榧の碁盤と将棋盤
榧の碁盤と将棋盤
盤を届けてくれた、三代目吉田寅義師(前列中央)
碁盤店を教えてくれた、岩田宗夫さん(前列右側)

 (かや)の碁盤と将棋盤が、平成18年3月24日完成し甘露寺に届きました。
 これは今から14年ほど前の平成4年春、本堂建設の為に、坂下の故湯山利さんが寄進してくれた榧の根本の部分と、その時立木を伐採してくれた、勝亦自動車の故勝亦政美さんが、手持ちの榧を寄進してくれたものです。

碁盤・将棋盤の原木
碁盤・将棋盤の原木

 厚さは18cmと19cmあったのですが、ヒビ割れ等の為、4寸5分仕上の碁盤と、5寸2分仕上の将棋盤となりました。

 本堂建設の記念となる榧をいただいたものの、碁盤を作る人を知らず、年月が経ってしまいましたが、たまたま今年の1月に、岩田宗夫さんの妹さんの法事に伺った時、部屋に碁盤が大切に飾ってあるのに気付き、何気なく榧の材料があるものの、盤師が判らないことを話しました。
 岩田さんは有段者であり、造詣が深く、埼玉県行田市の吉田碁盤店さんの吉田寅義師が名人だと教えていただき、此度の縁となりました。

 二代目吉田寅義師は『碁盤将棋盤・棋具を創る』と言う本を大修館書店から出され、用材から盤の作り方まで詳細に解説され、又「太刀盛り」で盤の目盛りをされる方です。

二代目吉田寅義師の本 太刀盛りの技法を紹介
二代目吉田寅義師の本 「太刀盛り」の技法を紹介
盤裏の「一如作」の銘
盤裏の「一如作」の銘

 今となっては榧材の盤は貴重で、木性も良い材料とのことでした。盤の裏側には二代目「一如作」、盤の脚の中には「平成十八年三月吉日 行田市若小玉 盤師 吉田一如作」の銘が記されています。又、吉田碁盤店さんが、駒台を寄贈して下さいました。

 本柾目(まさめ)の盤ではありませんが、本堂建設の記念の材料で出来た盤であり、甘露寺にまた一つ寺宝が出来たように思っています。

脚の中に記された銘 吉田碁盤店から寄贈された駒台
脚の中に記された銘 吉田碁盤店から寄贈された駒台

平成18年5月吉日  末光愛正 記