う〜ん                  周防元水


「う〜ん。」 どうにもならない運命のようなものに出くわした時、相手がでか過ぎこちらのスケールでは測れない様な時、思わず唸ってしまいます。素直になって、すいませんと降参をしてしまいます。
 人は通常なかなか降参しません。失敗をしでかした時なども、なかなか自分の非を認めようとはしません。ちょっとやそっとの事では「参りました。」とは言わないのです。プライドが高いのかと思えばそうではないのです。周りの姿が見えずに自分の醜さを惜しげもなく衆目にさらけ出してしまうのですから。仲間がとばっちりを食おうがお構いなし、お互い傷を負ってまでも決着を付けようとします。ま、畏れを感じる程の相手ではないということでしょうか。
 そう言えばこの私も長い間、なかなか降参してしまう様な事柄に出会っていません。楽しそうなことは沢山ありましたが、のめり込んでしまうような事はなかったのです。それがここ1週間程、ある事に夢中になっている自分に気が付きました。久し振りの気持ちの良い”降参”です。
鏡に写る自分の体はなぜ上下が反転しないのか。
左右は反転するのに何故上下は入れ換わらないのでしょう。テレビで放映された加山雄三と島田伸介の会談中に出てきた問題です。加山がヒントを言ったままでこの話はすぐ終わりましたが、それから一週間、私は大いに悩まされました。身の回りの事柄は、全て知り尽くしていると思い込んでいる、その足元をすくうようなこの手の問題は余り多くありません。大学で物理を専攻した加山らしい出題でした。常識を覆すようなスケールの大きさがあって思わず唸ってしまいます。

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