劇団RIN 第28回公演 平成純情伝――Can't reset LOVE――
―あらすじ―
日常的な通勤風景、その中で起きたちょっとした痴漢事件。夢子と健治は、初めて言葉を交わす。ナンパ男健治は、たくみにウブな夢子にアピールし続け、ついにデートに誘うことに成功する。そんな二人を遠くから見守る哲学者椎名。
車掌の山田は、女子大生かりんに片思い、片思いといえばホステス玲子も金子に片思い。女に相手にされずに三十歳を過ぎた片桐。その場限りの嘘をつきまくるOL真美、おじさん好きな高校生あゆみとサワ。オタク系銀行員五十嵐など……。
ところで、健治とつきあいだした夢子には人にいえない秘密があった。金子と玲子にも誰も知らない過去があった。人は誰でもそんな秘密や嘘の一つや二つはもっている。それでも人は人を愛し、時に傷つき生きている。
薬害エイズは、そんな平凡な人たちの間に起こった。
過去の栄光にすがる男・金子は元オリンピック強化選手だった。
「あと3年したら謹慎解けますから」
健治は電車の中の無法をすてておけない。
刑事のふりをして痴漢をおさえる。
電車の中で痴話喧嘩
金子の腕に抱きつくあゆみに玲子は女の意地をみせる。
あゆみ
「なにすんのよ邪魔しないで」
にらみ合う玲子とあゆみ。
玲子「中学の時、私、見てたのよ――あなたが草薙の運動場で走る姿を。あこがれだったの……」
金子「行きます。もう僕に声かけないでください。僕だって昔のこと思い出すと辛いんです」
夢子
「でも私、健治さんに嘘ついてるんです」
玲子
「嘘?……」
夢子
「私、エイズなんです」
玲子「大丈夫かしら、夢子さん」
金子「大丈夫ですよね?」
椎名「大丈夫と思いたい……」
玲子「誰もが発病するわけじゃないんでしょ?」
椎名「夢子さん、左手に包帯巻いてたよな」
金子「それが、発病のサインなんですか?」
夢子の飛び込み自殺後……
健治「……あいつ、おかしいよ。きれいごとばっかいってさ。いつも俺に気を使って……自分のことより俺のこといつも考えて。そんなの、おかしいよ。そんなのただの格好つけだよ」
金子「違うよ。夢子ちゃんは、本当に健治君のことが好きだった……」
健治「きれいなままじゃ、生活していけねえよ!」
椎名「別に夢子ちゃんは、逃げたわけじゃないよ。ほんとうに健治君のことが好きだったんだ。認めてやろう、――人間にはわかっていても、戻れない愛ってのもある」
玲子「そうよ、女はいつだってCan't Reset LOVEだもの」
劇団RIN第28回公演『平成純情伝』―Can't reset Love―をごらんいただきまして、まことにありがとうございました!
劇団RINは、これからもみなさまに楽しんでいただけるような芝居をつくってまいります。
本日はほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました!
劇団RIN一同、心より感謝いたしております。
平成13年9月4日 劇団RIN