと言う。落葉樹に点在するモミ、アセビのトンネルを過ぎると道は右へ捲いて行き、沢へと下った。

 道不明の儘雪数cmの急斜面を掻き登り入ヶ岳に到着した。御料局三角点のある鳥声のみの疎林静頂だった。東に少し下った鞍部は左右に道があるが遥に高い御堂平には無く、入ヶ岳で一応満足として山頂に戻り枯草に寝転んで日向ぼっこ。少し先から伐採で西方の展望が楽しめる。やがて尾根は3分し、高度計とコンパスで勘案、一番南の尾根を下る。林道が見えて来たが、中々手強い藪をやっと下りついた所よりの笊ヶ岳は迫力がある。


  ↓入ヶ岳より五老峰、大ガレの頭、毛無山

入ヶ岳より五老峰〜大ガレの頭〜毛無山

 チョロチョロ出る沢水を溜めた、野天風呂様水場あり洗顔する。艶々した綺麗な赤実を採集、宿の御主人がヨシズと云い焼酎に漬けると色、味共に良いと言われる。しかし帰って調べたがどうも有毒のヒヨドリジョウゴらしい。ヨシズの正和名が判ればと思う。登っている間、妻はお茶受けに出された小梅が美味しかったので、分けて戴きたいというと沢山下さり、お幾らですかと聞くとお土産が無いのでどうぞという事だったそうだ。

第3日 1/3 木曜日 初雪後晴  塩之沢駅→帰宅
 起きると小雪だ。妻が昨日の小梅のお礼をいうと又吊し柿を戴く。何れも自家製との事。田畑があるらしい。感じの良い鄙びた宿を発ちすっかり薄化粧され水墨画の田舎風景をローカル線で甲府に向かう。途中笛吹川ではシラサギが魚を獲るべく水面を見詰めていた。

 その後宿にはお返しに、奥多摩の山に出掛けた時、例の獅子口屋製の山葵と蕗の佃煮を求め送ったら、電話でお礼があり、梅干が無くなったらお出で下さいとの事だった。

<コースタイム>
  第1日:出発(タクシー)5:27→身延駅9:32→大崩11:31→819.2m峰12:26〜12:52→椿草里14:15→塩之沢温泉15:20
  第2日:出発7:20→大垈8:45→入ヶ岳11:03〜11:20→帰着13:55
  第3日:出発10:20→帰着15:30
<歩いた距離>第1日:山道5km 車道10km 計15km  第2日:山道8km 車道13km 計21km
<行動時間>第1日:9:52→15:20 歩行5:00 休止:30 計5:30  第2日:7:20→13:55 歩行5:50 休止:40 計6:30
<掛かった費用>交通費12070 宿賃20000 其の他3020 計35090
<使用地図>地理院2.5万 身延/人穴

<地名の異称>御堂平→御堂、五宗山、出水、こうもり山。日蓮上人が身延山久遠寺創建当時、候補の山の一つで、御堂を建てた事があると言われる。 入ヶ岳:入り→奥まった所、谷の奥地。
<参照>新ハイキング誌No.337 御堂平〜三石山
      続 静かなる山 p52御堂平 望月達夫氏
      甲斐の山山 新ハイキング社 p250 小林経雄氏
      81.02.08五老峰→毛無山 83.10.23三石山→思親山
<参考> 塩之沢温泉:含塩化土類食塩泉(硫化水素泉)切傷、吹出物、リュウマチ、胃腸病。
      chome pageさんのホームページ 塩之沢温泉

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