青山白雲  79.01.01〜02 奥御坂縦走
                     (王岳→鬼ヶ岳→十二ヶ岳→毛無山)
単独  本当は奥御坂→御坂主脈と縦走の予定だったが、雪が多く時間を取られ体力も消耗、奥御坂の縦走のみとした。
<コース>第1日:河口湖駅→精進しょうじ→女坂峠→王岳→鍵掛峠→根場ねんば(泊)
       第2日:根場→鍵掛峠→鬼ヶ岳→十二ヶ岳→毛無山→長浜→河口湖駅

第1日 1/1 月曜日 快晴
 本栖湖へ向かうバスからは、青木ヶ原樹海辺りで左手に富士が雪の山襞までくっきりで、山頂のレーダードーム迄見える。行く手に南アが白く眩しく見えて来ると、乗客の声が一斉に上る。シーズンオフとて"富岳風穴"は人影が無い。10:20精進湖畔に1人降り立った。集落の真ん中の道を進むと、左の神社に"精進の大杉"が在る。3本中1本が特に大きい。
 ↓五湖山より 樹海内の右は大室山
五湖山より  山道となりやがて尾根をジグザグに登る、そして緩やかな直進になると明るい女坂峠に出た。直進は古関集落、右へ向かう。雪が15cm位あり、スパッツを着ける。

 五湖山12:00到着、サンドウイッチの昼食。眼下には精進湖が小さい。360°南アの真ん中を女坂峠の先に在る三方分山が分けている。そして左天子山塊、富士、樹海、右八ヶ岳、奥秩父。  

 雪に足を取られての苦しい登降、雪上には金色の鹿の、又実の詰まった猪の糞が見られ、鳥や獣達の足跡が乱れ着く。犬を連れたハンターの足跡が続き心強い。王岳直下で笹藪が雪で倒れて道を見失う。深い積雪に難儀していると、若いハンターがポインターを連れて下りて来た。「お一人ですか」「えゝ」「やりますねー」「道が判らなくて、それに体調が悪くて弱りました」今朝から風邪と下痢気味だ。「王岳は未だですか」「直ぐそこですよ」と2人して頂上へ。

 南の尾根を登って来たが頂上付近は矢張り道無き道との事。「熊の足跡がありましてね」「熊が出るんですかね」鈴が必要だ。寒くなったとハンターは下山。ここは五湖山をもう少し雄大にした景色だがもう3時だ、雪道はゆっくり出来ない。幾つもの瘤をフラフラしながら越え、4:20鍵掛峠へ、ブナやアセビの多い落ち着いた良い峠だ。ジグザグに走り降りる。林道辺からは富士と樹海の間に大室山が大きい。根場5:50、トップリと暮れた中を樹海荘というまだ新しい釣宿に着いた。

 風呂で汗を流したら山の強行軍と相待ち風邪と下痢は吹っ飛んだ。食事は馬肉の刺身、松茸の吸い物そしてワカサギのフライ、これがとてもうまかった。獲れたてとかで1皿追加してくれた。明日は主脈縦走、笹子迄の予定だが雪深くどうしようかと迷う。十二ヶ岳は距離は短かいが危ない所があるらしいがと女将さんに聞くと、でも皆さん行かれますよとの事。直登コースもあるが鍵掛から登った方が良いと言う。

 朝食にお稲荷さんと海苔巻を包んで貰い、ポットに湯を入れ、宿賃を前払いして寝る。ドアは開けときますとの事。山と湖に挟まれシンシンと冷えるが、羽根布団は寒さ知らず。耳鳴りが気になる位の静けさだ。

奥御坂

第2日 1/2 火曜日 快晴
 濡手拭いで顔を拭いただけで、お稲荷さんを2っ食べそっと出る。闇に富士が黒く見える湖畔を懐電で歩く。濡れた靴が締って痛い。昨日下りた沢沿いの道、同じ様にもう一本ありそれに入って仕舞い1:00のロスとなりはなから躓く。空も明けて来て、峠への道をゆっくり登って行くと、朝日が射して山は赤く小鳥も鳴き出し爽やかな気分だ。
 ↓鍵掛峠より樹海と天子山塊
天子山塊  再度登り着いた鍵掛峠での、木々を通しての樹海方面の景色は、このコースで一番趣きがある。雪は20cm、スパッツを着け鬼ヶ岳へ、激しい小登降が続く。ブナ、モミそして苔蒸した岩、今日もこちらへ向かうハンターと犬の足跡が良い目印だ。

 9:50鬼ヶ岳到着。1738mと御坂山塊では最高峰の黒岳(1792.7m)に次ぐ山で360°だ。延々と続く尾根の先にその黒岳が根張りのある堂々とした山容で品格を保っている。左手には西方が切立った黒駒釈迦ヶ岳が独特で目立つ。鬼ヶ岳の由来は山頂の2っの角岩かららしい。ウラジロモミ、トウヒ等を見掛ける。

 ↓鬼ヶ岳より十二ヶ岳と三っ峠
鬼ヶ岳より  三叉路となる金山手前で、南にガレ落ちる凄じい十二ヶ岳と、切り立って細かく上下する山稜が望まれ、大丈夫か?と不安になる。

 平凡な金山を過ぎ、いよいよ梯子、鎖が出る。何も無く掴るのは木の根頼りの箇所もある。キレットに掛かると両サイドは見るも怖い急峻さだ。ここで軽装の3人組に会う。

 やっと難場を抜け展望の良い草地となる。私位の年の2人連れが出発する所だった。1人は大きな鋸をリュックからはみ出して背負っている。「どちらから?」「鍵掛からです」「3人組に会ったでしょう」もう1人が「今年の十二ヶ岳は〆て6名という訳ですな」と笑う。この先長いので毛無山から南へ下山する様に奨められた。昼食。西湖は漣が綺麗に立ち、釣舟が沢山浮かんでいる。その向こう岸に足和田山が富士の前景として拡がっている。

 ↓十二ヶ岳より鬼ヶ岳
十二ヶ岳より  急登降は続き、風もゴーツと凄まじく大木の軋む音も気味悪い。しかし辿り着いた毛無山は草の山で、山旅最後に突然東方を存分に見せてくれた。左は河口湖へと落ちる三ッ峠の長大な府戸尾々根。右富士の裾野が山中湖へ広がる辺りに別荘地が画然と見える。

 そして正面には御正体、鹿留ししどめ、杓子の3山が少しずつずれて並ぶ。特に御正体山と鹿留山は御正体が"マコゼンの丸"と云われる様にズングリしている他は尾根の別れ具合迄似ている。右奥の三国山稜はなだらかな丘だ。杓子→三国!去年の今頃は悪天と体調不良に悩まされた山行だった。

 下山、ふかふかの落ち葉は滑る。鳥居峠手前左折、この辺下木したきは殆ど葉軸に翼を持った特徴のあるニシキギが占めていた。長浜集落よりバスに乗る。

<歩いた距離>第1日:山道10km 車道2km 計12km
           第2日:山道10km 車道3km 計13km
<行動時間>第1日:出発5:56→精進10:20→女坂峠11:05→五湖山12:00〜12:40→王岳3:10→鍵掛峠4:20→樹海荘5:50
          第2日:出発5:00→鍵掛峠8:00→鬼ヶ岳9:50〜10:20→十二ヶ岳12:00→毛無山1:40〜2:00→長浜3:00→帰着7:10
<掛かった費用>¥8760(内宿賃5000)
<使用地図>昭文社6万 富士5湖   
         地理院2.5万 市川大門/河口湖西部/精進/鳴沢

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