ツメタガイ掘り   アサリの潮汁    

 ツメタガイは巻き貝の一種です。浜名湖では湖南一帯に生息しアサリを捕食しています。アサリの漁獲量が減少している中で、ツメタガイを害貝として撲滅しようとする動きが出てきています。当初、アサリの漁獲量の減少は乱獲が原因と見られ、採貝禁止区域を広げる保護対策が取られてきました。しかし、一向に漁獲量の減少に歯止めが掛かりません。県の水産試験場等の調査によってツメタガイによる食害だと判明しました。
 ツメタガイは夏場に産卵します。そのつもりで湖底を見てみると砂茶碗と呼ばれる卵塊が数え切れない程見付かります。大量に産まれてくるツメタガイはアサリの栽培漁業にとって大敵となります。年に200個程のアサリを食べてしまいますから、湖南のアサリの4割程に被害が及んでいると見られます。アサリとツメタガイの個体数の割合を分かり易くした右上の写真を見て下さい。アサリ掘りをしているとその傍からツメタガイが次々に見付かるのです。漁業者が嘆くのも分かります。
 湖底にはアサリの殻が無数に散らばっています。ツメタガイがアサリを食べた跡です。ツメタガイはアサリを包み込む様に抱き抱えるとアサリの蝶番の近くに穴を明けて食べてしまいます。アサリ掘りをしていてツルリとした殻に触ったらほぼ間違いなくツメタガイです。そっと持ち上げるとアサリを抱え込んで揚がってきます。そのアサリをよく見ると明けられたばかりの小さな穴が見付かります。ツメタガイは分泌した強酸でアサリに穴を明けて、そこから吻を入れアサリの中身を食べていたのです。
 ツメタガイは肉食の貝らしく結構活発に動きます。塩ゆで時には急速に動いて大きく潮を吹きますのでご用心。ゆで上がれば身がスルリと抜けてきますので後の料理は至って簡単です。足の部分は硬いだけで食しても美味しくありませんが、その他の所はサザエと同じで結構美味しく食べられます。写真左の様にみりん醤油で煮詰めれば佃煮の出来上がり、お父さんの酒のつまみにはもってこいの珍味です。

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