わらべはみたり 4
子猫丸の席の前まで移動し、勝呂は話しかけた。
「おい、子猫丸」
ふっと視線をはずし眉間のしわを濃くした子猫丸に、緊急事態とばかりに勝呂はたたみかけた。
「休戦や。志摩のこと見てみい」
言われて志摩に視線を向け、子猫丸は眼を丸くした。
「また、いつものアレですか・・・」
「せや。いつものアレや」
「で、相手は?」
「分からん。昼休みに逢うたとか言うてたけど」
「今日初めて逢うた人やと見当がつきませんねえ」
「ああ、難儀やな」
志摩は思いついたように何か紙を探し出すと食い入るように見つめ、何かにショックを受けたようで机の上に紙を投げ出しその上に突っ伏した。
「何の紙やろ?」
「ちと、見てくるわ」
勝呂は探りを入れてから、子猫丸の所に戻ってきた。
「祓魔塾の時間割やった」
「塾関係の人ですやろか」
祓魔塾のクラスメイトかと候補を挙げてみる。
「でも時間割見て凹むて・・・?」
子猫丸も時間割を取り出し、2人で覗き込みうーんと考え込む。
「多分、今日の時間割ですよね」
「そうやな」
「時間割に関係するとすれば、教師かでなければ他の学年とか」
教科ごとに担当する教師を思い浮かべてみる。
「・・・そういえば、今日は悪魔薬学がありませんね」
子猫丸のつぶやきを聞いて勝呂は眉間にシワを寄せた。
「はは、いやそれはまさか、やろ」
「まさか、ですけど」
さっきまでのケンカなぞどこ吹く風の2人の視線の先で、志摩はまたにやけた顔でぼーっと空間を見つめていた。
(END 2011.06.09)
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