青山白雲  79.05.05/06
 道志
御正体みしょうたい1681.6m丹沢菰釣こもつるし1370m→畦ヶ丸1292.6m

 1泊 単独 初めて無人小屋泊りでシュラフ、クッカー、1000ccポリタンク等を持参して道志の最高峰から、西丹沢の甲相国境尾根を歩いた。
<コース>第1日:都留つる市駅→細野→三輪神社→御正体山→山伏峠→大棚の頭→菰釣山→避難小屋(泊)
       第2日:避難小屋→城ヶ尾峠→大界木山→畦ヶ丸→西丹沢→中川温泉→新松田駅

第1日 5/5 土曜日、子供の日 快晴
 都留市8:00発道志行のバスは芽吹き始めた鶴ヶ鳥屋とや山や本社ほんじゃヶ丸等の山を高々と見ながら、田舎道を行く。運転手や車掌が畑仕事の人と挨拶を交わすのは長閑だ。ハイカーは皆道坂どうさか峠方面らしく、細野には私1人下車。身支度していると、おばあさんが何処からともなく現れ、山へ行くのかねと話し掛けられる。登山口の三輪神社を教えて貰い歩き出す。入口には山名由来の看板がある。
 ↓シロバナエンレイソウ
シロバナエンレイソウ  沢を丸木橋で渡り、杉林の緩い山道を登る。ヤマブキの花がトンネル状だ。ヒトリシズカは"一人静"でない、数本固まって咲いている^/^。

 シロバナエンレイソウが何処も花盛り、と言っても大きな三つ葉を上に向け、真ん中に小さく咲く白花は目立たない。クサソテツ?の群落、そしてスミレらしくないギザ葉のエイザンスミレの花。

 沢を渡り返すと尾根の急登になる。伐採した所に出ると北東に今倉山が堂々たる山容で、そこへと続く道坂峠が見える。ハイイカー達はあの山らしい。センボンヤリの花、トチノキを見る。

 10:50"峰宮"着、展望はよくないが、この先"上庭"という気分の良い庭園状の所に出ると、鹿留ししどめ山が見えた。フキ、チョウジザクラの花、"抱付岩(ベベ岩)"と言う所は脇を迂回する。11:40到達した御正体山々頂は1681.6m道志山塊最高峰だ。大群山と同じ感じの広平頂で北より西南へくの字になる。ブナの樹々、下草はバイケイソウの群落。

 ここで昔、富士を見ながらミイラ(即身成仏)となった37才の僧がおり、山名の起こりという。(石保土山での自然歩道の案内による)中年の単独者の昼寝の邪魔をしたようだ。山伏峠に車を置き登ったという。話している内、同じ町田のそれも木曽町内と判りお互い驚く。ウドを採って帰るというこの人と別れて出発。
 ↓トウゴクミツバツツジ
トウゴクミツバツツジ  トウゴクミツバツツジが多くなる。オニク(ヤマウツボ)が1本白花をつけ生えていた。この辺も伐採凄く富士と石割、杓子、鹿留方向が見える。

 景色が良いのは有難いが引き換えに原生林の破壊は傷ましい。奥岳を過ぎると今度は反対側が伐採、甲相国境尾根が一望され、地図の勉強にはなったが吹き曝しとて風が凄い。

 山伏峠へ下り、バテながらの登り返しではヒガラらしいのが直ぐ先を飛び歩き、馴れ馴れしい。やっと傍の小木に移ったが50cmと離れていない。登り着いた大棚の頭からは山中湖が見えた。風のそよぎと小鳥の囀りだけする中でしばし昼寝をする。

これより国境尾根、東海自然歩道を歩く様になる。連休でもあり沢山の登山者に会った。石保土山からの御正体山はこの山行一番の眺めだった。ここで夕食にする、¥300のα米の携行食をクッカーで炊くのだが、約10分で出来る割には美味い。

