オゾン層破壊

1.オゾン層の破壊は進んでいる
2.オゾン層の破壊物質フロン
3.オゾン層の破壊のメカニズム
4.オゾンホール
5.紫外線の脅威
6.「大気の窓」をふさぐ危険なフロン







2004-6-07
★★ オゾン層の破壊は進んでいる ★★

 オゾン層とは、高度10〜50Kmの範囲(成層圏)にあり、対流圏の外側を取り巻くように存在している。
 高度25Km付近の濃度が最大となる。
 とはいえ、その量は0℃・1気圧に圧縮して仮に、地上付近に持ってきたとしても、厚さは僅か3mm程度
の薄い層になってしまいます。
 だから、非常に希薄な層として存在しているわけですね。
 オゾンは、酸素原子が3つが結合したものですが、成層圏にある酸素分子が強力な紫外線を受けて分解し、
それが再び酸素分子と結合することで作られるが、地上付近にあると光化学スモッグの原因物質になり、
生物にとっては厄介者ですが、成層圏にあるオゾンは無くてはならない存在だ。
 このオゾン層の役割は、非常に重大で地球上の生物にとって有害な紫外線を吸収してくれます。
 しかし、このオゾン層が、今、人工的に作られたフロン等の化学物質で破壊されようとしているのです。
 オゾン層が破壊されると、ヒトでは皮膚がんや白内障が増加し、他の動植物にも種の存亡に関わる重大な
悪影響を及ぼします。
 かつて、原始地球には酸素もオゾン層も存在しませんでした。
 そのため、有害紫外線が地上に降り注ぎ、生物が陸上で生存することはできませんでした。
 ところが、海で光合成をするバクテリアが誕生したことで、酸素が生産され次第に濃度を高めるとともに
上空ではオゾン層が形成されるに至りました。
 その結果、有害紫外線が減少し陸上でも生物が生存できるようになりました。
 それが、形成されるに至るまでの道のりは何億年という、気の遠くなるような時間が費やされました。
 しかし、その貴重なオゾン層を人類は僅か百年にも満たない短時間のうちに破壊しようとしているのです。
 人類の、こんな身勝手な横暴は許されていいのでしょうか?
 防御の手段を持たない他の生物たちは、存亡の危機にさらされています。
 専門化によれば、オゾン層破壊の影響は、まだ始まったばかりで、今後どこまで深刻な被害に見舞われるか、
また、いつ終息するのかも定かではありません。












2004-6-08
★★ オゾン層の破壊物質フロン ★★

 フロンは、1928年に、米GE社により開発され、その後、デュポン社により大量に生産されるよう
になり現在に至っている。
 無毒・無色・無臭・不燃性・科学的に安定しているなど、至れり尽くせりの「夢の物質」として、
あらゆる分野で利用され、我々の生活に深く浸透してきました。
 主な利用先は、冷蔵庫やクーラーの冷媒・スプレイの噴射剤・半導体の洗浄剤・マットレスや断熱材などの
原料となる発砲ウレタンを作る過程で大量に使用された。
 しかし、1974年、米カリフォルニア大学のローランドとモリナー教授らにより、フロンが成層圏にまで
達してオゾン層を破壊している可能性があると、発表されたのを発端に、研究や観測が続けられ事実であること
が実証された。
 その結果、現在、地球的規模でフロンの規制が進んでいる。
 しかし、ひと口に「フロン」といっても様々な種類がある。

@クロロフルオロカーボン類(CFC)
  炭素・フッ素・塩素からなり、通称「特定フロン」と呼ばれている。
 オゾン層を破壊する作用がもっとも強く、1987年「モントリオール議定書」により、この規制が開始され、
1992年「第4回締約国会議」で1995年12月31日をもって先進国での生産は全廃された。
 (途上国は2010年までに全廃)
 現在は、CFCの代わりに「代替フロン」に移行が進んでいる。
 CFC−11(業務用大型冷凍空調機器・発泡剤)
 CFC−12(冷蔵庫・カーエアコン・発泡剤)
 CFC−113(洗浄剤)

 これまでに、生産された「特定フロン」の総量は2100万t以上あると云われている。
 その約90%はすでに大気に放出されており、残り10%は機器の中に残存している。
 大気に放出した内の10%が、すでに成層圏(オゾン層)に到達し悪さをしているわけです。
 たった10%ですよ。
 まだ90%はこれから、成層圏に到達するんですよ。

