2006年6月30日

平成18年6月議会 条例改正についての反対討論      小黒啓子

 私は日本共産党浜松市議団を代表いたしまして、
 第106号議案浜松市水泳場条例の一部改正について、
 第107号議案浜松市B&G海洋センター条例の一部改正について、
 第109号議案浜松市税条例の一部改正について、
 第114号議案浜松市農村環境改善センター条例の一部改正について、
 第116号議案浜松市都市公園条例の一部改正について、そして、
 第121号議案浜松市浜北温泉あらたまの湯条例の制定について
反対の立場から討論を行います。
 なお第109号議案浜松市税条例以外は関連がありますので、合わせて行います。

 さて、第107号議案、第114号議案、第116号議案、第121号議案はそれぞれの公の施設に対して、指定管理者制度を導入し、公募で利用料金制をとるようにする、という条例の一部改正です。

 また第106号議案はすでに指定管理者制度に適用していた浜北温水プールに新たに利用料金制を導入しようというものです。

 指定管理者制度の導入によって、公の施設の管理・運営を市が指定する事業者が行い、自治体の業務を代行できるようになったわけですが、対象となる事業者は営利を目的とする民間企業にも拡大されることになりました。
 
 この制度は、財界の強力な要請を背景に規制緩和、公務の市場開放策の一環として制度化され、何十兆円ともいわれる公務の市場開放を促進し、「管制市場」として民間事業者にビジネスチャンスを与えるものになっています。

 総務省の通知では、「事業計画の内容が、施設の効用を最大限に発揮するとともに、管理経費の削減が図られるものであること」と明記されているように、今回の指定管理者制度を導入する目的は、経費節減と効率性に重点が置かれています。
 
 公の施設の管理運営を、利潤追求を目的とする民間企業にゆだねると「住民の福祉の増進をはかる」という「公の施設」本来の設置目的にそった住民の諸権利の保障や、自治体の責任の後退につながるおそれもあることから、改めて「今、何故『公の施設』なのか」「これまで、自治体の労働者が担ってきた意味は何なのか」「本当に利用者・住民のニーズに応えられているか」など、公の施設そのものの意味と役割を利用者・住民と一緒になって検証しなければなりません。
 
 また、「公の施設」の利用料は、設置の趣旨からして低廉あるいは無料であることが前提ですが、この制度では、設置者である自治体の承認の範囲内で指定管理者が利用料をきめることができ、そこには「経営努力」「成功報酬」という名による利潤の確保も予定されています。その結果、職員の非常勤・パート化・低賃金化によるサービスの質の低下や、継続性、安定性、専門性の低下も心配されます。

 そこで、私どもはこの制度が導入されることによって、住民へのサービスの低下と、住民の負担増の可能性がないかを条例の賛否の基準としました。

 公募ではなく従来の管理者であれば住民サービスは変わらず提供でき、利用料金制を導入しなければ今以上の住民への負担増はないという判断から、指定管理者制度の導入にあたっては、公募をして、利用料金制をとるという5つの本条例の改正案には反対をいたします。

 続いて第109号議案「浜松市税条例の一部改正について」の反対理由を申し上げます。

 この条例は国の地方税法の改正が本年3月27日に国会で可決したことをふまえて改正されるものでありますが、明らかに市民のみなさんにとって増税になることから賛成することはできません。
 
 ご存知のとおり、昨年の地方税法の改正により、定率減税の見直しが行われました。

 その結果、これまで、住民税で15%だった減税率が昨年度は7・5%となり、そして今回はこれがゼロ%、つまり廃止されることになりました。

 所得税と住民税の定率減税は、平成11年に前年の経済成長率がマイナスとなるなど、当時の厳しい経済状況に配慮して、「経済活動の回復に資する」ための税制改正の一部として導入されました。「恒久的減税」とすることで、国民の可処分所得を増やして、家計消費を向上させる目的をもった制度でした。
 
 今回の定率減税の廃止によって浜松市では昨年度と今年度の2年間に渡って、38万人の納税義務者全員に影響し、半減で約20億円、そして全廃でさらに20億円の増収になるということであり、市民には大変大きな負担となります。

 定率減税の導入と合わせて引き下げられた大企業の法人税には手をつけようとせず、手をつけやすい庶民増税からというやり方に大きな批判の声が上がっています。

 今月中旬から浜松市の住民税の通知が送付されています。その内容を見た市民から昨年度の住民税と比較して、大変おおきな増税となっていることから、何かのまちがいではないかと問い合わせが殺到しました。

 6月19日から22日までの4日間で、市民税課の8本の電話が鳴りやまず、電話で1200件、来庁された方が250件、合わせて1450件の問い合わせがありました。

 昨年の税制改正で老年者控除の廃止や高齢者の非課税限度額の廃止、公的年金の控除額の縮減、定率減税の半減などで大変大きな増税となり、今回の定率減税の廃止でさらに負担が増えることになります。

 このように市民にとって大きな負担増となる、住民税の定率減税の廃止には反対をします。

 

(2006/7/5up)


   

平成18年6月議会 条例改正についての反対討論