 4:30不遇な寂峰とかいう菰釣山に着く。自然歩道が通ったせいかそんな感じはあまりしない。散乱するゴミを10分掛け片付けセイセイする。夕方の寂寥に包まれだした山頂を後に、今夜予定の宿"菰釣避難小屋"に向かう。若者が3人登って来る、小屋泊の人達だった。

 100m下の小屋は既に一杯で定員2人オーバーの12人。私が入ると2人の若者が自分達はテーブルの上でよいと空けてくれた。ダニが出る、いやネズミだと騒いでいたがそんな様子もなく7:00には皆寝に就く。シュラフのゴソゴソが煩くろくに寝られなかったが、ブッポーソー(コノハズク)が聞けたのが嬉しかった。

御正体山

第2日 5/6 日曜日 快晴
 寝られなかった人も大分いた感じで、明るくならぬ内からモゾモゾしだす。私も4:30には荷物を持ち朝陽の射して来た小屋前のテーブルで整理する。前日一人の若者に教わっておいた水場に下りる。往復で30分だ。ゴロ石を踏んで下りて行くと、まだ薄暗い沢は靄って幽明の彼方にあり、気味の悪い世界だった。しかし非日常の時間帯なのだと思うと又感動的だった。

 カンパンとジュースで済ませ、5:10出発。涼しく足が捗る。色々の鳥の声がする中、ずっと笹薮を行く。5m先の木で動くものあり、リスだ、始めて見る。箱根、道志、富士等左右に時折眺められた。東海自然歩道とも城ヶ尾峠で別れ大界木山に向かう。ここは富士と愛鷹が良い。

 ボツボツ畦ヶ丸小屋発らしい登山者と擦れ違い始める。木に纏わり付くイワガラミは若葉展開中。廃道化した乗越の犬峠は風が吹き抜けていた。モロクボ沢の頭で国境尾根とも別れ、畦ヶ丸へ向かう。ヤマグルマが実の抜け殻を付けたままだ。直ぐで畦ヶ丸の狭いパッとしない山頂。

 西沢新道で下山する。割と厳しい道で危険な所もあるが、景色は良い。河原に下り着くと川遊びの家族連れが多い。西丹沢自然教室で家へ無事の電話をする。10:30箒沢集落の西丹沢バス停着。ここには天然記念物の箒杉が聳えている。根囲り18m高さ60m樹齢2000年と言う。

 山岳部のパーテイが大勢で、乗れそうもないので2つ先の中川温泉の始発迄歩く。途中のバス停で待っていた蛭ヶ岳一泊の青年に誘うと従いてくる。胸を張って疲れを見せずにサッサと歩くのが良い。山旅の最後はこうでなくっちゃと思った。朗らかな気の良い青年で、絶えず話し掛けて来る。お蔭で4kmの車道歩きも山の話で退屈しなかった。

 バスから出来たての丹沢湖を初めて見る。このダム湖の底になったであろう尾崎集落が、今は新開地で土産や食堂の店を営んでいる。この山行、一泊としては初めて春、そして夕方や早朝の山の良さを存分味わえた。

<コースタイム>第1日:起床4:00→出発5:00→都留市8:00→細野8:30→御正体山11:40→山伏峠2:00→菰釣山5:30→小屋6:00  第2日:起床4:30→出発5:10→城ヶ尾峠6:50→畦ヶ丸8:30→西丹沢10:30→中川温泉11:30→帰着2:30
<歩いた距離>第1日:山道17km 第2日:山道13km 車道6km 計19km
<掛かった費用>¥1940
<使用地図>昭文社4万 丹沢  地理院2.5万 都留/御正体山/中川
<地名の異称>御正体山→マコゼンノ丸 大界木山→高指たかざす
(注)ブナ沢乗越のっこしは盗材乗越とも言われ、昔この辺の盗伐者が利用したらしい。
   菰釣山1370mの三角点は変則で南に下がった地点1348.2mにある。

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