3番澪筋20〜22番ポール         
 キビレ・クロダイハンターにとって忘れられない場所の3番澪筋20〜22番ポール間は、3・4月のノッコミ期を終えた7月前後の散開期に入って今年も裏切らない感動を釣り師に与え続けています。
 長い不況の中でサラリーマンはストレスが溜まりがち、ゆったりとした時を求めてこの20〜22番ポールへと向かいます。何処かで時折揚がる花火、暗夜に浮かぶぼーと光る竿先ライトは喫水ぎりぎりからの眺めにとってとても印象的で感傷的にさえします。漆黒の闇に抱かれ揺りかごのような湖上は、街の灯りを今や別世界とし日頃の疲れを癒し人間的な心を取り戻させます。裏切らない感動も必ずややってくると信じ、飽きることなく日付が変わるまでここで釣りに没頭します。
 のんびりとした湖上に比べて湖底では魚が忙しく餌付いて
いる様です。小魚が20分間隔で揚がります。時に竿先ライトを大きく揺らすお待ちかねのキビレやクロダイに巡り合うことがあります。取り込みに成功した時の感動は忘れられません。こうして20〜22番ポールは強く印象に残されます。型が欲しい時やポイントが絞れない時など、無意識の内に船をここに向けてしまいます。

 約束された釣果が出ているのにはそれなりの理由があります。
 まず、湖峡部の出口に当たっていることの地理的条件の良さを挙げることが出来ます。干満の度に湖内には4千万トンの新鮮な海水流れ込みますが、その6割が3番澪となって北上します。競艇場と大瀬に挟まれた湖狭部を抜けた10番ポール辺りでその流れは一気に広がり、広い瀬の上を緩やかになった潮が流れていきます。こうして適度になった潮通しは多様な魚種を集め、1年を通して絶え間なく釣り師を訪れさせる浜名湖きっての好ポイントとしています。
 次に、釣り場環境の良さを挙げることが出来ます。適度な深さは日の光を遮ってアオサやアマモの繁
茂を防ぎネガカリのないポイントとしています。湖底は古い貝殻と砂に覆われ地ムシや甲殻類・小魚が生息し中・大型の魚にとって恰好の給餌場所となっています。牡蠣棚・角建網も見られず広々とした釣り場は中ノ郷と並びます。
 上の海図から明らかな様にこのポイントの特徴は湖底の複雑な起伏です。同じ船のミヨシとトモとで釣果に大きな開きが出る所
以となっています。船頭泣かせのこのポイントを今回1時間ほど掛けて調査しました。湖底の状態を明らかにする本海図はまだまだ正確さを欠いて粗いものですが、湖底の状態をそれなりに表現することは出来ました。どうやら10番ポールから徐々に浅くなってきた瀬がこの辺りで人丈程の深さに落ち着き始めていることを読み取れます。目に付くのは中央水路の深度の激変です。10番ポール付近の亀の口から18番ポール付近の亀の渕まで大きくカケアガリを造ってきた中央水路は、22番ポール付近の奥カメでカケアガリをほぼ消滅させています。これらの湖底の複雑さが魚を集め、一年を通して安定した釣果を釣り師に与えている訳です。

 このポイントの難点は、冬の季節風や夏の流れ藻を遮るものが全く無いという点です。冬場のカレイ・セイゴ狙いでは写真の様な完全防寒が必要ですし、夏場のキビレ・クロダイ狙いでは、写真右中の様な流れ藻で潮止まり前後しか釣りをさせてもらえなくなります。あちこちに見られる写真右下の様な杭も難点となっています。角建網の名残かそれともアナゴ用の仕掛けでしょうか、ざっと数えただけで7本もあります。釣り人が目印に打ったと思われる竹竿も見られ水中に沈んでいます。慣れない内はまずめ時までにポイントを決めて投錨し、杭に関わるトラブルを防ぎます。

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