IGMA Guild School 2001
スクール8日目(クラス最終日)
卒業セレモニー
さて、バタバタと終わったクラスだったけれど今夜は卒業バンケットと卒業式。
部屋に帰ってシャワーを浴びて着替えて最後の出陣。
すでにダイニングの隣の部屋では卒業生の作品が一堂に展示されている。
やはりクラスによっては誰もフィニッシュしていない所がいくつもあった。
アラン先生の私達のクラスは案の定アリソンの作品だけしか展示されてなかったが、別の24時間コースの「メタルゲート」はけっこうフィニッシャーがいた。ナンシー先生の家具も24時間コースのイス(写真)はみな完成しているようにみえた。
中級以上のレベルの家具クラスはほとんど皆フィニッシュしているのはさすがだ
ちょうど謎の物体のところでスー先生に会ったので(これは先生のクラスではないが)、何の機械なのかを聞くことができた。「これはリンカといってここにこうやって糸をはさんで、フリンジ(縁かざり)などを作るのよ」と教えてくれた。
オープンハウスで見逃したので最後に謎が解けてよかった。これは組み紐の横組みたいなもので、日本では見たことのないものだった。
48時間コースでルームボックスを作った人から、36時間の木工、24時間のドール、12時間の小物まで全部で40あまりのクラスがあり、それぞれ、完成や未完成のプロジェクト最終品が並べられている。この6日間の皆の苦労がしのばれる。
ショーなどと違って、こういう中途作品を見るのはとても親近感がわく。今もどこかで、こうして迷いながらもミニチュアを作っている人がたくさんいるわけだ。ひとつづつ段階を踏めば、難しそうにみえるミニチュアも作れないことはない。そんな希望もわいてくる。
ちなみにIGMAギルドスクールではこの20年に503プロジェクト(クラス)があったそうだ。
そして20年間で食されたロブスターは3470尾、スカラシップは56人、参加は国内38州、海外9ヶ国とこのギルドスクールはますますのご発展だ。一度参加すると、まるで家族のようになって毎年同窓会のように輪が広がっていくのだ。
さて、カクテルタイムはまだ明るいダイニング外のパティオにて・・・・
この時間、聞かれる質問は、「どうだった?」「来年も来るでしょ?」の2つだけになるが、25万円以上になる出費は家賃の3か月分か。(婚約指輪と一緒ね。アッあれはお給料か) 「ちょっとわからないけど、誰か他のクラブのメンバーが来るかもね」といってかわした。
ハワイからここまでは距離的にも経済的にもつらいものがある。楽しいとは思うが、同額の投資でミニチュアが山ほど買えるという考えも天秤の片方に乗っかっているしね。
思えば、英語ができないわりにはそんなに緊張しないで楽しめたのは、勝手知ったるミニチュアワールドだったから。同じ趣味でつながっているというのは、自己紹介なしで始まったクラスのように最初の壁がないせい。
それから、けっこう大人が多いというのも重要な要素かもしれない。50歳代前後の人たちはそれだけで人生経験が豊かなのだから、列車に乗り合わせた知らない人同士の「おミカンいかが状態」ですぐ溶け込める。私もそれだけ年をとったということかもしれない。
20周年記念特製ケーキがMMAからプレゼント
さて、ディナーが始まる。私はすばやくスーザンを見つけた。「あら、探してたのよ。どこにいたの?」と言われさっそく、テーブルにまぜてもらう。最後のディナーはスーザンと食べたかった。気がつくとこのテーブルはすごいメンツで、スーザン夫妻と、家具つくりの巨匠ビガーズ夫妻。この人たちはきちっとした雰囲気でイギリス人かと思ったほど。
同じく家具の女流職人リンダ、この先生は入学以来ずーと気になっていたので同席できるとは光栄。彼女は多分ギリシア人だと思うのだけウエーブのかかった黒い髪とギリシア人特有の目鼻立ちで、まるで地中海から引き上げられた古代の壷に描かれている横顔の絵を思い起こさせていた。(こころひそかに「壷絵の人」と呼んでいた)
隣のジェームスも家具の巨匠でこの人メル・ブルックスによく似ていて、ニコっと笑ったところがすごくオチャメ爺になる。(スーザンは今回この人のクラスもとっていた。)いかにもアーティストのカップルといった感じで結婚してはいないがラブラブのようだ。
ビガーズ夫妻 リンダとジェームス
みな50歳以上の落ち着いた方々で知らない人がみたらロータリークラブかマスタークラブの会合みたい。私だけが異色。
スーザンのダンナが会話を盛り上げるが、このダイニングは設計がひどく、隣の人との会話さえ聞こえない。
私はビガーズ夫人の隣にいたのだけど、夫人は全くミニチュアに興味がないとのことだ。でもその気持ちよくわかる。私も夫がテニス狂で私はテニス未亡人とよばれていたから。バンケットもデザートタイムを迎え、バーバラが今回の総括をして関係者をねぎらう。このMMAのダイニングにいる調理・給仕スタッフにも皆スタンディングオベーションで「ありがとう」の気持ちを込めて拍手を送った。
食事が終わって各自、自作品を引き取るのと、卒業証書を受け取るのでしばし展示ルームはごった返す。
私も各先生から証書をもらい握手でお別れのあいさつ。
私も3つのクラスの卒業証書をいただく あちこちで簡略授与式
地下では卒業パーティーが始まるようだが、荷物のパッキングがあるので一旦部屋に戻る。ホット一息。安心感と充実感といよいよ帰宅のワクワク感が混ざって少し興奮。パーティー会場からダンスミュージックが部屋まで聞こえてくる。とにかくパッキングだ。すでにスーザンの荷物はなく、人にあげられるものをより分けながらパッキング開始。
明日は7:30にシャトルが出るので、とにかく苦手な片づけを。マリーが来てパーティーに行こうと誘われたが、パッキングが終わったらね。と言って行ってもらう。彼女もこれが最初で最後のギルドスクールなので目一杯楽しみたい様子。
帰りは手引きカートにツールを一式入れて、セキュリティーを突破する予定。預け入れ荷物はなくなってもいいように洋服と電気スタンド。電気スタンドは”持って来たほうがよい物リスト”に入っていたが結局使わなかった。ショルダーバックには身の回りの小物とノート。帰りの飛行機の中で9日分の原稿をまとめる予定。
あれやこれやと終わったころにマリーが戻ってきた。 「どうだった?」と聞くとそんなに人は集まっていなかったし、うるさくて話ができなかったという。彼女はここにもう1泊するので荷造りには焦らなくてもいいようだ。
机の上にスーザンからのメッセージ。ネイティブの筆記体は判読不可能だけど書いてあることは何となくわかる。他の部屋の噂を聞く限り、今回私はルームメイトに恵まれてよかったと感謝するばかり。
空になったスーザンのベットの上にボックスとカートとショルダーバックに明日の着替え。机の上もがら〜んとなってちょっとさびしい。パーティー会場の音楽もやんで、空にはカシオペアが・・・到着1日目に見たのと同じ風景。
あれから8日の時が経ち、たくさんの思い出が作り出された。
さらばギルドスクール。さらばキャスティーン。
皆の寄せ書き