第15節 女の戦い! 三つ巴(みつどもえ)のプライド

(画面)宇宙空間を航行しているガトランティス哨戒艇(しょうかいてい),1隻。
(効果音)エンジン音。

(画面)哨戒艇ブリッジ内。レーダーパネルの光を浴びているレーダー士の表情。
レーダー士「・・・現在の航路維持。・・・進路方向へ交差する艦艇は見当たりません」

(画面)哨戒艇ブリッジ内。操縦管を握ったまま前を向いている操縦士。
(効果音)ブリッジ内機械音。
操縦士「・・・まもなくガトラン系へ入ります。0.1ガトランティスアワー」

(画面)ブリッジの中央に腕組みしているガトランティス戦士。軍帽をかぶり,上官用の軍服を着ている。

(画面)背中を向けている通信士。・・・振り返る。
通信士「・・・艦長。総督府へは,どのような報告をいたせばよろしいですか・・・?」

(画面)先ほどの上官戦士が顔を向ける。
艦長「・・・ラーゼラー長官へは,身元不明の侵入者を搬送していると伝えてくれ。女がふたりだ。正規軍には所属していないガトランティス籍の駆逐艦を拿捕(だほ)した旨(むね)を報告。ただいまより取り調べのため,オルカバーンへ護送するとな。受信はするなよ。あくまでも送信のみにせよ。そしてオルカバーンへは総督府に報告済みを申請。火急といえばポートハッチを開放するはずだ」

(画面)振り返っている通信士。
通信士「了解。・・・(背中を向ける)」

(画面)宇宙空間を航行しているガトランティス哨戒艇(しょうかいてい),1隻。
(効果音)エンジン音。

(画面)哨戒艇ブリッジ内。背中を向けている哨戒艇艦長。・・・ふと,こちらへ向けて振り返る。
(効果音)ブリッジ内機械音。
艦長「・・・これで,よろしいでしょうか?」
(女性の声)・・・そうね。

(画面)コンソールボックスの上で絡み合っている美しい両指。
(女性の声)・・・ふふふ。上出来。とってもいい子よ。艦長・・・。

(画面)うれしそうに微笑む艦長。

(画面)同じように恍惚(こうこつ)の表情で振り返っている操縦士。通信士。ブリッジスタッフたち。

(画面)艦長席で優越の表情を浮かべているパメラ。後方にはビリュー・ルーが立っている。
パメラ「・・・久しぶりのガトラン系だわ。ガトランティスの男がたくさんいるわよ。楽しみ。でもいい男たちは,みんな地球へ行っちゃっているから,ちょっと寂しいかも・・・。(微笑)」
ビリュー「(パメラへ)・・・ですが,肝心のオルカバーンは,どのような反応を示すでしょうか? パメラ様。あそこには女戦士も多数います。油断はできません」

(画面)微笑するパメラのアップ。
パメラ「・・・大丈夫よ。ビリュー・ルー。極悪囚人を収容するオルカバーン刑務所には当たり前のように男が圧倒的に多いわ。女なんか,ほんの少数。しかも男の心を射止めることもできないような役立たずのクズばかり。みんなオルカバーンの男たちに任せてしまいましょう。多勢に無勢。腕力にも劣るクズたちに一体何が出来るっていうの? あそこにはスターシアがいるのよ。ビリュー・ルー。分かるでしょう? 私にはそれが一番重要なの。多少の無理は承知の上。総督府に感づかれる前に用件を片付けなくっちゃ。ふふふ」

(画面)宇宙空間を遠ざかって行くガトランティス哨戒艇(しょうかいてい),1隻。
(効果音)エンジン音。

(画面)宇宙空間に浮かぶ惑星ガトランティス。

(画面)夜空に光の放射を放っているオルカバーン刑務所の全容。

(画面)ガラススクリーンの向こうで,仁王立ちのままに青いこん棒をたくましい左腕で何回も受け止めているサエラ・ド・ラーゼラー。
サエラ「・・・それにしても驚かせてもらったぞ! スターシア! イスカンダルを一歩も出たことのない箱入り娘の女王様が,選りにも選ってまさか我が領域へ涼しい顔して,のこのこ入り込んでくるとはな! よもや観光旅行でもあるまい! 目的は何だ! 事と次第によってはお互いに不愉快な結果を招くことにもなりかねんぞ! さあ正直に白状してもらおうか!」

