劇団RIN 第28回公演 平成純情伝――Can't reset LOVE――

―あらすじ―

 日常的な通勤風景、その中で起きたちょっとした痴漢事件。夢子と健治は、初めて言葉を交わす。ナンパ男健治は、たくみにウブな夢子にアピールし続け、ついにデートに誘うことに成功する。そんな二人を遠くから見守る哲学者椎名。
 車掌の山田は、女子大生かりんに片思い、片思いといえばホステス玲子も金子に片思い。女に相手にされずに三十歳を過ぎた片桐。その場限りの嘘をつきまくるOL真美、おじさん好きな高校生あゆみとサワ。オタク系銀行員五十嵐など……。

 ところで、健治とつきあいだした夢子には人にいえない秘密があった。金子と玲子にも誰も知らない過去があった。人は誰でもそんな秘密や嘘の一つや二つはもっている。それでも人は人を愛し、時に傷つき生きている。

 薬害エイズは、そんな平凡な人たちの間に起こった。


―公演より―
【1】
電車の中は無法地帯
【2】
健治は夢子とであう
 哲学者・椎名
「世の中は暗い。今や電車は戦場と同じだ」

 過去の栄光にすがる男・金子は元オリンピック強化選手だった。
「あと3年したら謹慎解けますから」

 健治は電車の中の無法をすてておけない。
 刑事のふりをして痴漢をおさえる。


【3】
片桐は女性に相手に
【4】
健治は、夢子と
されない
デートにこぎつける
ホステス玲子
「わたしがパブに勤めているの、知らなかったの? 愛の告白するんだったら、それくらいは調べておいてね」
 デートのじゃまをする電車内同人誌の会に怒れた健治。車掌に向かっていく。
「熱意だよ! 女もサッカーも熱意がなきゃ、だめなんだ。欲しかったら手に入れる、それだけだよ、人間なんて」
【5】
電車の中で定例会

 電車の中で痴話喧嘩

 金子の腕に抱きつくあゆみに玲子は女の意地をみせる。

あゆみ
「なにすんのよ邪魔しないで」

にらみ合う玲子とあゆみ。

 

【6】
かりんは車掌の気持ちを受けいれられない……
 
 
【7】
玲子の恋心に冷淡な金子

玲子「中学の時、私、見てたのよ――あなたが草薙の運動場で走る姿を。あこがれだったの……」

金子「行きます。もう僕に声かけないでください。僕だって昔のこと思い出すと辛いんです」


【8】
夢子の告白
 

夢子
「でも私、健治さんに嘘ついてるんです」

玲子
「嘘?……」

夢子
「私、エイズなんです」

 
 
金子
「誰だって辛い人にいえないことはあるんだよ! 自分だけが特別だなんて思うなよ。辛い過去があったら、愛は汚れるのか?  屈折した過去が、屈折した心をもってたら、愛は純粋じゃないのか? 病気だったら、ひとを好きになっちゃいけないのか?……ごめん、偉そうなこといって……」
【9】
不安
椎名「健治君とのデートが遅くなって、本当は薬を飲まなくちゃいけない時間なのに、飲めなかった。そのために、薬の効果がなくなった……」
 

玲子「大丈夫かしら、夢子さん」

金子「大丈夫ですよね?」

椎名「大丈夫と思いたい……」

玲子「誰もが発病するわけじゃないんでしょ?」

椎名「夢子さん、左手に包帯巻いてたよな」

金子「それが、発病のサインなんですか?」

 

【10】

 夢子の飛び込み自殺後……

健治「……あいつ、おかしいよ。きれいごとばっかいってさ。いつも俺に気を使って……自分のことより俺のこといつも考えて。そんなの、おかしいよ。そんなのただの格好つけだよ」

金子「違うよ。夢子ちゃんは、本当に健治君のことが好きだった……」

健治「きれいなままじゃ、生活していけねえよ!」

 
 

椎名「別に夢子ちゃんは、逃げたわけじゃないよ。ほんとうに健治君のことが好きだったんだ。認めてやろう、――人間にはわかっていても、戻れない愛ってのもある」

玲子「そうよ、女はいつだってCan't Reset LOVEだもの」

 

―幕―

 劇団RIN第28回公演『平成純情伝』―Can't reset Love―をごらんいただきまして、まことにありがとうございました!

 劇団RINは、これからもみなさまに楽しんでいただけるような芝居をつくってまいります。

 本日はほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました!

劇団RIN一同、心より感謝いたしております。
平成13年9月4日 劇団RIN