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前世の夢にとりつかれた女性の、哀しい恋のお話。 自分の恋を実らせる為、彼女は整形します。 時空を超えた彼女の恋は実るのでしょうか? |
February 02, 2005 「狂った恋」について 「棚P」一作目である「狂った恋」について書いてみようと思う この作品はサイコホラーとして執筆した つまり「精神的な恐怖」がテーマになっている 同時にこの作品は、読者に対して「恋愛」への認識を問う作品でもある 相思相愛の恋人が居たとして、「あなたなしでは生きていけない」と、お互いに言っていたら純愛物語になる 端的に言えば、心中物とか、「ロミオとジュリエット」みたいな作品になる しかし、一人の恋愛感情が冷めてしまい、「よく考えたらあなたなしでも生きていける」と言い始めたらどうなるか? もう一人は「あなたなしでは生きてはいけない」ままなのだ かくて一人はストーカーとなり、もう一人はその被害者となる しかし、過去に二人が愛し合う中で永遠を誓ったのなら、ストーカーこそ被害者とも言えよう ストーカーを異常者するなら、そのような異常に至らしめた背信行為、いわば精神的な殺傷があったはずなのだ 主人公の彼女はおよそそのようなメッセージを伝えているのだが 後半の男性は、真に異常と言うか、独善的な存在として登場する 彼は彼女に対して一方的に想いを寄せており、恋人同士であった過去は一切無い なので、 前半の女性と後半の男性は、「ストーキング」行為は同一であっても、その背景というか、心理的な出発点が違う しかし、妄想の中で自分の精神的な安定を求めている点は一致している ともあれ、この作品は恋愛に対する認識、そこから発生する温度差を扱っている 例えば、「夫の不倫を知った妻が夫を殺害、その後に本人も自殺」する事件があったとしよう その話しを聞いて、君はどう思うであろうか? 不倫は良くないが、理性的に許容すべきだ 不倫は良くないが、殺す必要は無い 殺す気持ちはわからないでもないが、自分まで死ぬ必要は無い その他様々な解釈が出来るだろう 翻って、「君は自分の命を捧げても良いと思えるような恋愛をした事があるか?」と、問うてみる そんな恋愛は小説と映画の中にしかない そんな恋愛はあるかもしれないが、自分には縁が無い 恋愛とは命を賭けるような行為ではなく、もっと気楽なものだ 恋愛とは幻想であり、単に性欲を理性的に正当化する手段に過ぎない その他色々な解釈が出来るだろう 愛が破綻するとき、破綻そのものも悲しいのであるが、愛に対する認識の違いが最も悲しかったりする そして今日も、恋人達は信じあい、愛し合い、裏切りあい、傷つけあっているのだ 01:11 AM in 棚橋プロジェクト |