2005年3月24日
小黒啓子
平成17年度 国保、介護、小型自動車 特別会計予算
第56号議案 国保条例の一部改正について反対討論
私は、日本共産党浜松市議団を代表いたしまして、第31号議案平成17年度浜松市国民健康保険事業、第34号議案浜松市介護保険事業、第41号議案浜松市小型自動車競走事業の三つの特別会計予算、そして、第56号議案平成17年度浜松市国民健康保険条例の一部改正について反対の理由を述べ、討論いたします。
第31号議案平成17年度国民健康保険特別会計予算、第56号議案浜松市国民健康保険条例の一部改正については関連がありますので、あわせて討論いたします。
さて、国民健康保険料が、昨年に続き連続して値上げされることにつきましては、どうか値上げをしないで欲しいという請願が提出され、3月3日の本会議にて請願の趣旨説明をいたしましてからも、続々と署名が集まり、現在では9000を超えたことをお知らせします。
わずか6週間の間に9千人を超えるということは、1週間に1500筆が集まったことになります。国保加入者がこれ以上の値上げはどうしても止めてほしい、値上げされれば国保料を支払えない、何とかして欲しいという切実な思いが伝わってきます。
国保加入者の生活実態については趣旨説明で述べましたとおり、加入者の4分の1の世帯が所得がなく、加入者の平均所得が200万円であること、支払えずに滞納している世帯は、国保加入世帯の約2割にあたり、5件に1件の割合で支払えていないこと、さらには滞納者の約54%が所得100万円未満の世帯であることなど、国保料が高くて支払えないということを如実に示しています。
平成17年度予算では、昨年に続き加入者に負担を強いる、値上げ案になっています。これまでの状況を見る限りでは、国保料を上げる、滞納者が増えるさらに値上げをするという悪循環に陥っているように思います。
合併を前に応益割合と、応能割合の平準化も求められ、今後毎年のように国保料が値上げされることになれば加入者のくらしそのものが守られなくなるおそれがあります。
今こそこの悪循環を断ち切るために、根本的な問題にメスをいれ、医療費を増やさないための対策を強化すべきです。健康診査の受診率を上げ、保健師も大幅に増員し訪問活動を充実させるなど、考えられる多くの施策を実施して疾病の早期発見、早期治療をもっと大胆に打ち出すべきだと思います。
また、今回の値上げについては 一般会計からの繰入額を、浜松市の一人当たり8600円から、中核市の平均一人当たり19913円まで近づければ、値上げをしなくても済むはずです。
予算立ての中では、歳入の国庫支出金のうち調整交付金の立て方にも問題があると思います。合併した旧静岡市でも大幅な国保料の値上げで市民が市役所に押しかけ大変な状況になりました。平成15年11月のことです。
新静岡市では平成16年度から、旧ただし書き方式に一元化し、その年度の国保会計で29億円の赤字を見込みました。一般会計から20億円を繰り入れ、不足する9億円を保険料の値上げとしたのです。その結果、旧静岡市では市民の約7割が値上げとなり、苦情や問い合わせが殺到しました。
ところが、平成16年7月になって、10億円程度と見込んでいた、15年度の国庫支出金の財政調整交付金が倍近く交付され、保険給付費の見込みも、30億円も下回ったことから、一挙に14億円の黒字となったのです。
本市では、平成14年度に調整交付金として当初予算4億3100万円をたてましたが、実際の交付額は7億5200万円でした。
平成15年度においては、当初4億3千万円予算たてをしましたが、実際に交付された金額は13億7700万円です。9億円を超える差が生じています。16年度は当初4億2900万円予定しており、たぶんそれ以上の交付金が確定すると思います。いずれにしても、交付金を少なめに見積もり、不足分を加入者の値上げ分に振り分けるやりかたは、国保財政を正しく見極めていくときに障害になるのではないでしょうか。
合併する他市町村では、仮算定、本算定と2本立てにして調整をしています。合併後「国保料」扱いになり、国保税のように、地方税法の制限は受けませんが、これから平成22年の一元化に向けてどれほどの負担が市民にかかってくるのか心配するばかりです。
もう一つの心配は、今行われている「三位一体改革」の中の国保財政についてです。
国保については制度的な改革が必要ということで、国の段階での検討が始まり、まず、国庫負担金を7千億円程度減らすことが決まりました。
現在国保にかかった医療費は、患者負担分を除いて、保険料と国庫負担金で半分ずつ負担する仕組みになっています。国の負担の50%のうち40%が定率国庫負担で、残り10%が財政調整交付金です。住民の所得水準が低い自治体に手厚く、高いところは少なく配分して調整財源として扱われています。
