青山白雲  79.08.18〜19 富士山 3775.63m
土/日 晴 夜行日帰 単独 スバルライン→吉田口登山道
<コース>河口湖駅→富士スバルライン→新5合目→8合目辺ビバーク→山頂→お鉢巡り→剣ヶ峰→砂走り→長蔵小屋→吉田口登山道→浅間神社→河口湖駅

富士山  臨時登山バスの最終に間に合わすべく、山姿で中野の会社へ。皆に凄い、本格的等と言われながら退社、其の足で高尾へ。寿司とジュースで腹拵え、河口湖直通電車の中で仮眠をとる。バスは河口湖駅を20:30発車。山腹45°に点々と灯る小屋の明りに皆あれを登るのかとその急な事に驚きの声が上がる。21:15新5合目着。

 風が強いので帽子は仕舞い、懐電と手袋を出して歩き出す。樹が無くなると強風で倒れそうだ。静かな小屋を幾つも過ぎ、7合目辺の小屋のベンチで休んでいると、上は団体で満員ですから安くしておきます言う。ツエルトでビバークしている人あり。私もその先の岩陰を見付け、懐電で照らすと奥に1人位横になれそうで、ヤッケ、セーター、合羽を着込み入り込む。

 寒くて眠れず30分も経った頃、騒々しくなったので見ると大勢登っている。昼間小屋にいた人々が出て来たようだ。これはいけないと身支度をして人々に加わる。満員の団体は本当で話振りで関西らしい。リーダーがハンデイトーキーで連絡を取っている。担架を持った人もいる用意のよさだ。皆ゼッケンを付けている。

 8合目で玉子とビール¥700を注文。隣の男性が話し掛ける「眠くて・・・」「眠いけど眠れませんね、この風じゃ」「全くです、後30分ですがこの30分がえらいですよ、でも頂上には無料休憩所がありますから、そこで横になります」この人ゆっくり登るのはいいが、ハーツ、ハーツと大儀そうに息をする。私は良い具合に心配した高山病の気配は無い。強風と霧が時々ドドツと来る中をひたすら耐えて登る。

 
 ↓日本最高点 剣ヶ峰
剣ヶ峰  4:00山頂へ、無料休憩所というのに客引きが煩い。1軒で横になる。主人が来て注文を取ると、未だ何か御注文はありませんかと眺め回すので、気の弱い私はホットコーヒーを貰う。外人も結構登っている。5:00御来迎、雲が少し邪魔だが強風にブレぬ様シャッターを押す。光が射し出すと客引きがすかさず、もう写りませんから入ってお休みをと声を張り上げる。

 大部分の人々がさっさと下山を始める中、私は数少ない人と一緒に2kmの御鉢巡りに向かった。遮る物の無い頂上とて強風は一段と激しさを増し、這い蹲らないと転げ落ちそうになる箇所もある。少しの万年雪のある殺風景な火口を右に時計回りに歩く。浅間神社の奥宮を経て剣ヶ峰への登りでは、霧の中を空気も愈々薄いので、ロープに掴りながらの朦朧状態で測候所の陰にへたり込んで仕舞った。

 でも遂に3775.63m日本最高点に到達したのだ! しかもここで初めて"ブロッケンの怪光"を見る事が出来た。東に出た太陽の光が西の雲に当る所に後光が出来、其の中心に私が居る、手を振ると私だと判る。昔の人は理屈が判らないので驚き、神の業と崇めたらしい。

   
 ↓吉田口登山道の赤松林
赤松林  御鉢巡りは更に一部、火口へ降り白山岳を経て元の所へ戻った。頭も少し痛くなって来た。続々登る人と別の下山路をとる。頂上で誰か飛ばした麦藁帽子がコロコロと何処までも見えなくなる迄転がって行き、休んでいる人々の笑いを誘う。

 砂走りに入ると、疲れる様な快適な様な具合だ。踵を着け踊る様に下りるのがコツらしい。合羽のズボンを着けていると靴の中に砂が入らず良かった。似た呼び方の"砂走すなっぱしり"と少し手前で分かれる"須走すばしり"へのコースを間違う人が多いらしい。

 オンタデの生える6合目へ、赤花種のメイゲツソウもあり綺麗だ。長蔵小屋でうどんを作って貰う。シマリスを2匹も見る。騒々しい今迄と打って変わりここは廃れた吉田口登山道だが、一番登られたこの道もスバルラインの開通でひっそり。その長い道を下山に就く。カニコウモリ、キオン、レンゲショウマ、ソバナ、シオガマギク等の花が多い。

 沢山ある小屋は皆廃屋となり、一軒など丸焼けとなっていた。イタドリの大きい事太い茎は高さ4mもあろうか。フジアザミは蕾。アカマツ林が延々と続くこの道7km余の間、若者と年配2パーティーの登りに会ったのみだった。

<コースタイム>会社発17:00→新5合目21:15→8合目辺24:00〜1:00→山頂4:00→御来迎5:00→剣ヶ峰6:00→元の所7:30→長蔵小屋10:00〜11:00→浅間神社14:00→河口湖駅15:15→帰着18:30
<歩いた距離>山道27km 車道5km 計32km
<掛かった費用>¥5870
<使用地図>昭文社6万 富士/五湖  地理院2.5万 富士吉田/富士山/須走

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