(画面)3652特別独房で椅子に座ったまま顔を上げているスターシア。
スターシア「先にあなたの名前を教えなさい。他国の人間をいきなり刑務所へ監禁してこのように上から威圧的に尋問を始めるとは,どういうつもりですか。星雲内の全ての国が注目しているのですよ。イスカンダルは永世中立国です。そしてガミラスはイスカンダルと平和同盟を結んでいる隣国。あなた方は星雲同盟協定を無視するつもりですか」

(画面)にやりと笑うサエラ。
サエラ「・・・なるほど。どうやら全くの箱入り娘というわけでもなさそうだな。ふふふ。いいだろう! 名乗ってやる! 私はガトランティス連邦,帝星ガトランティス大帝総督府最高司令長官,サエラ・ド・ラーゼラー! 我が夫,カイラス・ド・ラーゼラーは,第一次地球進行作戦の折(おり)にお前が建造に加担した地球軍の宇宙戦艦ヤマトに殺されている! 宇宙文明に未開の原始人に数世代先の先端技術を不用意に提供したイスカンダルは,すでにそれだけで永世中立の立場を放棄しているものと判断するが,どうだ!」

(画面)にらみつけているスターシア。
スターシア「それはガミラスとイスカンダルの問題です。あなたの言動はガトランティスの歪んだ解釈に基づく自己中心的な内政干渉(ないせいかんしょう)にすぎません。サエラ」

(画面)こん棒を握りしめるサエラ。
サエラ「内政干渉ではない! ガトランティスは,波動エネルギーを得た地球軍に多くの戦士を殺されている! これはすでにガトランティスと地球との問題になっているのだ! 内政干渉というのならば,それはもはやイスカンダルの方だ! スターシア!」

(画面)表情を変えないスターシア。
スターシア「ガトランティスの戦士たちが命を落としたのは,そもそもゾッド・アルド・ズォーダーが地球へ理不尽(りふじん)な侵略を行ったからです。地球人たちも多くの命を失っています。確かに双方の命の重さは同じですが,責任の重さは圧倒的にガトランティスにあります。あなたがたの組織には誰一人として,そのことに疑問を持つ者はいないのですか?」

(画面)再び,こん棒を左腕で受け止め始めるサエラ。
サエラ「ここで,おまえと議論するつもりはない! 質問をするのは私で,おまえは質問に応える立場だ,わきまえろ! ここへ来た目的は何かと訊いている! 言っておくが,おまえたちに非あれば必ずしも世論はおまえたちの味方にはならんぞ,スターシア!」

(画面)目を細めるスターシア。
スターシア「それは逆の場合も言えるのです。サエラ。このような密室で証言した内容に,いかばかりの意味があるでしょうか。大切なことはガトランティスがイスカンダルの船を拿捕(だほ)したという事です。これはあなた方の大帝の計らいで全開しているマゼラン・ネットにより星雲全域へ広まっているれっきとした事実です。私たちをこの刑務所へ監禁した段階で,すでにウーム連邦はガトランティスに対して疑問を持ち始めているはず。私の船から射出されたバイパス衛星は今頃,SOS信号を発しながらガトラン系外周を回遊しているでしょう。このまま私たちの存在が惑星ガトランティス内で消息を絶つような事にでもなれば,あなたの恐れる世論はどのような反応を示すと思いますか」

(画面)しばらく真顔で見つめるサエラ。・・・やがてにやりと笑みを浮かべる。
サエラ「・・・面白い。スターシア。バイパス衛星とはな。やはり間違いない。おまえは,はっきりとした目的を持ってガトラン系へ来たのだ」
(ここでサエラの襟の受信機の電子音が鳴る)
サエラ「(不機嫌そうに受信機へ)・・・何だ! 今は尋問中である! 通信は控えろと言ってあったはずだぞ! 所長!」

