用宗紹介

シラス漁で有名な『用宗地区』は、静岡市の西南端(駿河区長田地区の南部)に位置し、面積4.06平方km、人口4,672人(平成22年12月)の小さな町である。しかし、その小さな町には、豊かな自然と長い歴史があり、今もなお、どこか懐かしい感じがする町である。今回は、そんな『用宗地区』の魅力あるスポットや、駿河名物『しらす』について紹介します。

用宗駅

photo02.jpgまずは用宗の玄関とも言える用宗駅を紹介します。
用宗駅はJR東海道線の静岡駅から西へ2つ目の駅で、明治42年(1909年)、地元住民の切なる要望と用宗停車場敷地3,651坪の無償提供によって誕生。
開設以来今日まで、周辺住民の交通手段だけでなく経済、文化の反映に大きく貢献してきた。
左の写真は昭和34年11月の開設50周年記念のもの。用宗地区住民総出で盛大な祝賀行事が行われたようだ。
そして、平成21年(2009)に開設100周年を迎えた。



photo03.jpg左の写真が現在の用宗駅。
駅のホームを降りると途端に、磯の香りに包まれ、何故か懐かしい感じがする。
駅舎も新しくなり、売店も夏の海水浴等の季節には繁盛している。
乗降客は、昭和43年の年間110万人、一日平均3000人が、以後漸減し、今では年間70万人強、一日平均2000人と聞くが、新しく出来た安倍川駅の影響が大きいようだ。
自動車での移動が多い昨今、時には、ゆっくりと電車で訪れるのも風情があってよいのではないか。


持舟城跡(もちぶねじょうし)

photo04.jpg用宗駅を降りると、裏手に小高い丘陵がある。
城山さんと呼ばれ現在の用宗城山町で、そこに持舟城(もちぶねじょう)があった。眼下に駿河湾を見下ろし、駿府の町も一望できることもあり、東海道の山越え側丸子城と並んで、海側の街道の要衝であった。
持舟城は、はじめ今川氏の属将であった一宮元実によって築城され、駿府守備の重要な支城として重用されたと伝わる。
今川氏が衰退すると、武田信玄らによって攻められ奪われる。
武田水軍の城としての機能を持ち、現在の用宗駅付近が舟溜りとして使われたらしく、そのころ城名として「持舟」の通称がついたと言われている。その後、徳川家康の侵攻で、奪い合いが続いたが、天正10年(1582年)の攻撃によって降伏。廃城となった。



photo05.jpg現在、城山にはミカン畑が広がっている。
主郭には「城跡の碑」と共に、「観音堂」があったが、平成20年に、残念ながら観音堂は解体された。
ただし、持舟城の遺構は頂上の本丸、空堀、堅堀、二の丸等が残っており、本丸広場は安全柵や飲食用のテーブルが整備されている。
直下をJR東海道新幹線が通り、上り線(東京方面)で右側車窓より 唯一富士山を望むことができる。






siroyama031.jpg課外活動で楽しく昼食をとっている長田南小学校の生徒たち。

siroato090402 010.jpg晴れた日の富士山を観る 家族連れ。



photo06.jpg頂上からは東側の静岡市街、富士山、伊豆の山々、南側の駿河湾が見渡せる。
この見晴らしは素晴らしく、昔から ”たぐいなきけしきなり” と古文書に書かれている。 必見の価値がある。







用宗海岸・用宗海水浴場

photo07.jpg用宗駅をまっすぐ海に向って5分程度歩いていくと海岸に出る。そこが用宗海岸である。用宗海岸は西側に“大崩”のある石部海岸、東側に用宗漁港と広野海岸に挟まれて細長く続いている。














photo08.jpg夏になると用宗海水浴場になり、若者から家族連れまで大勢の利用者で賑わっている。








photo09.jpgまた、海開きには、用宗駅から用宗老人福祉センター南緑地公園までの「パレード」や「青空市」などが盛大に開催されます。是非、お越し下さい。








用宗フィッシャリーナ

フィシャリーナ01.JPG用宗海岸を東へ進むとすぐに用宗漁港がある。でも、それをもう少し先へ歩いてみよう。そこには、これまでの雰囲気とはちょっと違った多彩な設備が並ぶ海洋レクリエーション施設「用宗フィッシャリーナ」がある。近年、遊漁等海洋レクリエーションの人気が高まり、プレジャーボートの利用も増加傾向にある。そんな現状の中で、漁船とプレジャーボートとのトラブルを解消する為に整備されたのがこの施設である。平成14年4月に静岡市が建設し、清水漁業協同組合が指定管理者で運営している。収容隻数は陸置で77隻が保管でき、マリンレジャーを楽しむ人々で賑わっている。いつかは自分のプレジャーボートを持ちたいという人も多いのでは?


