烈火の剣のCMは非常に印象的だ。原点回帰のオペラCMだった封印とは違い、「人は、物語と共に成長する」というキャッチコピーのしんみりしたものだった。
そしてそのCMには「失った仲間には、もう会えない」というフレーズがあり、男ドラゴンナイトが死ぬゲーム画面が・・・。ゲームプレイ後、彼はヒースという名前であり別に普通のユニットだった事が判明するが。
ただFEの歴史から言えば本当に死んだ仲間にもう会えないのはトラ7からだけどね。
といっても暗黒竜や外伝は厳しい人数制限があるが。それに金さえ積めばいくらでも生き返らせる事ができるといわれる聖戦だって、聖杖の継承条件の厳しさとお金が個人管理で闘技場使用には制限があること、所持者が後半参入であることを考えれば事実上厳しい制限が課せられていると言えるが。
ちなみに筆者は聖戦ではクロードとその息子のセティに値切りの腕輪を持たせて累計10人以上生き返らせたことがある。
特に有名なトリスタン死亡時のジャンヌ独身EDが見たかったときは、ラケシスとジャンヌを独身にするためにもう死屍累々。
あのときはさすがにお金が足りなかった・・・。
しかしGBAシリーズはそうじゃない。死んだ仲間が生き返ることは決してない。烈火ではCMがそう謳っている・・・。と思ったらニニアンがいきなりイベントで死んだときは、しばらく信じられなかった。瀕死なだけで生きていると思っていた。
そして終章ではプラミモンドに生き返らせてもらっている。CMで死亡画面が登場したヒースの立場が無いだろう。というかイベントで生き返る場面があるのにわざわざ「死んだ仲間には、もうあえない・・・」というフレーズをCMで出す辺り、壮大なひっかけだろうか。私はその引っ掛けの術中にまんまとはまったのだろうか。
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今まで前フリ。ここからが本題。
さてヒースはゲーム中では普通のユニットだ。何で彼が死ぬゲーム画面がCMとして全国ネットで放送されたのだろうか。
原因はひとえに彼の散り際のセリフにあるだろう。逆に言うなら彼は死に台詞のせいで斬られ役に採用されたのだろう。
ちなみに内容。「あんたたちと一緒に 戦えて・・・良かった。」
思いっきり友情系であり、仲間全体に対するセリフである。あのCMのイメージに見事に合致する。しかもこういった仲間全体に対する散り際のセリフを発するのは殆ど彼1人といって良い。この辺がヒースが採用された原因ではないだろうか。
ただ烈火は封印世界と建前上パラレルではないため、HP0になっても戦線離脱するだけで死亡するわけではないキャラがかなりいる。
烈火の自軍だけでなくFEの自軍は基本的に寄せ集めであり、みんな揃って生まれた時も別々なら死ぬときも別々という関係である。だからヒースみたいなセリフのキャラは本当に稀有だ。
この点が烈火キャラがなかなか友情系の死に台詞を言わない原因であろう。FE自軍は本当に寄せ集めだからねえ。
だから聖戦でシグルドが☆2でピサールやドバールやゲラルドと同列と言うのも致し方ないことだ。寄せ集めで男女混成で恋愛自由で挙句の果てに妊娠出産すらOKの酷く無茶な軍隊を完璧に統制しろという方が不可能だ。ただランスリッターを率いて☆2だったキュアン王子はフォロー不可能だが。
ただ同じ寄せ集めでも例えば全員魔星の生まれ変わりで梁山泊に集結するのが目的とか、あるいは義兄弟の契りを交わす場面があるとかいったら皆ヒースと同じような死に台詞だったろうと思われるがどうだろうか。まあ烈火自軍にそんなアジア的な設定は似合わない。
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ただ烈火自軍は同じ寄せ集めでも、他のFE自軍とは少し違うイメージがある。
烈火はストーリー自体は外伝の発展系である聖魔辺りと比べると断然長いが、戦いの規模自体は一番小さい。何せ唯一の戦争物ではなく、史実に残らない戦い、エレブの裏歴史的ストーリーだからだ。それに自軍キャラに王族が一切いないのも烈火だけだもの(リグレ夫妻は遠縁らしいので外した)
無論ラウス辺りとは充分戦争といえた気もするし、あれだけハデに暴れまわって歴史に一切残らないのもありえないだろう。それに自軍ユニットに王族こそいなくても名門の貴族やら何やらは大勢いるもの。でもその辺は言ってはならないお約束かもね。
烈火は戦いの規模はFE歴代で一番小さい。いうなれば封印がエレブ全土を巻き込んだ戦乱ならば、烈火は「公子のお忍び部隊が世界から災いの芽を摘み取りました」と言う感がある。烈火はむしろ普通のRPGに近いかもしれない。
だから紋章や封印は本当は1ユニット1部隊のような大編成だと思うし、聖戦子世代に至っては進軍するたびに解放軍に参加したいと願う義勇兵が増加して行っただろう。
でもな。烈火は補給体系などといった後方支援も含めて本当にあの人数で戦っていたような気がするんだよね。戦いも局地戦ばかりだし。
だからユニット同士の交流といった面では烈火が一番盛んだったのではないだろうか。そしてヒースはベルンにいた頃とは全然違う部隊の雰囲気を味わえて、嬉しかったのではないだろうか。
またエルクの話をするなら前回「エルクは一生魔道の研究に打ち込みそうなタイプだから、軍を率いる能力があるのか」みたいな事を書いた。エルクが烈火キャラでなかったら「行軍中に一部隊を率いていたでしょう」という結論が出せるんだかねえ。
それにしても「公子のお忍び部隊が世界から災いの芽を摘み取りました」という感じの烈火が、主役が3人もいてプレイヤーが軍師として参加できる豪華仕様であるのが面白い。
(2006.09.10)