アルアイン
 アルアインは、アブダビ首長国第2の町です。アブダビ市が海の近くにあるのに対して、アルアインは車で2時間ほど内陸に入ったところにあります。そのため、景色や雰囲気はアブダビ市とは全く違ってとても楽しめます。アルアインの中心は、アルアインオアシスで、そこから町が広がっていったようです。そして、ここは山岳地帯の入り口であり、隣国オマーンとの国境にもなっています。何せ、町の続きにオマーン領が平然とあるくらいなのですから。また、ここアルアインは、前アブダビ首長であり、初代UAE大統領でもあるシェイクザイードの生まれたところです。そのためか、町全体が大変きれいに整備されています。とても興味深い町です。
 アブダビ在住の方は、ドバイに遊びに行く方が多いのですが、子ども連れの我が家では、どちらかというとアルアインの方が好みかな?そもそも、アルアインは、石油時代以前、アブダビで漁業や真珠採りで生計を立てていた人達の家族が、夏の間暑さと湿気を避けて暮らす避暑地だったとか。らくだを使ってキャラバンを組み、7日間かけて行き来したのだそうです。
 右手の建物がアルアイン博物館です。そんなに大きな建物ではありませんが、アラブの昔を知るにはなかなか面白い博物館です。  博物館の敷地内にあるこの砦は、前大統領シェイクザイードの生まれたところだそうです。この周りは広大なアルアインオアシスです。
 アルアイン動物園です。とにかく広大で、檻も大きいので、遠くの方になんか動物がいるような・・・というところも少なくありません。一時、あまり世話をしないので動物虐待では、と非難されたこともありましたが、今はどうでしょう。  写真は分かりにくいですが、ヒリファンシティという、これまた広大な遊園地です。観覧車の上から撮った写真です。
 遊園地内は、ご覧のようなのんびりとしたアトラクションがたくさんありました。面白いのは観覧車で、さほど大きくない観覧車に順番に乗っていって、いっぱいになるとおもむろにぐるんぐるんと何回も回転するんです。一度などは、見ていたら回っているうちにお祈りの時間になってしまって、係員がお祈りを始めてしまったので、それが終わるまで5分以上回り続けていました。(乗っていなくてよかった。)
 アルアインの一番の見所は、このハフィート山です。この、木もない岩山の頂上まで、舗装道路が走っています。  頂上近くには、こんな立派なパレスができています。これは、御結婚間もなくの皇太子ご夫妻がこの地を訪れたとき、急きょ作られたのだそうです。
 これが、頂上やあちこちにある展望台からの景色です。アブダビ市の方角もオマーン領の方角も、見渡す限りの砂漠。圧巻です。
 そして、特にすばらしいのが、砂漠の夕暮れ。太陽が砂漠の地平線に落ちていき、夕焼けに染まる景色を見ていると、・・・ちょっと言葉にはなりません。
 でも、頂上には、見事に何もありません。フェンスに囲まれた駐車場と岩があるだけでした。今では、売店の一つもできているのでしょうか。
 子どもたちは、それでもここへ来ると飽きもせず石積みをして遊んでいました。一度は、転んだうさくんの手の中にガラスのかけらが入り込むという大事件が起きました。14年経った今でも手のひらに傷が残っています。
 この頂上から見ていたら、何かきらきら光るものがある、ということで山を下りながら探していると、なんとそれは温泉が噴き出しているところでした。いってみると、こんなふうに、温泉をためるプールができていて、大勢の人が足を浸けて楽しんでいました。奥にある建物は、人前で足なんかは見せられないアラブ人女性が温泉を楽しむための壁囲いです。
 もっとも、その後この温泉は人体に有害な物質が含まれているとのことで、この施設は閉鎖になったと聞きました。
 アルアインのもう一つの楽しみは、ワディバッシングです。ワディというのは、「涸れ川」と訳されますが、時々地下水が地表に現れる水辺があるのです。
 この砂漠の国で、人々がどんなに水を求め、水に癒しを感じるかは、このような水辺に集まる人の多さで分かります。ここの水は本当にきれいです。でも来る季節や時期によって、水の量はかなり違います。
 この場所は、アルアインの中心部からオマーン領のブライミを抜け、さらに山に入った方にありました。かなり近くまで舗装道路が続いていて、その先はごとごとの未舗装の道路を走ってきます。方向感覚のいいうさ父でないと道に迷ってしまいそうです。
 
 水辺には、こんな花や赤とんぼなども見られます。 
 この川原をさらに走っていくと、このオアシスに囲まれた古いフォートがあります。400年くらい前のものではないかと聞きましたが、こういうところに人が住んでいたときもあったのですね。この周りに植わっているのはデーツ(ナツメヤシ)の木で、私たちが行ったときにはたくさんの実が収穫しておいてありました。(放置されていたのですが)。アラブの人達はデーツの実を干して食べます。これが、干し柿みたいに甘くておいしいのです。日本のソースなどにも入っているようですね。
 こちらは、水辺とは少し違う方向の山の中に向かって行った先にあるアオシスです。多分オマーン領ではないかと思われますが、国境があるわけではないので分かりません。木も草もない岩山の中で、頭をぶつけそうなほどのごとごとの山道を進んでいくと、目の前に突然緑豊かなオアシスが広がるのです。これは感動ものです。
 ここで人に会ったことはなく、ロバが1匹たたずんでいるだけなのですが、右の写真のように、ファラージュという灌漑設備が立派に作ってあります。やはり、水が流れているというのは落ち着くものです。
 ここは、アルアインから少しドバイの方へ行ったところにある農場です。父の同僚のエジプト人の方が、職場の家族を連れて、知り合いのナショナル(UAE国籍の人)のお宅と農場に連れて行ってくれました。砂漠の真ん中に水を引いて広大な農場を作っているそうです。ビニールハウスの中ではキュウリを作っていました。ビニールハウスは日本とは反対で、中を冷房で涼しくして作物を育てます。外は暑すぎて育てられないのです。外でも育っているのはピーマンなどだとか。
 お宅はまるで宮殿のような広い敷地に建物が何軒か建っているのですが、庭には山羊が放し飼いになっていました。そして、このようにらくだも・・・。この仔らくだは生まれて1週間とか。
 ここはまた別のワディですが、車を置いてこんな道なき道を進んでいくと、突然滝が現れるのです。こんな暑くて雨も降らない砂漠の国の、どこにこんな水があるのでしょう。
 アルアインではヒルトンとインターコンチネンタルの2つのホテルが一般的です。ヒルトンの方が若干高級で、日本食レストランも入っているのですが、我が家の定宿は、こちらインターコンです。安いのが第一条件ですが、その上に、このような遊具が敷地内に結構たくさんあるのが魅力でした。最後の時は、ブライミにあるアルブライミホテルにも泊まりました。とっても安いのですが、清潔で充分満足できました。