ラジオ・シャック

アナログマルチテスター CX-505 高抵抗測定レンジの復活

015(22.5V)用電池ケースに収まる24Vバッテリユニットの製作

(画像をクリックすると拡大して見ることができます。)



SANWA のアナログマルチテスター CX-505
長い間使っている今も現役のテスターです。
ただし,高抵抗を測定する「×10k」レンジは 22.5V電池(015)が必要ですが,だいぶ前に消耗し,ずっと測定できない状態になっていました。

015はとうの昔に製造終息となり,Webサイトを検索しても乾電池コレクションとして紹介されているページは見かけますが,販売しているところはないようです。ネットの掲示板などでも22.5V電池の代替となるアイディアが話題になっていますが,私もこれに倣って,普通に入手できる部品を使ってバッテリユニットを製作し,「×10k」レンジの復活を試みてみました。ただし,電圧は使用する乾電池の関係で24Vとなりましたが,実用上は問題ないようです。

以下では,テスター内の015用電池ケースに収まる24Vバッテリユニットの一案として,その作り方を紹介しています。


使用する部品
乾電池は写真の右上に写っている「LRV08(12V)」を2個直列で使います。従って電圧は24Vになります。これを収めるバッテリユニットに使用する部品は,写真の下側に並んでいる2つのターミナルブラケット,単5用電池ボックスが2個と線材です。ターミナルブラケットはヒューズソケットを加工して自作しました。今回その犠牲となったのは写真左上に移っているもので,透明のカバーは使いません。これが2個必要です。単5用電池ボックスの寸法は幅13.5mm,高さ12mm,長さ35mm(端子の突起部を含まず)です。線材はAWG#24で長さは80mmです。


製作手順 - 1
ターミナルブラケットを自作します。ヒュ−ズソケットは台の部分を用いて,そこからヒューズの受け金具を取り去り,端子が通っていた下側に出ている円柱を根元から切り落として,厚さ約4mm の板状にします。
中央の取り付け穴をセンター振り分けにして,全長27mm以内になるよう両端を切り落とします。この27mm はCX−505の電池収納スペース(高さ)から来る制限です。なお,このあとでタマゴラグを取り付けますが,タマゴラグの先端が来るほうをU字形(コの字形)に凹ませて整形しておきます。
中央の穴にM3のサラコネジを「タマゴラグ」と共にヒューズを受けていたほうの面から通しますが,サラコネジの頭がブラケットに沈んで,はみ出さないようにネジ穴をサラっておきます。ネジを通した反対側で平ザガネとナットで受けます。このとき,タマゴラグがサラ頭に押されて変形しますが,構わずしっかりと締め付けます。
ナットから突き出たネジ部分はナットの表面近くで切り落とし,ヤスリで平らに仕上げておきます。これが完成したバッテリユニットの電極になります。
ネジ,ナット類は通電するのと,加工性の面から真鍮製がよいと思います。

これでターミナルブラケットが完成しました。


製作手順 - 2
完成したターミナルブラケット(2個)のラグ端子に予備半田して半田を少量盛っておきます。


製作手順 - 3
単5用電池ボックス(2個)はそれぞれの配線接続用ラグ端子を予備半田しますが,非常に熱に弱いのでハンダ付けの際には放熱用クリップを用いるなどの注意が必要です。さらに電池ボックスの1つは+端子,他方は−端子を折り返しておきます。


製作手順 - 4
先ほど製作したターミナルブラケットのタマゴラグと単5用電池ボックスの折り返したラグ端子を重ね合わせるように保持し,タマゴラグの上からハンダゴテを当ててすばやくハンダ付けします。このとき,ターミナルブラケットの端から電池ボックスの上端がはみ出ないように注意します。


製作手順 - 5
上記の作業を繰り返して,2個の電池ブロックを完成させます。


製作手順 - 6
完成した電池ブロックのターミナルブラケットとは反対側のラグ端子に全長80mmほどの電線をすばやくハンダ付けし,その端子表面を粘着テープなどで絶縁します。


製作手順 - 7
前項と同様にして,線材の反対側も残りの電池ブロックに接続すれば,電池ケースの組立配線作業は完了です。


製作手順 - 8
完成したバッテリケースに乾電池(単5サイズ12V)を極性に注意して挿入します。念のため,それぞれのターミナルブラケットのネジナット部にテスターを当てて24Vであることを確認してください。


製作手順 - 9
前項のままでは形状が安定しないので,写真のように2つの電池ブロックを100mmのタイラップで束縛しますが,このとき,ターミナルブロックのネジ頭と電池ボックスの配線されているラグ端子との間がショートしていないことを確認してください。正常であれば,バッテリユニットの端子間が24Vになっているはずです。


バッテリユニットの実装
完成した24VバッテリユニットをCX−505に実装します。
バッテリユニットを実装するときは,バッテリユニットの電池の極性表示(+)とテスター側の電池ケースの極性表示(+)を合わせます。(バッテリユニットに上下の方向性はありません。)


「×1k」レンジでの測定(240kΩ)
抵抗器の測定をしてみました。試料は240kΩ(1/2W形,±5%)です。まずは,通常使用している「×1k」レンジで測定してみます。
メータの指示値は 200 と 300 の間でほぼ 240 と読めます。


「×10k」レンジでの測定(240kΩ)
上記の抵抗器を復活した「×10k」レンジで測定した様子です。メータの指示値は 20 と 30 の間で24と読めます。測定回路の印加電圧はテスターの本来の定格(22.5V)より高いのですが,この結果からは実用上ほとんど差がありません。
ただし,レンジを切換えた直後の0Ω調整の際はメータが勢いよく右に振り切れるので,ちょっと気になります。


「×10k」レンジでの測定(5.1MΩ)
「×10k」レンジで別の抵抗器,5.1MΩ(1/2W形,±5%)を測定してみました。指示値からは約5.4MΩに見えます。
なお,この抵抗器を下の「×1k」レンジで測定してみたところ,5MΩより大きいようには見えますが,その次の目盛は「∞」(無限大)であるため,6MΩなのか,7MΩなのか,はたまた10MΩなのか判然としませんでした。
 
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