(画面)オルカバーン刑務所司令センター内部。通信マイクの前で両腕をついているウッダー所長。
(効果音)センター内機械音。
ウッダー「(恐縮)・・・申し訳ありません。司令。実は,オルカバーンへ哨戒艇が1隻接近してきておりまして,離発着ポートへの着陸を申請されていますが・・・」

(画面)司令センター内の巨大スクリーンの描写。そこには哨戒艇の姿が映し出されている。

(画面)尋問室のサエラ。まゆをひそめる。
サエラ「・・・哨戒艇・・・? いちいちそんなことで呼び出すな! ここはおまえの管轄(かんかつ)だろう! そちらで対処せよ!」

(画面)夜空に光放射しているオルカバーン刑務所をバードビュー。・・・画面左から入場してくる哨戒艇。
(効果音)エンジン音。(空気中)

(画面)刑務所司令センターのウッダー所長。
ウッダー「・・・それが,あの哨戒艇は大帝総督府のラーゼラー司令へ通信を送ってきたようなのです。司令が不在であることもオルカバーンにいることも極秘事項でしたし,通信も電信文によるものでしたので,総督府からの指示が出せなかったということで・・・」

(画面)夜空に光放射しているオルカバーン刑務所をバードビュー。・・・オルカバーン刑務所へ向けて遠ざかっていく哨戒艇。
(効果音)エンジン音。(空気中)

(画面)尋問室。ますます不機嫌な表情になるサエラ。

(画面)刑務所司令センターのウッダー所長。
ウッダー「・・・哨戒艇は,すでに司令には報告をしているとの旨(むね)でポートハッチ開放を要求してきています。電信文の内容によりますと”領域内への不法侵入の容疑で女囚人を護送中”とあります。いかがいたしましょうか」

(画面)尋問室。疑心暗鬼のサエラ。
サエラ「・・・女囚人?! 聞いていないぞ,そんなことは!」

(画面)3652特別独房内。顔を上げているスターシア。
スターシア「・・・女・・・囚人・・・?」

(画面)刑務所司令センターのウッダー所長。
ウッダー「・・・しかし,いつまでもこの状態を続けるわけにもいきませんが・・・」

(画面)尋問室のサエラ。
サエラ「(苦みばしった表情)・・・全く。不法侵入かなにかは知らないが,少し連邦内の監視体制が緩んでいるな! 地球進行作戦で手薄になった軍備など理由にならん! 軍事関係者たちへは厳しく通達せねばならんな! (通信機へ)・・・分かった! 話だけは聴く! ポート開放を指示! 着陸を許可しろ!」
(ウッダー所長の声)・・・了解しました。

(画面)オルカバーン刑務所のバードビュー。ドーム型のポートハッチが蓮(はす)の花状に開いていく様子。画面手前にはホバリングしている哨戒艇。
(効果音)エンジン音。ドーム作動音。

(画面)3652特別独房内。顔を上げているスターシア。
スターシア「・・・サエラ」

(画面)ガラススクリーンの向こう側で顔を向けるサエラ。

(画面)スターシア。
スターシア「・・・パメラ・ストリームというガトランティス人を知っていますか」

(画面)まゆをひそめるサエラ。
サエラ「パメラ・ストリーム? (思い当たって,あごを上げる)・・・ああ。あの尻軽女(しりがるおんな)か! 知っている! 私の一番嫌いなタイプの女だ! それがどうした!」

(画面)思案するスターシア。

(画面)前へ進み出るサエラ。
サエラ「何だ! それとも何か話す気にでもなったのか! スターシア!」

(画面)再び顔を上げるスターシア。
スターシア「・・・パメラ・ストリームは,なぜ正規軍ではないのですか」

(画面)けげんな表情へ変貌するサエラ。
サエラ「・・・おまえは何を言っているのだ? 質問をするのは私の方だとさっきも言っただろう! 第一なぜ,おまえがパメラ・ストリームを知っている!」

(画面)スターシア。
スターシア「殺されかけました」

(画面)目を丸くするサエラ。

(画面)下からサエラを威圧するように,にらみつけるスターシア。
スターシア「再び訊きます。・・・なぜパメラ・ストリームは正規軍ではないのですか? パメラはレック・アルド・ズォーダーと正規軍復帰の密約を交わしていると言っていました。復帰とはどういうことですか? 一度正規軍から外されているとも言っていましたが・・・?」

