封印の剣と烈火の剣のキャラクターの全身イラスト集であるキャラクターズだが、イラストの横には紹介文のような物も書いている。
その本におけるセシリアのイラストの脇に書いてある文章の全文を載せます。
才色兼備のエトルリア魔道軍将
エトルリア三軍将の1人。前魔道軍将エルクの一番弟子で、突如隠遁した彼の後を受け魔道軍将となる。以前、駐在武官としてオスティアに赴いていた時、ロイやリリーナと交流があり、師ともいえる存在だ。その伝統にとらわれない考えかたは、ロイ達に大きな影響を与えた。
前回も書いたがこのキャラクターズという本はどういうわけだか誤植が多い。ルイーズの称号が「金紫の貴婦人」って何よ。金なのか紫なのかはっきりしてよ。それにどこにも「公式・任天堂完全監修」などといった意味合いの事は一切書いていない集英社出版の本である。
だから正直言ってどこまで信用に足るか甚だ疑問だが、このサイトではセシリアの記述は一応信用することにした。
さて封印と烈火は一応パラレルではない繋がった世界観らしいが、どうも細かいところで矛盾が出てきてしまう。
エルクがセシリアの師匠なら、師匠弟子の系図がこうなってしまうのだ。『アトスーパントーエルクーセシリアーロイ・リリーナ。』
それなら何でセシリアやロイは理想郷のことを知らないのか?アトスのひ孫弟子・玄孫弟子だから既に遺志が途絶えてしまったのかもしれないが、直弟子のパント卿は封印世界でもまだ40代で健在だろうに。
しかしパント以降は師匠ー弟子間がほぼ10歳ずつしか違わないから、パントは40代でもひ孫弟子がいるのね。実の子供は19歳なのに。
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封印と烈火のストーリー的な矛盾はわりと仕方が無い。特に理想郷の存在は烈火自軍キャラの口からある程度広がっていても全くおかしくない完全に矛盾した存在ではないか?少なくともロイとリリーナは親から聞いているだろうに。封印自軍キャラでもマーカスやマリナスは理想郷のことは既に知っているだろうに。誰もこの目で見ない限り信用できない世界観なのかもね。
問題はエルクの単独EDとキャラクターズの記述の矛盾である。
エルクの単独ED
英知の魔道士 エルク
長い修行を終えた後、
エトルリアに戻る。
【魔道軍将】を早々に退いた
パントの次にと望まれるが、辞退。
生涯を魔道の研究に捧げる。
思いっきり矛盾しています。しかもこのED自体にも突っ込みどころはあるのだが。ゲーム中の描写から鑑みるにエルクはパント個人の弟子でエトルリア軍人でも軍属でも無いのでは?しかもこの当時はまだ15歳。軍に所属して無い15歳に魔道軍将などという大役を勤めさせるかね。
ただよく言われている矛盾の無い説を唱えるなら、魔道軍将の系図は『パントー(誰か全然関係ない人)−エルクーセシリア』だという事。つまり数年間は別の人が魔道軍将をやっていて、その後エルクが軍将の座を継いだという事。
大体エルクがパントの後任でセシリアの前任ならエルクは18年間くらいエトルリア魔道軍将を務めていた事になるが。ちょっと長すぎないかな?その意味でもこの説は良いかもしれない。
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しかもセシリアはエルクの一番弟子だと書いてあるのが見えるだろう。という事は他に何人か弟子がいたはずである。しかもセシリアは伝統に囚われない考え方をするそうだ。他にも魔道軍将というのは一軍を率いる立場であるし、彼女はどちらかというと指揮能力や作戦立案に長けるタイプに見える。
ゲーム中のエルクの性格と少し違わないか?エルクはそれこそ一生を魔道の研究に捧げそうなバリバリのデスクワーク型に見えるが。
しかし15歳は多感な時期だから、自由を愛する師匠に感化されて少し社交的な性格と保守的でない考え方と魔道一辺倒ではない一軍を率いる将としての能力を手に入れたのかもしれない。・・・それはもはやエルクかどうか怪しい気もするのだが。もしくはネルガルを倒す行軍中に何か思うところがあってそれがこの強烈な変化のきっかけかもしれない。
弟子が複数いて、おそらく10年以上魔道軍将をやっていたのか。これ下手をすればパントより功績があったんじゃないか。
パントは弟子が何人いるか不明だし魔道軍将やってたのは3年間だけだから。ただエルクは王宮のとんでもない騒動以前に隠遁したようだが。
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エルクは何故突如隠遁したのか。
隠遁といえば何は無くともニノED。ただこの場合の隠遁はニノが残党狩りに追われた時点ではなく、ニノの故郷であるフェレ領でつつましく暮らすことを選択した時点での話だろう。
問題はエルクが妻のニノと共にフェレに移り住んだのが何年前かだが、ルゥの項目からしてニノが息子達の前から姿を消したのが封印世界から9年前。フェレには家族4人で数年間暮らしていたから最低でも11年前になる。
さて何でわざわざ地位を捨てて隠遁するかと言ったら、やはりエトルリアの軍将の妻がベルン王子の暗殺未遂者である事を段々隠し通せなくなってきたのではないだろうか。だから突如妻と幼い子供を連れて隠遁したのではなかろうか。
いや〜エルク×ニノはよくよく考えればドラマチックだ。エトルリア軍将の妻がベルン王子の暗殺未遂者だなんであまりにもぶっ飛んでいる。
ただエルクの隠遁が11年以上前と言ったらセシリアは何歳で軍将になったんだろう。封印時代でセシリアはいってて26,7歳だろうから、15,6歳で軍将就任?
