第391号議案  平成17年度 浜松市 一般会計補正予算(第6号)
 第393号議案   平成17年度浜松市介護保険事業特別会計補正予算(第2号)について反対討論

                         2005年10月3日

                            小黒啓子

 私は、日本共産党浜松市議団を代表いたしまして、第391号議案平成17年度浜松市一般会計補正予算 第6号、ならびに第393号議案平成17年度浜松市介護保険事業特別会計補正予算 第2号について反対の理由を述べ討論いたします。この二つの議案は関連がありますので合わせて行います。

 さて、今回の介護保険「見直し」法案は「介護への国の財政支出を抑制する」という発想から改定されているために、高齢者の生活保障どころか、「いのち」の保障をも、おびやかすものであることから、多くの国民が反対の声をあげていました。しかし、それにもかかわらず、先の国会で強行採決をされてしまいまあした。「どのようなサービスをしたら、その人の状態が改善し、それにはどれだけのコストがいるのか・・・・」という本来の考え方から大きくはずれとにかく国庫の支出削減を目的に、給付削減と利用者負担増ばかりを押しつける内容は改革の名に値するものではありません。

 改悪の中身は大きく分けて@「予防給付新設」による介護サービス利用の制限A居住費や食費の自己負担化B地域包括支援センター創設による自治体の保健機能の縮減などがあります。厚労省は今回の法改定で、居住費・食費の全額自己負担化で4千億円、施設整備費の見直しで1千億円、地域支援事業の創設で1千億円、「新予防給付」の導入で1千億円、総計7千億円もの給付削減になる試算を示しています。給付削減はそのまま利用者の負担増につながります。

 すでに今月1日から、生活の場である「特別養護老人ホーム」、リハビリ中心の「老人保健施設」、医療ケアを受ける「介護療養型医療施設」の3施設の施設利用者の居住費と食費が原則自己負担になりました。また、在宅サービスに欠かせないショートステーの滞在費・食費、そしてデーサービス・デーケアーの食費も全額自己負担となりました。法の成立から わずか4ヶ月で準備も十分整わないままの実施となり、大幅な負担増に利用者から、「施設にいられなくなる」「負担が重くて、これまでのサービスを受けられなくなる」と不安の声があがるとともに、混乱が起きています。

 具体的にどれぐらいの負担増になるのかを厚労省の示すモデルケースで見てみますと、住民税課税世帯で特別養護老人ホームの相部屋の場合、食費がこれまでの月2万6千円から4万2千円に上がり、居住費が負担ゼロから月1万円に上がります。通常の1割負担と合わせた合計負担額は今までの56千円から81千円と25千円の引き上げになります。年間30万円の負担増です。
 全室個室の特養ホームの場合の負担増は、月約
3万円に、これまで居住費の負担がゼロだった従来型個室は新たな居住費・食費負担と1割負担を合わせるとなんと、月48千円もの大幅な負担増となります。

 政府は一定の負担上限を設けたことで、「低所得者には配慮をし、入居に支障が無いようにしている」と言っていますが、年金が月7万円で特養ホームの準個室に入居している高齢者の場合、利用料は月8万5千円で年金額をも超えることになります。とても低所得者に配慮とは到底言えない負担増になってきます。

 私の所にも療養型の医療施設に母親を預けている方から、「8月分の利用料を支払った時に10月から4万円上がりますと書かれた紙1枚をもらっただけで、詳しい説明もされなかった、そんなに上がるのではもう、施設に預けられなくなる」と相談が寄せられています。
 また、老健に母親を入所させているご夫婦からは、「施設から3万円近く上がるといわれ、年金がわずかな者にもこんな負担がかかるのか」と相談がありました。施設から低所得者に対する軽減措置が説明されていない様子でした。
 今でも本市の介護保険課の窓口には一日20人、9月から400件を越える市民からの質問や、苦情が殺到しています。このままでは
10月分の利用料を支払う11月にはかなりの混乱が起こりうると考えられます。

 実際に大きな経済的負担が家族にかかって、施設から在宅にもどって介護することになっても、厳しい労働環境から家族介護が補償される高齢者は少なく、頼る家族がない独居の方や、老老世帯が増加する中で、行き先の無い高齢者が増加することも予想されます。

 通所サービスの食費の自己負担については、軽減措置はなく低所得者も含め負担増が押し付けられます。このことによって、利用抑制がおこり、在宅高齢者の栄養状態を乏しくすることや、通所による外出の機会をうばい、利用者によっては入浴による身体の清潔にも影響が出ることが予測されます。こうした中で、利用者がサービスを控えなくていいように、独自の負担軽減制度を創設する自治体が生まれています。

 東京都千代田区ではデイサ−ビス利用者の食費と、施設入所者の一部の食費・居住費を補助します。
 荒川区
でも自己負担が増えることで、通所の利用が減ることがないよう、非課税世帯の通所者約1000人に食事代の25%を補助することになりました。
 また、
長野県松本市でも独自の負担軽減制度をつくり、利用者に喜ばれています。  
 9月26日に日本共産党国会議員団が厚労省に緊急申し入れを行った際に、尾辻厚労相は「必要な介護を受けられない、ということがあってはならない」と述べ、また地方自治体が利用者負担の軽減措置を行うことについては、「国が地方自治体にペナルティーを科すなどの干渉をすることは全く考えていない」と述べています。

 住民にとって一番身近な存在である地方自治体が、国の責任放棄に横並びで住民に負担を押し付けるのではなく、施設から退所を余儀なくされたり、通所サービスの利用を減らすなどの被害を食い止めるための施策を行なうことは当然であり、本市においても早急に実態を調査し、独自の負担軽減措置を創設する必要があると考えます。

 本市の今回の補正予算では、保険給付費が大きく減額補正をされました。
 低所得者の居住費・食費についてはあまりにも負担が大きくなることから、利用者本人が市に申請して、「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けてから施設に「補足給付」の適用が受けられるようになります。
 そのための補正額が9億4346万円計上されています。
 しかし、施設介護サービス給付費は14億3833万円と大幅な減額補正になっており、その差額の
5億円近くがサービス利用者の負担増になってきます。

 以上のことから、施設入所者をはじめ、通所サービスを受けている高齢者に、多大な負担を強いることになる介護保険事業特別会計補正予算第2号及び、介護保険事業への繰り出金が減額になっている一般会計補正予算第6号と合わせ反対をいたします。 以上で私の討論を終わります。
  (2005/10/5up)

(2005/6/22up)


   

2005年9月議会 一般会計補正予算と
介護保険事業特別会計に反対討論