ああ! マリンカヌー

06/11/25

パドルよ　嘆くな
パドルよ　微笑め
陸界の　雑事喧騒は
すでに
遠く彼方に　霞んだ

波と戯れ　風と唄い
鳥と語らい　魚と遊び
潮騒を聴き　島影にまどろみ
無心に漕ぎ　無心に憩え

光る海　輝く雲　蘇る魂
いつまでも　どこまでも
心の赴くままに
ああ! マリンドリーム

その頃　カナディアンカヌーは
雑誌の写真で
稀に見かける　程度だった。
当時私は　
人との狭間で　疲れ果てていた
そして
開放された　海原と
カナディアンカヌーの　自由さに
憧れていた。

ある日　奇妙な舟を見つけた。
舷の低い
キール付きの　平底舟だった。
それは　どう見ても
ローボートと
カナディアンカヌーと
川舟の　キメラだった。
しかし私は
躊躇なくそれを　購入した。

軽くて　強靭
直進性と　安定性
期待通りの　舟だった。
以来　四半世紀
一度も　転覆せず
人生を　伴に楽しみ
心を　癒しつづけてくれた。
マリンドリーム号は
傷だらけに　なりつつ
還暦を過ぎた　今も
健在だ。

私が　カナディアンカヌーに　
乗り始めた頃
海で乗っている人は　いなかった
今　海でカヌーと言えば
シーカヤックを　連想するだろう。
だから私は
マリンカヌーと　呼ぶことにした。