10の質問                     

1,自作パソコンは安いか?
 
結構自作派は、「自分で組み立てた方が安く出来る。」と強調します。本当でしょうか。組み上がったパソコンと同性能のパソコンとのバランスシートを作成し検証した上での発言ではないように感じるのですが。つまり、安くできたとの思い込みが激しいのではないかと少々思ってしまいます。
 皆さんも試しに自分の欲する性能のパソコンを紙上で組んでみて下さい(本HP「失策パソコン」〜パーツ選び〜を参照)。必ず目の飛び出る合計金額が弾き出される筈です。あれもこれもと良いパーツを組んでしまう傾向は初期の段階に必ず訪れます。私の場合、少々性能アップした2号機を組んでいたら、12万円位かなと踏んでいた経費が、実は18万程になっていました。ちょこちょこDOS/Vパーツ専門店に通っていたら、知らず知らずの内に沢山買い込んでいたようです。自室にある段ボールの中のレシートをかき集めて計算してみてやっと悟ったのですから、のんびりしたものです。
 安さを追求するのは自作パソコンの大きな楽しみなのですが、これは結構しんどい作業です。余程パソコンのハードウェアーに精通していないと、安物買いの銭失いになってしまったり、高価なおもちゃ作りになってしまったりします。

2,苦労だらけの自作パソコン?
 
適当な性能を搭載したパソコン作りを目指す過程で、難解なコンピューター用語の壁に突き当たります。まず、この壁を乗り越えなければ、自作パソコンの何たるかは見えてきません。ただ安いだけのパソコンならNIES製品で間に合うのに、自作の道にあえて入り込んだ訳ですからこれはやむを得ません。しかし、コンピューターに用いられている用語を理解するのは至難の技です。歴史の年号を覚える以上に大変なのです。専門用語をこれ程大胆に並べるのは、ファッション業界以上、やたら横文字がそれも略語で出てきます。とても言葉だけで覚えられるものではありません。例えば”CRT”これはブラウン管とかディスプレイと言えばよいものを、パソコン業界では敢えてCRTと略語で表しているのです。陰極線管の英語 Cathode Ray Tube の頭文字を取っているなど何処にもどの本にも書いてないのですから初めは何が何だか分からず手探りの状態になってしまいます。万事がこの調子ですか始末が悪いのです。まして、自作パソコンの部品は、海外の物が多く、殆どの物が英語での説明書きとなっています。これはもうお手上げ状態、何でこんな苦労をしてまで組み立てるのかと思わず自問してしまします。

3,激安パソコンは買いか?
 新聞の折り込みに、必ずと言っていい程”激安パソコン”等の文字が踊っています。小売店に聞けば結構これが売れていて、所謂マグネット商品(ある特定の期間だけ客を引き付けるだけ引き付け、より高価な物の販売を狙う目的で店頭に少数陳列される安価な商品)なのではなく、継続して入手販売している商品なのだそうです。値段は1セット(CRT、キーボード付き)で8万円を切るものもあります。この激安パソコンは買いでしょうか?
 店頭でパソコンを操作させてもらって何ら問題なく軽快に動作するのをみると、直ぐにでも買いたくなってしまいます。説明書きは例によって何が何だか分からない記号が並んでいる訳ですから、見てもしょうがないと諦めます。店員さんの説明にはただうなずくのみで頭の中は”激安パソコン”に支配され思考不能。この様な瞳孔が開いた状態でパソコンを購入してはいないでしょうか。否応なしに情報化の波が身近に押し寄せ、パソコン無しの人生は考えられなくなってきました。こんな時代、パソコンの展示品の品定めの有り様はどうするのがいいのでしょうか。何故激安なのか知りたくはありませんか。激安なりの性能のところがある筈です。そこをよく理解できていれば判断が付くでしょう。

4,本当に自作できるのか? 
 パソコンの自作は、高度化しつつある情報化社会に楽しみながら順応する一つの手段でもあります。そこには「体験から学ぶ」という過程が重要な要素になっています。体験学習にとって必要な”試行錯誤・失敗”は折り込み済みなのです。何か新しい初めての組み方に挑戦しようとすると簡単には出来ません。それこそ1つの課題を解決するのに1週間も長い時には1ヶ月もかかることがあります。しかし、それが楽しいのです。苦労する事やトラブルを恐れるのならばこの道に入ることはお薦めできません。失策の繰り返しが自作の面白さなのですから、1台位おシャカにしてもいい位の気持ちで取り組みましょう。
 「おいおい、そんなに難しいのか。」 大丈夫です。最小限のパーツでまず組みましょう。パソコンの規格はどんどん進化し、パソコン自体が機器を検出・割り当て・設定を自動的に行うようになってきています。不用意な操作による機器の破損への対応策も徐々にとられつつあります。様々な規格を調整・統合させパーツ類をコントロールするバイオスという基本システムがありますが、これさえ自動化が進んできています。初期設定の段階でトラブルの起こることは余りありません。安心して仕様書・説明書と首っ引きでまずは組んでいきます。日本語マニュアルが完備していれば1日位で終わる筈です。