(画面)しばらく無言のサエラ。
サエラ「・・・何だと? あの女を正規軍に復帰・・・? はは。冗談ではない! あの女が連邦へ戻ってくるようなことになれば大変なことになる! 大帝閣下もそれは充分承知しているはずだ! 復帰はあり得ん! この期に及んで虚偽(きょぎ)の証言を語るか! スターシア!」

(画面)たたみかけるスターシア。
スターシア「大変なこととは何ですか。軍の機密はマゼランネットでは公開しないはずです。私の今の言葉が嘘ではないことは,あなたも,うすうす分かっているでしょう? 大変なことになるのであればレック・アルド・ズォーダーはなぜパメラと密約をかわしたのでしょう。正規軍復帰という甘い餌(えさ)を使ってパメラを謀って(たばかって)いるということですか」

(画面)にらみつけるサエラ。
サエラ「・・・スターシア! そもそも,おまえは何をしようとしていたのだ! パメラ・ストリームと接触するようなことをしていたのか!」

(画面)意を得たスターシア。
スターシア「・・・私の言葉を信じましたね。サエラ。それならば先に私の質問に応えなさい。もしかするとあなたが思っているよりも大事な事かも知れないのです。(立ち上がる)・・・サエラ。もう一度訊きます。・・・なぜ,パメラは正規軍ではないのですか?」

(画面)オルカバーン刑務所の全開したポートハッチへ進入していく哨戒艇。
(効果音)エンジン音。

(画面)司令センター内部。椅子へ腰かけるウッダー所長。
(効果音)センター内機械音。

(画面)前へ進み出るスタッフ。
スタッフ「・・・哨戒艇,ポート進入確認しました。滑走路へ誘導します」

(画面)ため息をつくウッダー所長。
ウッダー「・・・全く。今日は何て日だ・・・。(スタッフへ)ポート閉鎖を指示。スタッフと警備兵を滑走路へ向かわせろ。2623独房への尋問エリアを準備させてくれ」

(画面)右手を上げるスタッフ。
スタッフ「・・・了解しました」

(画面)オルカバーン刑務所の全開したポートハッチへ隠れていく哨戒艇。閉まり始めるポートハッチ。
(効果音)エンジン音。ポートハッチ閉鎖音。

(画面)3652特別独房内で立ち上がっているスターシア。

(画面)ガラススクリーンの向こう側で仁王立ちのサエラ。

(画面)スターシアのアップ。
スターシア「・・・サエラ」

(画面)サエラのアップ。

(画面)目を細めるスターシア。
スターシア「・・・ここには・・・何人の男性がいるのですか?」

(画面)サエラのアップ。

(画面)滑走路内を手前へ直進してくる哨戒艇。
(効果音)エンジン音。

(画面)目を細めるサエラ。
サエラ「・・・今,ここに来ている哨戒艇にパメラが乗っているというのか! スターシア!」

(画面)スターシアの全体像。
スターシア「私を追っているのです。私の命を狙っているのです」

(画面)嘲笑を浮かべるサエラ。
サエラ「馬鹿な! パメラ・ストリームは今,惑星ビーメラへ幽閉されている! 直接,手を下した私が言っているのだ! あの女にはビーメラを飛び立つ船さえ1隻も持っていなかったはずだ!」

(画面)椅子に腰かけるスターシア。
スターシア「・・・何ということですか。あなたがたの偉大な大帝閣下は,総督府長官のあなたにまで,このことを伏せていたというのですか?」

(画面)まゆを引きつらせるサエラ。

(画面)見上げているスターシア。
スターシア「あなたの言う通りです。サエラ。確かに今は議論などしている猶予などありません。直ちに刑務所全体に警戒発令を布きなさい。こうしている間にも,ここの男性たちは汚染されていくでしょう。急がなければなりません」