ちょうどエルクに魔道軍将の誘いが来たのと同じ年頃ですね。ただセシリアはロイ・リリーナの師匠だったオスティア在住武官時代を経て魔道軍将になったらしい。(セシリア・リリーナ支援A)
ああ、これはもう魔道軍将の系譜が実は『パントー(誰か全然関係ない人)−エルクー(誰か全然関係ない人)−セシリア』とでも思えば良いや。キャラクターズの記述が部分的に間違っているんでしょう。前述のようにあの本は間違いが多いもの!もしくはエルクがセシリアを指名してから彼女が就任するまで7,8年ブランクが有ったとか。
でもな。パントみたいな性格の人や15歳でエトルリア軍人や軍属でもないだろうエルクを魔道軍将にしたりする辺り、もしかしたら魔道軍将って人手不足なのか?
エレブの理魔道士は精霊使いであり生まれ付いての特別な才能が必要だと言う。闇魔道士は古代魔法な上に闇に取り込まれる危険性がある。光魔道士はエミリーヌ教会関連だろうから果たして軍隊に入ってくれるかどうか。
もしかしたら軍将レベルまで育つ魔道士が少ないのだろうか。なにせエルクは下手をすれば20年近く軍将の座についていた可能性があるのだから。
この辺りの事は後のページで詳しく述べているのでそちらも参照にしてください。
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ニノED以外の場合におけるエルク隠遁の理由は何だろう。
そうだねえ。上の方ではエルクはED後には性格が少々、いやだいぶ変わったのではないかと書いた。エルクは生涯を魔道の研究に捧げるようなタイプから、少々社交的な性格と保守的でない考え方と魔道一辺倒ではない一軍を率いる将としての能力を手に入れた人物に変わったのではないかと書いた(もはや別人だろうとは思う)
しかし、やはり知識を追い求める『英知の魔道士』としての本質は何も変わらないんじゃないだろうか。パントやカナスと同じようなタイプであり続けるのではないだろうか。
エルクが隠遁したのはおそらく33歳前後だろう。まだまだ現役でいける年だと普通なら思われるかもしれない。しかしその時既にエルクは10年以上魔道軍将の座についていた可能性が高いのだ。
そして一番弟子のセシリアは既にオスティア在住武官に出世して己の後任も充分に任せられるまでに成長している。おそらく他の弟子達も一人前になっていた事だろう。妻子もいただろうか、子供はもうある程度大きくなっていたのではないだろうか。特に相手がプリシラやセーラだったなら10代で父親になった可能性も充分にあるだろうから。
彼はゲーム中でもかなり早熟な子供だった。そして出世も早かった。それはおそらく後身が育っていくのを見るのも早かったのではないかと思われる。
だからこそ、彼は30前半で世俗から離れ、知識の探求に乗り出したのだろう。そのおかげでエルクは王宮の騒動とその後のベルン動乱に巻き込まれる事はなかったのだが。
さて彼の隠遁先はどこだろうか。別の大陸・・・というセンも捨てきれないが、まあきっとナバタの里・通称理想郷に向かったのではないだろうか。
エレブ大陸は、アカネイアやユグドラル(ついでにリーベイア)では別大陸の存在だった竜の発祥の地だ。ようするに全ての源の大陸というか元凶というか。竜に関する英知はエレブが一番だとおもうのだが。
封印世界でのナバタの里はまさに『理想郷』だが、烈火世界では普通にルイーズも過ごしていた。そして自軍キャラはアトスに大ワープしてもらったから。行軍中の記憶か、もしくはまだ健在のパント卿に場所を聞いて旅立ったのだろう。
封印14章。セシリアは理想郷で師匠との再会を果たしたのかもしれない。
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あとがき━━理想郷関連は、建前上パラレルワールドではない封印世界と烈火世界をつなぐにはどうしても矛盾が出る事柄だ。そしてアトスの遺志はセシリアには伝わっていない。
ただ、封印世界の最後。結果的にアトスの遺志は自身の玄孫弟子でありエルクの孫弟子のロイにきちんと伝わっている。それで良いのかもしれない。
(2006.08.25)