着物や浴衣だけが和装ではない。祭りのハッピ・ハンテンだって、れっきとした日本文化の象徴。とにかく日本人は祭り好き。全国至るところでさかんだし、祭りの中には、いにしえからの伝統文化が、しっかりと息づいている。

「左写真は、ジュビロ磐田のお膝元、静岡県磐田市観光案内パンフ「いわた」より。太鼓や笛の音、威勢のいい掛け声など情緒たっぷりのお祭り、遠州中泉・府八幡宮祭典の1コマ。」
こんなお祭に、既製のハッピでは味気ない。ましてTシャツ+短パン姿は論外。 
「昔ながらの心意気で、とことんこだわりのハッピを創りたい!」と、京都の活ノと幸に尋ねて来られた磐田・東組の幹事、宮地優さん。


まずは、従来のハッピに、どう工夫を凝らすかを、ご相談。

山車や山車丸(提灯)のロゴを生かしたい、江戸勘亭流の情緒ある文字を使いたい、新調するなら従来より一格上のハッピにしたい、羽裏(ハッピの裏地)にはオリジナルの柄を染上げたい・・・とイメージがふくらむ。

それなら、まず、素材は正絹が一番。とりわけ、羽二重や玉糸を織り込んだ紬地などが、男意気を表わすのにぴったり!もちろん、綿より格も上がるし、発色、光沢が断然勝る。第一、軽くって着心地が違うからと、おすすめ。


ハッピの表地は、従来の柄を尊重し、凝るべしは、羽裏の柄。鷹、鯉、富士山など数々のデザインを参考にしながら、老松を決定。この老松を背景に、持参された提灯のロゴを、重ね合わせて配置することに決定。字体に凝るということは、墨字の運筆やその勢い、枯れ具合も拘りたいという意味。


墨黒の濃い部分、薄墨のかすれ方もそっくりにしたいという、思い入れ。じっくり聞き入っていた図案家が、羽裏のデザインの下絵を、目の前で描き上げる。そして染工場へ・・・ すべてオリジナルだから、この図案にそって、一枚づつの型を彫って用意する。柿渋を塗った伊勢型紙に、一色ごとの図案を彫っていく。同じ黒といっても、濃淡、中間色とそれぞれの型を彫ることになったから、型枚数も相当なものに。
この型紙を置き、丸刷毛で染料を挿す。根気のいる手捺染の仕事が続く。

         

さて、表地と羽裏の双方が染め上がれば、今度は、仕立てに入る。ハッピといえども、こだわりの逸品、絹物であるからには、ミシン縫いではツレが出る。すべて、和裁士による手縫いで、縫い上げる。
撥水加工も施して、汗、汚れなどのアフターケアーも簡単にお引き受けできるよう、最善の配慮をし、ご納品。



お祭り当日、趣向を凝らした飾り付けの山車が引き回される。勇壮華麗なハッピ姿が、町中を深夜まで練り歩き、磐田の大地を熱くしたことは想像に難くない。


<上記の記事は京都の活ノと幸サイトからの転用です。>
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