ラジオ・シャック

“Radio Engineering”は1932年に米国スタンフォード大学のターマン教授によって著されたラジオ工学のバイブルとも言えるものです。その改訂第3版(1947年版)を戦後日本のラジオ技術者たちが待ちわびたように翻訳し,刊行したものがここに取り上げた「ラジオ工學」(全4巻,1205ページ)です。当時の訳者の言葉を借りれば「乾天の慈雨」に匹敵するほどのものです。
その全文をご紹介することはできませんが,せめてその目次だけでも下記に示します。当時の最先端の電子工学を網羅したラジオ技術専門書の概要をご紹介すると共に,本書を購読した戦後日本のエンジニア諸先輩の意気込みに思いを馳せるものであります。

ラジオ工學 改訂第3版(1947年版)
RADIO ENGINEERING (Third Edition)
BY FREDERICK EMMONS TERMAN Sc. D.
第1巻 目次
第1章 無線通信方式の諸要素
1-1.電波 1
1-2.電気エネルギーの輻射 4
1-3.無線周波電力の発生及び制御 4
1-4.電波の性質 6
1-5.変調波の性質 8
1-6.デシベル 10
第2章 回路素子
2-1.インダクタンス 12
2-2.相互インダクタンス及び結合係数 19
2-3.無線周波における線輪及び導体の表皮作用 22
2-4.蓄電器及び誘電体 27
2-5.ラジオ用蓄電器 31
2-6.共振回路用線輪 35
2-7.磁気及び静電遮蔽 42
第3章 集中定数回路の特性
3-1.直列共振 45
3-2.並列共振 53
3-3.誘導結合回路の理論 61
3-4.代表的結同回路の解析 66
3-5.一般的結合回路 77
3-6.帯域濾波器 79
3-7.テブナンの定理 82
3-8.インピーダンス整合 84
第4章 分布定数回路
4-1.伝送線における基礎関係 86
4-2.入射波及び反射波で表わした伝送線特性 90
4-3.伝送線路定数 100
4-4.伝送線路におけるインピーダンスと力率との関係 103
4-5.無損失伝送線路の特性 106
4-6.伝送線路図表 107
4-7.共振回路及び回路素子としての伝送線 112
4-8.疑似線路 115
4-9.インピーダンス整合用及び変成器としての伝送線の利用 120
4-10.伝送線路のその他の概観 125
4-11.導波管 ― 一般的考察 133
4-12.矩形導波管 135
4-13.円形導波管 148
4-14.定在波,反射,及び導波管内のインピーダンスの考察 152
4-15.導波管に関する諸考察並びに諸性質 158
4-16.空洞共振器 164
第5章 電子管の基礎的性質
5-1.電子管 171
5-2.電子,イオン及びその運動 172
5-3.熱電子放射 175
5-4.2次電子放射 181
5-5.二極管 ― 空間電荷効果 182
5-6.三極管 ― 制御グリッドの動作 185
5-7.三極管の定数 192
5-8.五極管 196
5-9.スクリーン・グリッド真空管(四極管) 203
5-10.ビーム管 206
5-11.五極管,スクリーン・グリッド管,ビーム管の定数 212
5-12.特性曲線の数学的表示 215
5-13.普通の高真空管についての雑論 218
5-14.二極管,三極管及び五極管における高周波及び電子走行時間の影響 221
5-15.電子光学 ― 静電レンズ 233
5-16.磁界レンズ 244
5-17.陰極線管 247
5-18.ガス入り管 256
5-19.マイクロ波用真空管 ― クライストロン,磁電管及び進行波管 261
問 題 集263
第2巻 目次
第6章 非同調負荷インピーダンスを有する真空管増幅器
6-1.真空管増幅器 285
6-2.真空管増幅器の等価回路 290
6-3.抵抗結合増幅器 293
6-4.変圧器結合増幅器 309
6-5.映像周波数(広帯域)電圧増幅器 317
6-6.増幅器の振幅歪 ― 図解解析法 338
6-7.増幅器の振幅歪及び混変調の数学的解析 347
6-8.大出力電圧を目的とする抵抗結合増幅器及び映像増幅器 356
6-9.A級電力増幅器 359
6-10.A級増幅器用出力変圧器 363
6-11.プッシュプルA級増幅器 372
6-12.B級及びAB級可聴周波増幅器 378
6-13.カソード・フォロアー増幅器 382
6-14.帰還増幅器 386
6-15.非同調増幅器に関する種々の問題 405
第7章 同調増幅器
7-1.同調電圧増幅器 ― 狭帯域の場合 417
7-2.同調増幅器 ― 広帯域の場合 439
7-3.真空管増幅器の入力アドミタンス 446
7-4.C級同調増幅器 461
7-5.高調波発生器 482
7-6.直線増幅器 487
7-7.超高周波におけるC級並びに類似の動作 494
7-8.進行波管 500
第8章 真空管発振器
8-1.普通に用いられる真空管発振器の回路 503
8-2.発生振動の周波数と周波数安定度 510
8-3.水晶発振器 514
8-4.超高周波用発振器 530
8-5.実験室用発振器 534
8-6.寄生振動 539
8-7.反射型クライストロン 543
8-8.電力クライストロン発振器と周波数逓倍器 555
8-9.磁電管発振器 559
問 題 集575
第3巻 目次
第9章 変調
9-1.振幅変調 607
9-2.プレート変調C級増幅器 610
9-3.振幅変調の諸方式 616