(画面)さすがに思案するサエラ。

(画面)見上げているスターシア。
スターシア「サエラ。パメラを幽閉したあなたならば,そのあなたが一番,彼女の恐ろしさを承知しているはずです。しかもここは外の世界と遮断されている場所。もはや哨戒艇の着陸したポートへの道は閉ざされているでしょう。この段階で私たちはすでに,この塀の中に完全に閉じ込められていると考えなくてはなりません」

(画面)にらみつけているサエラ。
サエラ「・・・スターシア。これはおまえの策略なのか! この私を謀ろう(たばかろう)としているのか!」

(画面)見上げているスターシア。
スターシア「回答は必要ありません。なぜならすでに答えはでているからです」

(画面)にらみつけているサエラ。

(画面)見上げているスターシア。

(画面)再び思案するサエラ。
サエラ「(顔を向ける)・・・スターシア。そもそもなぜ,おまえはその尻軽女に命を狙われているのだ?」

(画面)複雑な表情のスターシア。
スターシア「・・・私には理解できない理由です。恐らく,あなたにもです」

(画面)しばらく,にらみつけているサエラ。・・・おもむろに襟の通信機へ顔を寄せる。
(効果音)電子音。
サエラ「所長! 聞こえるか!」
(ウッダー所長の声)・・・はい。

(画面)刑務所司令センターのウッダー所長。
(効果音)センター内機械音。
(サエラの声)・・・今ここへ入ってきた哨戒艇で護送された女囚人の名前は分かるか!
ウッダー「いえ。まだ情報は入ってきておりません」
(サエラの声)・・・直ちに全部署へ警戒体制を発令しろ!
ウッダー「それはなぜですか? 司令」
(サエラの声)・・・そいつは危険人物だ! 刑務所内が汚染される危険性がある! 絶対に哨戒艇からその囚人を収監してはならぬ!
ウッダー「・・・いや。・・・それは無理です。司令。すでに哨戒艇はポート内に着陸しておりますし。もうとっくに囚人ふたりは刑務所内を護送されています。今から囚人たちを哨戒艇へ戻せと言われましても・・・。それに,司令。その囚人たちは,別にそう,危険でもなさそうですよ」

(画面)ガラススクリーンの向こうで顔を上げるサエラ。
(BGM)F−5

(画面)3652特別独房内で立ち上がるスターシア。
スターシア「・・・サエラ。予想以上に動きが早いようです。指揮系統トップを押さえられた以上,こちらも早急に手を打たなければなりません」

(画面)顔を向けるサエラ。

(画面)険しい表情のスターシア。
スターシア「刑務所内の女性職員たちを集結させなさい。分散させておくのは危険です。そして直ちにガミラスの男性12人を釈放するのです。彼らだけは,パメラの妖力に惑わされません。パメラは確かに私の命を狙っていますが,この事態を証言できうる人間たちをも全て抹殺しにかかるでしょう。・・・サエラ。この刑務所内勤務の女性職員の数は何人ですか」

(画面)絶句しているサエラ。
サエラ「(重い口)・・・ここは凶悪犯を収容する刑務所だ。女の数は制限されている。恐らく20人にも満たない」

(画面)唇を硬くするスターシア。
スターシア「・・・サエラ。敵はパメラだけではありません。刑務所職員の男性たちはもとより,警備兵,技術者,掃除夫にいたるまで全て敵です。しかも収容されている凶悪犯まで刑務所内に解き放たれるでしょう。ここには男性は何人いるのですか」

(画面)一時的にスターシアへの態度が麻痺しているサエラ。
サエラ「・・・総勢,5000人は下らないだろう」

(画面)気丈に立っているスターシア。
スターシア「・・・サエラ。彼らを食い止めることのできる場所はどこですか」

(画面)思案するサエラ。

(画面)スターシア。
スターシア「・・・外部と連絡がとれる一番近い施設はどこですか」

(画面)思案するサエラ。

(画面)スターシア。
スターシア「・・・サエラ!」

(画面)顔を向けるサエラ。
サエラ「待て! 今,考えているのだ!」

(画面)刑務所内通路。整列して銃を肩にかけている警備兵の集団が手前に歩いている。
(効果音)複数の足音。
(BGM)F−5

(画面)巨大な凶悪そうな大男が開け放たれたスライドドアから出てくる様子。

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更新予定