用宗漁港

真っ青な海の上で白いヨットを颯爽と走らせる自分を想像しながら、もう一度、用宗漁港へ戻ってみよう。用宗漁港は、安倍川の河口より南西に2km、用宗海岸と広野海岸の間に位置する。
現在の海岸からは想像できませんが、古書「駿河の国風土記」によれば、「安倍郡持舟往返の諸帆尽く此の湊に入る」とあり、持舟村(今の用宗)は手越原あたりまで入江に面した湊であった。
用宗で漁業が始まって300年、その当時から沿岸漁業発祥の地として発展を続け、一方で漁船が大型化し始める。しかし用宗には水揚設備がなく、荷揚げは伝馬船による沖荷役で、非常に苦労していた。そして、昭和30年から湿地帯のよい環境を利用した掘込式漁港の修築事業に着手し、現在の用宗漁港になっている。

photo11.jpgphoto12.jpg左の写真は昭和35年、用宗漁港建設工事初期の用宗町で、右の写真(平成18年)は現在の用宗漁港と用宗町である。比較すると、その発展ぶりがよくわかる。




シラス漁

photo13.jpg

photo14.jpgphoto15.jpg現在、用宗漁港において漁業を営む清水漁協用宗支所には正組合員33名、准組合員34名、所属漁船81隻があり、全てが沿岸漁業を営んでいる。漁業種類は船曳網、刺網、採貝、地曳網、一本釣などで、捕獲量がシラス789t、刺網53t、採貝1tなど(平成22年)であるが、シラス漁は全国的に有名で、駿河名物「用宗のしらす」として定着している。

“しらす”ってどんな魚?

ここで、ちょっと「しらす」について紹介します。

photo21.jpg

【プロフィール】名 前: カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシなどのイワシ類幼魚の俗称
生まれて1~2ヶ月で、まだ体が透明なことから
分 布: 東北地方から九州地方の沿岸部各地に分布
大きさ: 2~3cm程度

【静岡県のシラス】静岡県は、沖合いに黒潮が流れていることや沿岸に栄養分に富む河川水が多く流入していることなど、イワシの幼魚(シラス)の生育に適した環境にあり、全国1,2位の生産県になっている。

photo17.jpg  photo18.jpg

【シラスの食べ方】
生シラス: とれたてのシラスをわさび・しょうが醤油や酢味噌でお召し上がり下さい。とにかく鮮度が勝負です。最近は、冷凍の流通も行われています。


釜揚げ: ゆでじらすとも言われ、ゆでて冷却した柔らかな加工品。大根おろしとあえて食すが一般的です。水分を多く含み、貯蔵性がやや短くなっています。

ちりめん干し: ゆでたシラスを乾燥させた加工品。出荷先で乾燥度が異なり、関東向けは軽く干し、関西向けは充分干して出荷します。たき込み、茶漬、吸物等各種の料理に用いられています。


たたみいわし: 生のシラスを海苔のように薄く干し上げた高級加工品。火であぶり、醤油で食べるのが一般的です。

用宗漁港まつり

ところで、今ではあまり考えられませんが、平成2年、ある買物客が静岡市内の大手デパートの鮮魚コーナーで買物をしている時、店員に「静岡市内に漁港があり、そこでシラスが水揚げされていることを知らない」という話をしていたそうである。それを聞いた清水漁協用宗支所青壮年部の方々は、びっくりしたのと同時に、非常に大きなショックを受けたそうだ。そこで、「自分達の港のこと、自分達が獲っているシラスのことを少しでも多くの人に知ってもらいたい。」と強く思い、「しらす祭り」を開催することとなった。
「しらす祭り」の目的は、シラス漁業のPRと、子供たちに海や魚や漁業とふれあい、楽しんでもらうことである。平成22年に20回を超え、用宗の恒例行事として定着してきているが、現在は「用宗漁港まつり」に改名されている。来場者数も、1年目は1万人に満たないものであったが、年々増加し、今では4万人もの来場者で賑わっている。
特に、しらすの即売は長い行列が出来るほどの人気である。是非、お早めにご来場頂き、新鮮なしらすをたっぷりと味わってみて下さい。

photo19.jpg

終わりに


photo20.jpg

HPをご覧頂いた皆様、何となく磯の香りがしてきませんか?何となく、ゆったりとした気持ちになりませんか?天気の良い日曜日、いつもよりちょっと早く起きて、ぶらりと電車で用宗駅へ行ってみませんか?そこに、自然豊かな懐かしい街“用宗”が存在します!!

photo23_2.gif-資料・写真協力-


◎清水漁業協同組合様
◎静岡市水産漁港課様


-参考資料-

◎用宗町誌(用宗町誌編集委員会)
◎「もちぶね」の写真展(もちぶねの会)
◎わが街ウオッチング(市川土木株式会社)
◎用宗漁港50年のあゆみ
◎フリー百科事典「ウィキペディア」