9-4.搬送波除去方式,並びに単側波帯の発生 623
9-5.周波数変調波 628
9-6.回転ベクトルによる振幅数変調波,周波数変調波及び位相変調波の表示 637
9-7.周波数変調波及び位相変調波の発生 639
9-8.周波数変調波に対する回路網のレスポンス(response) 647
第10章 真空管検波器及び混合器
10-1.振幅変調波の検波 651
10-2.振幅変調波用二極管検波器 651
10-3.振幅変調波検波の諸方式 663
10-4.鉱石検波器 668
10-5.真空管電圧計 671
10-6.周波数変調及び位相変調信号の検波 676
10-7.周波数転移 ― ヘテロダイン検波 678
10-8.スーパーヘテロダイン受信機用周波数混合器及び周波数変換管 681
10-9.鉱石及び二極管混合器 690
10-10. 697
第11章 真空管用電源
11-1.カソード加熱電力 703
11-2.制御グリッド・バイアス電圧 706
11-3.アノード電圧 707
11-4.アノード電源用整流器 708
11-5.整流器回路 713
11-6.直列インダクタンス入力型濾波器を持った整流器の動作 718
11-7.並列蓄電器入力型濾波器を持って整流器の動作 726
11-8.濾波器 731
11-9.整流器 ― 濾波器の計算例 737
11-10.バイブレーター式電源方式 738
11-11.電圧調整型電源方式 740
第12章 真空管及び回路の雑論
12-1.熱擾乱雑音 743
12-2.真空管雑音 745
12-3.弛張発振器 753
12-4.周波数分割 764
12-5.トリガー回路 766
12-6.特殊波形の発生 768
12-7.遅延時間の発生 779
12-8.計数回路 780
第13章 電波伝播
13-1.電波伝播に関係のある事項の概略 783
13-2.地表波 784
13-3.空間波伝播 ― 特に超短波に対する関連 791
13-4.電波の反射 799
13-5.電離層 802
13-6.電波伝播に影響を及ぼす電離層の物理的作用 805
13-7.上空波伝播理論 810
13-8.電離層特性の測定 819
13-9.各周波数帯の電波の伝播特性 ― 特に無線通信の実際問題との関係 822
13-10.太陽活動性及び気象状態と電波伝播との関係 842
13-11.雑音及び空電 845
13-12.Rayleigh-Carson の可逆原理 849
第14章 空中線
14-1.導体に流れる電流による輻射 ― 基礎的考察 851
14-2.大地から遠く離れた導線輻射器で構成された空中線系指向特性の基礎的考察 853
14-3.大地の影響 ― 接地空中線 870
14-4.排列の組合せ;排列係数 (Array Factor) 876
14-5.空中線インピーダンス,相互インピーダンス及び位相調整 879
14-6.空中線における電力関係,輻射抵抗,指向性及び利得 887
14-7.特殊指向性空中線の数例 894
14-8.開口面輻射器 903
14-9.送信空中線の広帯域特性に関する考察 914
14-10.送信空中線の実際 919
14-11.受信空中線の基礎理論および送受信特性間の可逆関係 928
14-12.受信空中線の実際 933
問 題 集937
第4巻 目次
第15章 無線送信機,受信機,及び通信方式
15-1.送信機 ― 一般的考察 971
15-2.無線電信或いは類似目的用振幅変調送信機 973
15-3.無線電話或いは類似目的用周波数変調送信機 978
15-4.電話送信機 985
15-5.受信機 ― 一般的考察 989
15-6.放送受信機 992
15-7.放送受信機に関する種々の付属性能 997
15-8.放送用以外の受信機及び受信機技術 1004
15-9.受信機雑音 1012
15-10.周波数変調方式における雑音及び混信の抑圧 1019
15-11.パルス通信方式 1022
15-12.無線中継方式 1026
第16章 無線航法及びレーダー
16-1.レーダー 1029
16-2.レーダー送信部 1035
16-3.レーダー空中線 1039
16-4.レーダー受信部 1047
16-5.レーダー・ビーコン 1054
16-6.パルス航法方式(ローラン及びジー) 1056
16-7.無線標識 1058
16-8.電波高度計 1062
16-9.飛行機着陸方式 1068
16-10.無線方向探知器 1072
第17章 テレビジョン
17-1.テレビジョン系の要素 1079
17-2.テレビジョン用撮像管 1079
17-3.走査,同期及び帰線消去 1092
17-4.周波数帯域及び解像力 1101
17-5.テレビジョン送信機 1102
17-6.テレビジョン受像機 1107
17-7.天然色テレビジョン 1115
第18章 音響及び音響機器
18-1.可聴音の特性 1119
18-2.耳の特性 1124
18-3.室内音響の要素 1128
18-4.音の再生における歪の影響 1131
18-5.紙製コーンを使用したダイナミック高声器 1135
18-6.ホーン 1143
18-7.高声器雑論 1148
18-8.受話器 1150
18-9.マイクロホン 1152
問 題 集1163
索 引1183
 
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