この定率国庫負担を40%から34%に、そして、財政調整交付金を10%から9%に削減し、削減した7%は、新しく「都道府県財政調整交付金」を創設し、平成18年度から都道府県が負担します。これ以外の「保健基盤安定制度」についても国の負担をなくし、県に大きく負担をかぶせました。
負担金額については、国から都道府県に税源移譲すると言われていますがはたしてどうなることか大変心配です。
「定率の国庫負担が減らされ、自治体の財政力で差がつく調整交付金の比率が増えることで、財政力のある政令指定都市などは、国と県の負担金をかなり削られることになる」といわれています。いずれにしても、健全な国保財政に立て直すよう、医療費をおさえる思い切った施策をすすめる必要があります。
国民健康保険はもともと国民皆保険として設立されました。地方自治体の国保運営も当初の目的である社会保障としての位置づけをしっかりもって取り組むべきと思います。
今回の厚生保険委員会の審議の過程で、事実上の保険証の取り上げである資格証明書がどのような所得区分の世帯に交付されているのか浜松市では把握されていないことが判明しました。全国的にも資格証明書交付世帯の受診率は低く受診抑制がおきています。
手遅れ死というような悲しい事件を起こさないためにも、交付されている世帯の所得区分をしっかりと把握すべきです。そして、三島市がすでに実施しているように所得200万円以下の世帯には資格証明書は発行しないなどの制度が、加入者の命と健康を守る上で重要だとかんがえます。
今回、応益割合を増やし、加入者への、特に低所得者へのさらなる負担を増やすことについて、誰もが安心して医療を受けられなくなる恐れのあることから、国民健康保険事業特別会計予算、および関連する、条例の一部改正には反対します。
続いて、平成17年度介護保険特別会計予算について述べます。
国では介護保険制度が始まって5年目となることから、大幅な制度そのものの見直しを行っています。検討されている内容は、もっぱら、介護への国の財政支出を抑制するために、高齢者のサービス利用を制限し、国民負担をいっそう増やすものになっています。
抜本的な改正をするのであれば、これまでの介護保険の制度がどうであったのか、利用状況を検証し、見直すべき課題を整理しなくてはなりません。
第1に利用料の負担が重く、介護認定を受けても、サービスを受ける量の制約がおきています。安心して介護を受けるために、どれだけのサービスが必要かということより、高齢者がいくら払えるかでサービスを決めています。
浜松市でもサービスの支給限度額に対する利用率は平成15年度で47%にとどまり、サービスを受ける側が制限していることがわかります。利用料についても減免制度をつくり、低所得者も安心してサービスが利用できるようにすることが求められています。
第2に、保険料の改定です。今回第1号被保険者の保険料は変わりませんが、国保加入者の第2号被保険者には介護納付金の値上げがありました。応益割合が値上げされ、低所得者にとっては国保料の値上げとあわせ二重の負担になっています。
第3に施設不足もたいへん深刻になっています。全国では、特養ホームの待機者が32万人となっており、浜松市でも平成16年8月の時点で957人もの方が入所を待っています。
こうした介護保険の構造的欠陥ともいえる問題をただし、高齢者が必要なサービスを受けられるようにしていくことこそ、今回の改訂で求められるものですが、国の負担の削減と国民への負担増ばかりが取り上げられています。
国が改革の概要として掲げているものの中に、平成17年10月施行というものがあります。在宅と、施設の利用者負担の公平性の面から、ショートステーを含む介護保険3施設の居住費用や食費を保険の対象からはずすというものです。所得段階に応じ上限額が定められていますが、わずかばかりの年金受給者では負担能力をはるかに超える金額になり、どのように対処していくのか本人はもとより、介護を支える家族にとっても大変な問題になってくると思われます。
本市では、合併により、介護保険料の減免制度は住民の負担の少ないほうに調整されるようになりました。こうした内容を、広く市民に周知し、15年度の減免制度利用者65人金額で77万7600円という少なさを改め、減免対象者はすべて減免して少しでも負担の軽減をはかるべきと考えます。
今回、国保料の値上げにあわせて、介護納付金の値上げがされることから、本議案には反対します。
最後に第41号議案浜松市小型自動車競走事業特別会計予算についてです。
本議会の平成16年度補正予算でも述べましたように、どのような手立てをつくしても財政状況が回復されないと見込まれるこの事業は一日も早く、撤退の準備をすべき時期にきていることから、本予算には反対をします。
以上、4つの議案に反対して討論を終わります。