5,相性問題はあるのか?
 多くの部品メーカーが凌ぎを削り開発した部品は山の様にあります。それらがバイオスを介して統合されて一つの働きをしていきます。その中に時としてうまく働かない部品が出てきます。そのパーツが本当に相性が悪くて働かないのか、それともその機器が損傷して働かないのか、それを判断するのはなかなか難しいものです。2台以上のパソコンで部品交換をしながら確かめる以外に手はありません。この手の情報は皆無に近く、組み上げていく上で発見するしかありせん。相性問題が発見されても小売店では部品交換には応じてくれません。この問題が気になるのなら、同一メーカーの部品で組み上げるか、長く人気を博している部品を選ぶかするとよいでしょう。

6,マザーボードはバルク品でもよいか?
 バルク品とは補償期間が1週間程と短く、取説もなく梱包もされていません。マザーボードは全てのボード類の基盤となるものですから、初手からバルク品を用いるのは危険が伴います。中には日本語版の取説が添付されているマザーボードも発売されているので、初めはこの種のものでじっくり取り組み、マザーボードの造りを体得したら、次回から安く性能の高いバルク品に移っていけばよいでしょう。

7,取説の指示通りに組めば出来るか? 
 基本的には取説の通りに組めば出来上がります。しかし、自作パソコンの魅力の一つに”低予算での組立”がある以上どうしても取説の付かないバルク品を多く用いることになります。しかも殆どがNIES製品ですから日本語での仕様ラベルは付いていません。リテール品を購入したとしても多くは英字での取説が添付されているのみです。プラモデルの様に分かり易いイラストも付いていません。慣れるまで四苦八苦します。初めは自作パソコン入門書等の購入をお薦めします。 

8,組み込み作業は簡単か?
 物理的な組み込み作業では、ケース・マザーボード・バックパネル・ドライブがネジでの締結に、ケーブル接続にはプラグ方式が用いられています。ネジによる締結は、インチ・ミリの両サイズがあるので、この確認を必ずしてから軽めに締め付けます。インチ山は粗く、ミリ山は細かくなっているのでオネジは一目で分かります。メネジはオネジを軽くねじ込んで確認します。ネジ山が合っていれば、ネジの長さも確認しておきます。ネジが長過ぎると締結できないばかりか機器を歪めてしまいます。ケーブル接続のプラグには様々な形があります。必ず何らかの形で差し込み方向を指示していますので、注意深く接続していきます。時として、メーカーにより向きが逆になっている場合もありますので要注意です。動作しない時には、まずこの接続ミスを疑います。

9,電子部品は破損し易いか? 
 
IC等は、ミクロン単位以下の極細配線を電子ビームでシリコン基盤上に写真技術を応用して描いたものですから、物理的衝撃に弱いと思いきや、以外と頑丈なのです。樹脂でがっちりと固められていますので壊れにくいのです。物理的衝撃に弱いのは回転機構部分を持つCD・HDD・FDD等です。電子部品での破損は異常電圧によるものがあります。雷や静電気による高電圧が回路を破壊します。雷による異常電圧予防にはコンセントやタップにガードとなる部品を取り付けておきます。静電気による異常電圧予防には、組み込み時にセーター等の静電気発生源を取り除くと共に、静電気を逃がしながらの作業が求められます。操作中の電源やコードの引き抜きは異常電圧を発生させ、データの破壊のみならず機器さえも破損させてしまいます。

10,高性能機を目指すべきか?
 
今もパソコンパーツは、技術的に進歩し続けており3〜6ヶ月で最新型が登場してきています。後で悔しい思いをしたくないのなら、将来を見越したパーツ選びをするべきでしょう。自作パソコンのよさの一つに、パーツを交換すれば求める最高の性能を引き出せるところがあります。近い将来(2000年には光ファイバー網の整備が電力会社の手により始められます)映像の取り込みが日常化してくれば、メモリーの大容量化が起こるだろうし、記憶媒体もDVD主流になっていくでしょう。ソフトウェアーの大規模化で、グラフィックボードも高性能化を余儀なくされ、CPUの内部周波数やメモリー等の外部周波数もより高くなっていきます。インターネットの高速・大容量通信化が実現、家庭内機器とパソコンとのLAN構築が進みます。留まるところを知らない電脳社会が訪れ始めています。無理をして高性能パーツを採用しても、じきにそれが別の物に取って代わられ旧型になるのだということを肝に銘じておくことが大切です。どの様なパソコンを目指すのか目的意識が求められます。

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