 代替フロンには、
Aハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
 炭素・フッ素・塩素に水素を加えたもので、オゾン層に到達する前に分解し、オゾン層破壊には至らないと
云われていますが、全てが分解すると云うわけではないので、2020年までしか生産が認められていない。
 日本国内の主要エアコンメーカーでは、企業の自主的な努力により、その使用を前倒しして中止している喜ばしい
報告もあります。
 HCFC−22(エアコン・冷凍空調機器)
 HCFC−141a・141b(発泡剤)
 HCFC−225(洗浄剤)

Bハイドロフルオロカーボン(HFC)
 炭素・フッ素・水素からなり塩素を含んでいないのでオゾン層破壊作用は無い、しかし、二酸化炭素の数千倍・数万倍
の温室効果があることが指摘されており、「代替フロン」だから安全だと云うものではない。
 ゆえに、無制限に使用を続けることは、いたずらに環境問題を長引かせるだけです。
 「ノンフロン」化に向けての企業努力を期待することは勿論ですが、一般市民のフロン関連商品に対する認識を高め、
その取扱や廃棄に関して、「良き地球市民」としての立場に立って、ルールを完全に遵守・履行することを、お願いしたい。















2004-6-09
★★ オゾン層の破壊のメカニズム ★★

 オゾン層を破壊する化学物質にはフロン・ハロン・四塩化炭素・トリクロロエタン・臭化メチルなどがある。
 これらは、大気中に放出されても分解されず、そのまま、長い時間(5〜10年程度)かけて成層圏に到達する。
 そこで強い紫外線にあたると、初めて分解して塩素原子や臭素原子を放出します。
 この塩素原子や臭素原子がオゾン層を破壊するのですが、その仕組みを、フロンを例に説明すると、

1.成層圏に昇りつめたフロンは強い紫外線を受けると、分解して塩素原子を放出します。
2.塩素原子は、オゾン中の酸素原子と結びつくことにより、オゾンを破壊します。
 (オゾンと塩素原子が反応して一酸化塩素と酸素になる。 O?+Cl→ClO+O?)
3.酸素原子と結びついた塩素原子は周辺に散在する酸素原子と結びつき、再び塩素原子が離れ、別のオゾンを破壊する。
(HCL → H+Cl・Cl+O? → ClO+O?・O?+Cl=Cl+O?)
 これを際限なく繰り返すことになります。
 厄介な、はなしですね。(~_~;)

 専門家によれば、
 成層圏の、オゾンの総量は33億トン。
 年間破壊総量は8,000万トン(推定)
 これまでに、生産された「特定フロン」の総量は2100万トン以上。
 その約90%はすでに大気に放出されている。(1,800万トン)
 残り10%は機器の中に残存している。
 大気に放出した内の10%(200万t以上)が、成層圏に到達している。
 これから、到達するであろう量は、少なく見積もっても1,500万トン。

 この数値を見て、気づかれると思いますが、
 この問題が、いかに大きいかが伺えると思います。












2004-6-14
★★ オゾンホール ★★

 南極の春(9月頃)には上空の成層圏のオゾンが殆んどなくなって穴が開いた状態となる部分が生じます。
 これを「オゾンの穴」オゾンホールといいます。
 南極は7月〜8月に冬を迎え、太陽が全く顔を見せない夜の世界になります。
 また、この時期「極渦」と呼ばれる南極特有の強い風が吹き荒れ、その領域は、周囲とは隔離された状態になり、
−90℃以下にもなるそうです。
 この時、大気中の僅かな水分も氷の粒になって極成層圏雲を形成します。
 この氷の粒は、塩素含有物質と水の混合物で出来ていると考えられています。
 この氷粒が長い極地の冬の間に、化学反応が起き塩素原子が分離される。
 春が来るまではオゾンを破壊することはないが、春の訪れとともに強力な紫外線を浴びることで、光化学反応が
起こるようになり、破壊作用をするようになる。
 また、極渦内部のフロンが分解して塩素原子が飛び出すことで、この両者の相乗作用で極成層圏雲の中は連鎖的に、
長時間オゾンが破壊されるとのことです。
この現象で、極渦内のオゾンはことごとく破壊し尽されてしまい「オゾンホール」という恐るべき状態になります。
 一方、北極地方では南極ほど低温にはならず、氷結と化学的過程が進行するための条件が長期間、安定的に続く
領域が存在しないため、それ程ではないが、オゾン層の破壊は着実に進行しており、日本でも、北海道上空は減少
傾向にあり影響が心配されている。
 環境省ホームページ http://www.env.go.jp/index.html 
 「オゾン層等の監視結果に関する年次報告」で詳しく確認できます。
 興味のある方はLinkして、見てください。














