ラジオ・シャック

学研の大人の科学−真空管ラジオ Ver.2(キット)

学研から2006年10月発売の真空管ラジオ Ver.2 を組み立ててみました。
今回もちょっとした波乱がありました。

     今回も組み立ては説明書どおりに行いました。前回同様,ループアンテナの枠は接合部をアラルダイトで接着して組み立てました。前の経験があるので,配線も短時間で順調に行きました。さっそく真空管と電池を実装してスイッチを入れてみました。Ver.1より感度が良くなったようで,スピーカからの音も若干大きくなりました。とは言っても,ここは『極微電界』の地で,相変わらず蚊の鳴くような大きさです。
今回はマイクユニットもついているので,説明書に従ってアンプの実験もしてみました。音質は良くないですが,確かに自分の声が聞こえます。

ラジオの状態にしてしばらく聞いていましたが,連続した「ピーー」という音が聞こえていることに気がつきました。だんだん音が大きくなり,かなりの大きさになって飽和しました。この音は再生の発振音ではなく,バリコンやボリウムの調整とは関係なく連続して聞こえます。スイッチを入れ直すと良くなったりします。試しに真空管を指ではたいてみると,特に検波管をはたくとその音がちょうど仏壇のお鈴をたたいたときのように聞こえてきます。
これはマイクロフォニック雑音なのでしょうか,前回のラジオではなかったことで,今回は低周波回路の増幅度が大きくなったため生じやすくなったのではないかと思います。
翌日も正常に動作していましたが,夜になってスイッチを入れたところまったく音声が出なくなってしまいました。この障害を調査する過程で次のことがわかりました。
  1. ラジオとしての動作,及び説明書どおりに1K2の位置にマイクユニット挿しての音声増幅実験で,両方ともスピーカからまったく音が出ません。
  2. マイクユニットを説明書にある1K2ではなく1A2に挿して動作させるとスピーカから音声が聞こえます。(このことから2P3の回路は正常に動作していると思います。)
  3. 1K2の代わりにマイクユニットを挿し, 1A2を抜いて,その1A2のソケットの4ピンと2ピンの間を0.1μFのコンデンサでつなぐとスピーカから音声が聞こえます。そのままの状態でマイクユニットを1K2に戻すと,同様に検波された音声が小さく聞こえます。(1A2真空管を除いた回路全体は動作しているようです。)
  4. 1A2真空管はフィラメントは切れて折らず(テスタで導通を確認),ソケットに挿すとフィラメント用電池の電圧が下がることから,フィラメントは正常と思われます。
  5. 動作状態における各部の電圧は次のとおりで正常と思われます。(1.5V電池の負極を基点として)
    • 1K2  P(2pin) = 26.4V  G2(3pin) = 24.3V  G1(6pin) = -0.6V  F+(1pin) = 1.4V
    • 1A2  P(2pin) = 42.9V  G2(3pin) = 42.9V  G1(4pin) = -1.5V  F+(1pin) = 1.4V
    • 2P3  P(2pin) = 42.8V  G2(3pin) = 43.3V  G1(4pin) = -2.5V  F+(7pin) = 1.4V
上記のことから推定されるのは1A2真空管が不良ではないかと思い,学研に連絡してみました
翌々日,学研から 1A2 の代替品が届きましたので,交換したところ無事に直り,元通り再生検波が働いてホッとしました。以下にその障害品をお目にかけます。
     手前が不良の真空管(1A2)です。
     交換した後で気が付いたのですが,不良の真空管のゲッタがドーナッツ状になり,色も黒っぽく変色しています。
     また,この真空管の底をみるとどうやら3番ピンの付近にクラックがあるようです。よく見ないとわからないくらいのクラックです。普通,空気が入るとゲッタは白く変色するものですが,今回のものは交換するまでわかりませんでした。
クラックが微小な場合はこのようになるのでしょうか。
 
 
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