2004-6-10
★★ 紫外線の脅威 ★★

 太陽光線は、非常に広い範囲の波長の光を含んでいます。
 その中で私たちの目に捉えられるのは、波長400(紫)〜700(赤)ナノ・メートルの可視光線という領域だけですが、
 その外側にも見えない光の世界が広がっています。
 400ナノ・メートルより短波長の紫外線領域(UV)と700ナノ・メートルより長波長の赤外線領域(IR)があります。
 紫外線は、さらに波長によりUV-A・UV-B・UV-Cの3種類に分類されます。
 (1ナノ・メートル=10億分の1メートル)
 (UV=ウルトラ・バイオレット)
 (IR=インフラ・レット)
 1.UV−A(波長315ナノ・メートル)以上
  波長のもっとも短い紫外線で成層圏を素通りして地上に到達します。
  皮膚を黒くしたりシミを作ることもあるが、ビタミンDの生成を助けるなどの作用もあり、
  どちらかと言えば危険性は少ない紫外線といえる。
 2.UV−B(315〜280ナノ・メートル)
  紫外線の中では中間波長で、その大部分がオゾン層(30〜20Km付近)
  によって吸収されているため、オゾン層が破壊されると地上に降り注ぐようになります。
 3.UV−C(波長280ナノ・メートル)
  波長が短く、本来ならば最も危険な紫外線ですが、ほとんどが上空、数百Km〜35Kmに比較的多く
  存在する酸素分子や希薄なオゾンに吸収され地上には到達していないといわれています。
  オゾン層が破壊されたとしても酸素が吸収するので心配はない。

 このように、有害部分が都合よくカットされる仕掛けとなっていたので、生物が地上で生存できる環境が長いこと
保たれてきた。
 しかし、ここにきて、オゾン層破壊の加速で狂いが生じてきているのです。
 特に、心配されているUV−Bは地上に降り注ぐと、次のような影響や問題が生づる。
 ★人への影響
  オゾン層破壊による有害紫外線の増加は、ヒトのからだの細胞に傷をつけ眼の病気や皮膚ガンを引き起こすほか、
  免疫力を低下させます。
 ★動植物への影響
  微生物は有害紫外線の影響を受けやすく、プランクトンやさまざまな動植物の成長がさまたげられ、漁獲高の減少
  や農作物の減収など、食糧生産に大きな影響が出ます。
 ★気候への影響
  成層圏の大気の環境が変化し、局地的に大雨になったり、台風が大型化したりといった影響があらわれます。
  逆に干ばつになる地域も出てくることがあります。
  また、紫外線が地上に降り注ぎ、地上付近の酸素が反応し、対流圏オゾンが増えて光化学スモッグの原因にもなります。
 ★物質への影響
  建物の屋根材・壁材など、直射日光を受ける部材は影響を受ける恐れがある。
  これまで、一般的に使用されてきた材料は、そのままでは、変色・耐久性が低下するので、使用できなくなる可能性があります。
  特に、プラスチック・塗料・繊維・ゴムなどの素材が影響を受けます。


  これから、夏本番を迎えます。
  紫外線量も増加します。
  女性諸君、気象庁の天気予報だけでなく紫外線予報にも注目しよう!!
 












2004-6-21
★★ 「大気の窓」をふさぐ危険なフロン ★★

 建物には窓があって、採光や空気の出し入れに役立っています。
 地球にも「大気の窓」と呼ばれる窓があって、地球の熱を宇宙空間へ逃がす重要な役目を果たしています。
 専門家によれば、太陽光線は大気を素通りして地表に到達し、まず地表を温めます。
 温められた地表は、大気の方向に赤外線というかたちで熱を放出します。
 この時の、放射エネルギーは4〜30マイクロメートルの赤外線です。
 これを、キャッチするのが温室効果ガスですが、4〜30マイクロメートルのうち自然界に元々ある温室効果ガス
(二酸化炭素・メタン・水蒸気など)は12マイクロメートル以下の赤外線の殆どを吸収しません。
 従って、地球の多くの熱は宇宙空間へ放射されます。
 「過去何億年は、ず〜っと放射されていました。」という表現の方が、いいのかもしれません。
 つまり、開かれた「大気の窓」が、機能していたのです。
 この開かれた「大気の窓」が、地球の巧妙な温度調節システムの重要な役割を果たしていました。
 しかし、フロン・ハロン類は、この領域の赤外線を強く吸収する特性を持っていますから、自然が温度調節のために
残していた「大気の窓」を塞いでしまう形となり、極めて危険な物質といえるのです。
 これが、現在問題になっている「地球温暖化」を加速させる、重大な原因になっているのです。